ボウ ティーボウル (1750年代頃)
A Bow Tea Bowl Ca.1750s
ボウの小振りなティーボウル。Island pattern(あるいは、Island House pattern)と呼ばれる素朴な風景図柄が描かれている。島のような陸地の上に、四本の柱に屋根が乗っただけの建物と草木が描かれた図柄で、陸地(岩?)と建物は茶色で描かれた上に金彩が施されている。もともとは中国磁器から写された図柄であるが、細かい部分にはかなりのバリエーションがある。英国ではボウ以外の窯では見られない図柄のようである。
このような中国風の素朴な風景画は、ボウでは1750年代を中心に多く描かれたが、最初期のボウ作品(1744年の特許に基づくとされる1740年代中盤の作品で、「Aマーク」作品という名称で呼ばれる。(コラム14を参照))に関する最近の研究(下記Pat Danielsの著書)の中で、それら最初期の重要な作例である豪州のビクトリア国立美術館(National Gallery of Victoria)にあるティー・キャニスターに、このIsland House patternが描かれていることが指摘されている。さらに同著では、この図柄は組成の異なる(従って製造時期も異なる)いくつものボウ作品に描かれていることから、1740年代から60年代まで、かなり長期間に渡って描かれたものだとされている。
高さ(Ht):4.0cm
マーク:なし
Mark: None
参照文献/Reference:
-Elizabeth Adams & David Redstone "Bow Porcelain (revised edition)" p.114 and Plate 50
-Pat Damiels "The Origin & Development of Bow Porcelain 1730-1747" pp.236-241 and Figs.28-32
-ビクトリア国立美術館のサイト(ボウ最初期のティー・キャニスター):
http://www.ngv.vic.gov.au/explore/collection/work/17791/
-ビクトリア&アルバート(V&A)美術館のサイト(ボウル):
http://collections.vam.ac.uk/item/O238519/bowl-bow-porcelain-factory/
(2016年6月掲載)