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ダービー 壺 (1770年頃)
A Derby Vase Ca.1770

　ダービーのロココ調の壺。釉薬は掛けられているが、エナメルや金彩の装飾は一切なく、白磁のままである。首部に穴が開けられており、用途はポプリ入れかもしれない。蓋は逸失しているのかもしれないが、口縁には波模様が施されていて蓋を置きにくい形状になっていることから、もともと蓋はなかった可能性もある。

　裏面にダービー作品特有のパッチマークがあるが、それ以外のマークはない。このようなロココ調の壺は、ダービーというより1760年代のチェルシー作品的であり（もちろん1760年代のダービー作品である可能性もあるが）、もともとチェルシーで作られていたものを1770年以降にダービーで継承したものかもしれない（チェルシーのこの形の壺は確認できていないが）。そうだとしても、1770年代には新古典調の作品が主流となるので、ロココ調の作品は作られたとしても1770年代初頭までであったと思われる。



高さ(Height)：25cm

マーク：裏面にパッチマーク。
Marks：Patch marks on the bottom.

（2017年3月掲載）