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カーフリー テンプル・パターンのソーサー (1780-90年頃)
A Caughley Saucer Printed with the Temple Pattern Ca.1780-90



 カーフリーの染付け銅版転写印刷によるソーサー。図柄は「テンプル・パターン」と呼ばれるもので、かなり混みあった感じのする中国的風景画。銅版転写は、銅版に原画を刻み、そこに染料を染み込ませて紙を当て、その紙を白磁に貼り付けて図柄を転写するもの。量産が容易であるとともに、手描きよりも細かな描写が可能であるという特長がある。

 ソーサーの右に並べた写真は、現存する銅版から紙に図柄を写し取ったもの。この状態では図柄が反転している。作品では図柄を転写した後に釉薬をかけて焼くので、完成品の図柄は鮮明度が落ちるが、紙に写し取った原画では図柄の細部まで詳細に見ることができる。なお、銅版は作品の種類や大きさに応じて、同じ図柄でもいくつも彫られたし、何度も転写を行うと摩耗するため彫りなおされたりしたため、上の写真でも図柄の細部は異なっている。なお、紙に転写された図柄の上部にアルファベットのSが見える。この部分は切り取って、裏面マークとして使われている。

 完成品には縁模様が施されているが、これも別に転写されたものである。さらに中央の図柄と縁模様との間及び口縁に金彩まで施されて、図柄の混雑度に拍車をかけている。この金彩に関しては、チェンバレン・ウースターで施された可能性もある。1780年代末から90年代初めにかけて、チェンバレンはカーフリーから白磁や染付け作品の供給を受けていたが、テンプル・パターンの作品がそこに含まれていた記録が残されている。

直径(D):12.4cm

マーク:S(印刷)
Mark: S (printed)

参照文献/References:
-The Caughley Society "Caughley Blue & White Patterns" p.180 (Temple pattern) and p.227 (border pattern No.56)
-Geoffrey A. Godden "Caughley and Worcester Porcelains 1775-1800" pp.17-18 (Temple pattern) and Chapter V (The Chamberlain Trade with Caughley)
-Geoffrey A. Godden "Chamberlain-Worcester Porcelain 1788-1852" Chapter 2 (The Chamberlains as retailers and decorators)
-Geoffrey A. Godden "Godden's Guide to English Blue and White Porcelain" p.449 and Plate 570 (p.455)

(2014年10月掲載)