Granada, Cordoba and Cuenca/グラナダ、コルドバ、クエンカ (2003.11.28-2003.11.30) 前半戦の最終地、マドリッドに入る前にアンダルシアの著名な観光都市グラナダとコルドバをぐるりと巡ることにした。200kmから300km程度の距離なので、午前中に移動してその日のうちに街を散策できる。イスラムとキリストの2つの文化が混ざり合ったこれらの町は歩いていてなかなか興味深い。 アンダルシアの美しい丘陵地帯を走り、グラナダへ向かった。街道沿いで珍しく生ハムでなく豚のスペアリブの昼食をとって、余裕をもってグラナダ入りした。ところが市街に入ると大渋滞。にっちもさっちも行かないほど混んでいる。仕方なく高速道路に乗り、町のランドマークであるアルハンブラ宮殿の近くまで移動した。位置的にはかなり南だが、町の背にそびえる高山シエラ・ネバダから降りてくる風がひどく寒い。夕方くらいになってからアルハンブラ宮殿へ向かう細い道沿いの宿をとれた。 グラナダのアルハンブラ宮殿はイスラム王朝最後の壮大な建築物で、町を見下ろすように丘の上に建っている。日が暮れると、ライトアップされて街角から臨むその姿はため息が出るほど美しい。宮殿自体も素晴らしいが、宮殿下の小川沿いの道の雰囲気がとても気に入った。小さな商店や食堂が小川沿いに並び、宮殿に張り付くように建っている住宅の明かりがひどく幻想的で素敵だ。少し冷えるが夜にこの道を散歩していると、かなりいい感じである。 グラナダからコルドバに移動する。コルドバはグラナダほどの荘厳さがなく(曇天のせいもあって)薄暗い感じだったが、やはり町の中心のメスキータなどのイスラム建築は不思議な空間美に満ちていた。たまたま泊まったところに近くにタブラオがあったので、ここでちょいとフラメンコを見に行ってみる。 これがなかなか凄かった。舞台はギターとカンテと言われる歌声に始まり、なんとものどやかな様子なのだが、踊り手が登場すると一変する。男女の踊り手の手拍子、足拍子がまさに爆撃機のようですごい迫力だ。肉体と魂が震えるほどの「大暴れ」である。肉体のリズムにカンテとギターの調べが見事に調和し、まさに生命の音楽と舞台であった。これには終始圧倒されっぱなしで、開いた口が塞がらない。。 コルドバの熱い夜が更け、翌日マドリッドへ向かう高速道路オートビスタを走る。霧に煙るアンダルシアの山々を越えて、ラ・マンチャ地方に出ると、ドン・キホーテの舞台である風車の見える荒野が広がる。いよいよマドリッドという手前で、クエンカへ寄り道した。深い峡谷の断崖上に建つ旧市街が素晴らしい険しい雰囲気の世界遺産の町だ。 スペインには国営ホテルである「パラドール」という宿がある。国内各所に点在し、古い城や貴族の館、修道院を改修した歴史的な宿だ。たいていは超観光地にあり、人気も高く値段も高いのでここまでは避けていたが、ここクエンカでは最後にあたってみることにした。オフシーズン、平日で1部屋くらい空いているだろうと踏んで、行ってみると大丈夫だった。値段も88ユーロでパラドールとしてはかなり安い。バイクもフロントの前に置かせてもらえた。ここは16世紀に建てられた修道院を改修しており、中庭を臨む回廊沿いに部屋が並んでいる。峡谷の上に建つクエンカの旧市街を眺望できる部屋に案内され、前半戦で最も優雅で素晴らしい宿だった。さすがに修道院だけあって、館内は落ち着いた雰囲気に包まれている。これは一泊250ユーロとってもおかしくない。 実に最高だった。スペインに来たならば、残りは全て安宿でもいいので一泊はパラドールに宿泊することを薦めたい。 |
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