トップ (Home)   ダービーのトップ (Derby Home)

ダービー 壺 (1800年頃)
A Derby Vase Ca.1800



 

 ダービーのバケツ型の壺。両脇に貝型の取っ手がある。蓋(本品では逸失しているが)はドーム状で丸い穴がいくつも開き、中央部分に突起があって、その先端にさらにドーム状の蓋がついている。用途はポプリ入れであろう。

 本体側面には、青地の上に白い点と金彩の地模様が施されており、表裏二か所の四角い金彩の枠内に、船のある海洋図が描かれている。各々の画題が台座裏面に青色で書き込まれており、一つは"A Cutter sailing within 3 points of the Wind."で、もう一つは"A Frigate at Anchor Calm."である。

 ダービーでこのような海洋図を得意とした絵付師は、ジョージ・ロバートソン(George Robertson)である。本品も彼の手によるものである可能性が高い。彼は1797年頃にダービーに来て、1820年頃まで在籍したと言われている。海洋図だけでなく、風景画全般を得意としていた。(主要絵付師の一人でありながら、彼の生涯については不明な点が多い。彼について最もまとまった論文は、下記参照文献にあるBamberyの論文だと思われる。)

 ダービーでは、風景画では裏面に画題が青色で(19世紀初め以降は赤色で)記されるのが一般的であった。海洋図に関しては、本品のように軍艦の姿を描いたものが多い(停泊していたり、嵐の中を航行していたり、戦闘中であったりと色々である)。裏面には、画題の他にいわゆるバトンマークが同じ青色で描かれている。さらに、刻印で"8"と"No1"(読みにくいのだが、Nの右隣上方にoが、そのoの下に1があるように見える。)が記されている。


高さ(Height):13.4cm

マーク:裏面に全て青色で「王冠、交差するバトンと点及びD」、"A Cutter sailing within 3 points of the Wind."及び"A Frigate at Anchor Calm."。 裏面に刻印で"8"及び"No1"。
Marks:A Crown, Crossed Batons & Dots over D, "A Cutter sailing within 3 points of the Wind." and "A Frigate at Anchor Calm.", all painted in blue on the bottom. An "8" and "No1" impressed on the bottom.

参照文献/References:
- Anthony Hoyte & Peter Jackson "The Charles Norman Collection of 18th Century Derby Porcelain" Item 28 (p.28)
- Graham and Oxley (Antiques) Limited "English Porcelain Painters of the 18th Century" (Summer Exhibition 1981) Item 58
- Anneke Bambery "George Robertson c.1776-1833" (Derby Porcelain International Society Journal 4) for a detail of Robertson's life and work.


(2017年9月掲載)