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ダービー 「エジャートン」図柄皿 (1773-77年頃)
A Derby "Egerton" Pattern Plate Ca.1773-77





 本品に描かれている図柄は、「エジャートン」図柄と呼ばれている。この呼称は、1773年にフィリップ・エジャートン卿(Philip Egerton, Esq.)が、この図柄のデザート・セットを購入したことに由来している。当時のダービー窯からの請求書(領収済のサイン付き)が残されており、そこには「メダリオンと葡萄図柄の24枚のデザート皿、2枚の大型楕円コンポート、2枚の大型ハート形コンポート、16枚の小型で異なる形(の皿)」(合計44点)が価格とともに記載されている。この請求書は、下記W. ChaffersとJ. Haslemの文献に採録(後者は一部のみ採録)されているが、両文献では同セットの図柄の詳細についても次のように記述している。「各作品の中央に大きな葡萄の房が描かれ、縁の周辺にはローマ皇帝たちのカメオ胸像のメダリオンがチョコレート地の上に白で描かれ、花綱でつながっている」。

 また、この「エジャートン・セット」の全作品に金色の錨とDのマークが記されているが、これがこのマークの付された作品のうち記録上で製造年を確定できる最古のものであることから、少なくとも1773年にはこのマークが導入されていたことの根拠とされている。(ただし、実際には、このマークはもう少し早く、1770年代初めから使用されていたと見られている。)

 その他、この図柄でマークも同じデザート・セットを、ヴァーノン卿(Lord Vernon)も持っていたとされているが、製造年は不明である。その後本図柄はチェルシー・ダービー期における人気図柄の一つとなったとされている。


直径(D):22cm

マーク:裏面に金色で「Dと組み合わされた錨」
Mark: <Anchor interlaced with D> painted in gold on the bottom


参照文献/References:
- William Chaffers "Marks and Monograms on European and Oriental Pottery and Porcelain 14th Revised Edition" p.831
- John Haslem "The Old Derby China Factory: The Workmen and Their Productions" pp.20-21
- F. Brayshaw Gilhespy "Crown Derby Porcelain" Figs.113-114 and p.93
- Gilbert Bradley "Derby Porcelain 1750-1798" No.114
- Stephen Mitchell "The Marks on Chelsea-Derby and Early Crossed-Batons Useful Wares 1770-c.1790" pp.53-54, pp.42-43 and Plate 25
(2010年8月掲載)