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ドクター・ウォール期ウースター/ ジェイムズ・ジャイルズ工房
「青い貝殻枠に鳥」図柄皿(1770-75年頃)
Dr. Wall Worcester/James Giles Studio
A Plate Enamelled with "Blue Shell and Birds" Ca.1770-75



 

 セーヴル風の絵付けが施された、やや深めの丸皿(縁に12か所の小さな窪みあり)である。皿はウースター製で、素地は若干灰色がかった色合いである。青と金彩による波打った枠どりは、セーヴルで"feuille de choux"(キャベツの葉)と呼ばれて1750年代以降描かれ続けた図柄の写しである。1770年頃から、ウースター社とジェイムズ・ジャイルズ工房がともに描くようになったが、ウースター版ではセーブルのオリジナル同様、枠内や皿中央には花が描かれるが、ジャイルズ版では本品のようにファンシー・バード(あるいはエキゾチック・バード)が描かれ、エナメルの明るい色合いと自由で勢いのある筆致が特徴的である。(枠部分の、染付けの青とは異なる、明るいエナメル上絵の青に注目。)

 1768年の一連の新聞広告(「原典を読む3」を参照)において、ジャイルズは「マイセン、チェルシー及び中国風」の絵付けを扱っているとしているが、ジャイルズの図柄の中にはセーヴル風のものも多い。(あるいは、1768年頃にはまだセーヴル風図柄は主流でなかったということかもしれない。)1774年のジャイルズのオークション(於:クリスティーズ)には、この図柄("enamel'd blue shell and birds"と表記されている)が描かれたアイスクリームカップ6客セットが2回登場している。
直径(D):22.5cm
マーク:なし
Mark:None
参照文献/References:
-Gerald Coke "In Search of James Giles" Appendix H (Check-List of Giles Pattern) A.2.00, Plate 13(b), and Appendix G (1774 Christie's Catalogue) Fourth Day's Sale Lot 23 and 65
-Stephen Hanscombe "James Giles China and Glass Painter (1718-80)" Item 60
-H. Rissik Marshall "Coloured Worcester Porcelain of the First Period (1751-1783)" Plate 31 No.673
-R.L. Hobson "Catalogue of the Frank Lloyd Collection of Worcester Porcelain of the Wall Period" Item No.183, Plate 35
-S. Spero & J. Sandon "Worcester Porcelain 1751-1790 The Zorensky Collection" Item No. 415 (No.386 for a Worcester factory's example)
-John Sandon "The Dictionary of Worcester Porcelain Volume I 1751-1851" p.204 (an ice cup with the Worcester factory version)



(2012年3月掲載)