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チェルシー・ダービー 受け皿 (1775-77年)
Chelsea‐Derby Saucer Ca.1775-77

 

   

 

 表面にパイナップルの地模様が施された受け皿である。白磁部分が多く、縁に金彩と薄紫の輪、それにからまるようにして、スクロール状に図案化されたつたのような緑の葉(?)模様が連続して描かれている。中央部分にも金の輪の中に同じモチーフが配されている。珍しい図柄ではあるが、いかにもチェルシー・ダービーらしい清楚なデザインである。
 裏面のマークは、金彩で王冠の下に錨が描かれたもので、これも珍しいマークである。(なお、写真でマークの周囲に青の三重の輪と"Chelsea-Derby c.1775"の文字が記されているのは、後世に貼られたステッカーであり、マークとは関係がない。)このマークは、ウィリアム・デュズベリーが1775年に国王・ジョージ三世から王室ご用達の許可(ロイヤル・ワラント)を得た直後に導入されたとされるが、使用頻度は低かった(チェルシー・ダービー「CD9」を参照)。さらに、焼成時のものと見られる目跡が3箇所、表側のパイナップル地の上についている。また、表裏ともに釉薬にかなりひびが入っており、これもチェルシー・ダービー作品には珍しい現象である。
直径:13cm
Diameter:13cm (5 1/8 in)
マーク:裏面に金色で「王冠の下に錨」
Mark: <Anchor surmounted with Crown> painted in gold on the bottom
文献/Literature:
-Stephen Mitchell "The Marks on Chelsea-Derby and Early Crossed-Batons useful Wares 1770-c.1790" Chapter II and Plate 10-14 (Plate 10 and 12 include a sucrier and a coffee cup, both with the pineapple moulding and in the same pattern.)
-R. L. Hobson "Catalogue of the Collection of English Porcelain in the Department of British and Mediaeval Antiquities and Ethnography of the British Museum" Item II.314 (Fig.51)

(2007年8月更新)