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ダービー 「トロッター図柄」皿(1820-25年頃)
Derby "Trotter Pattern" Plate
Ca.1820-25

 



 縁部分に濃緑と白地の交互のパネルが配され、その白地部分と皿中央に花絵が描かれている。ブルア期ダービーを代表する図柄の一つであり、ジョン・トロッター(Sir John Trotter)による特注品に描かれた図柄であることに因んで、「トロッター図柄(Trotter Pattern)」と呼ばれている。オリジナルの「トロッターのセット(Trotter Service)」では中央部分には多種類の花のブーケが描かれており、それと同様の作品も多く残されているが、本品はいわば簡略バージョンである。

 オリジナルの「トロッターのセット」は、1820年代前半のダービーを代表する花絵の絵付師であるモーゼズ・ウェブスター(Moses Webster)が描いたとされている。彼は、ダービーで修行期(1804-11年頃)を終え、具体的にいつダービーを去ったかは不明であるが、一時期ロンドン(Robins&Randall工房)とウースター(FBB期初期頃)で働いた(さらに、ウースターではThomas Baxterの工房で絵の指導を受けたとされる)。しかし、1820年頃に再びダービーに戻り、1825年頃まで在籍した。

 本品がウェブスターの手によるものかどうかの判断は難しい。ウェブスターはバラを好んで描いたとされ、本品に描かれているバラも彼のバラに似ている。また、他の花も細かい点まできちんと描かれており、いずれにしても、それなりの技量を持った絵付師が描いたものであろう。裏面の赤い「交差バトンマーク」の乱雑な描き方も1820年頃の作であることを示しており、ウェブスターが在籍していた時期と合致する。(なお、オリジナルの「トロッターのセット」には、トロッターの名前入りの金色の特別なマークが入っている。)しかし、本品のような簡略バージョンは、ウェブスターの影響下にあった他の絵付師によるものと考えた方が自然かもしれない。

 なお、写真からも見てとれるとおり、本品の表面には細かい釉薬のひびが全面に渡って生じている。これは、ブルア期の作品に多く見られる特徴の一つである。
直径:約20cm
Diameter:20cm (7 7/8in)

マーク:マーク:赤色で「王冠・交差するバトンに点・D」
Mark: <Crown, CrossedBatons&Dots and D> painted in red

参照文献/References:
-John Twitchett "Derby Porcelain 1748-1848 An Illustrated Guide" Colour Plate133


(2008年5月掲載)