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ダービー コーヒーカップ (1760年頃)
Derby Coffee Cup Ca.1760

 

 

 下部が若干すぼまってはいるものの、ほぼ円筒形に近く、高台もなく、コーヒーカンと呼んでもよい形状のカップである。取っ手は「ウィッシュ・ボーン(wish-bone)型」と呼ばれる、初期ダービーに多いものである。素地はとても白く、薄く均一に焼きあがっており、釉薬も均一でなめらかである。エナメル絵付けも極めて上質な出来で、どこから見てもほぼ完璧な作りである。裏面には釉薬がかかっておらず、パッチマークが3つ見られる。
 高台のないこの形状のカップは、プランシェ期からデュズベリー期へと移行する過渡期(1755年頃)の作品(下記文献中、Gilhespyの本に掲載されている作品と、Phillips CataloguesのうちLot 382)が残されている一方、1760年代前半の作品(Watneyの本の掲載作品。Phillips CataloguesのLot 1184は同一作品。)も知られている。本品の製造年代については、確たることは言えない。裏面が無釉である点は、プランシェ期の「ドライエッジ」の流れを汲んでいるが、素地に瑕疵がほとんどない点からは過渡期の作品とは考えにくく、おそらくは1760年前後の作であろう。
マーク:パッチマーク
Mark: Patch marks
高さ:6.3p
Height:6.3p (2 1/2 in)
文献/Literature:
-Gilhespy "Crown Derby Porcelain" Fig.6 (Plate 4)
-Watney "English Blue & White Porcelain of the 18th Century" Plate 67B
-Phillips Catalogues"The Watney Collection of Fine Early English Porcelain" Lot 382 (Part I), Lot 1164 (Part III ) and Lot1184 (Part III)
(2006年5月掲載)