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ジョン・ペニントン・リバプール クリーム差し(1775-85年頃)
John Pennington's Liverpool Cream Jug Ca.1775-85

 

 

 リバプールのペニントン三兄弟の次男、ジョン・ペニントン(John Pennington)は、1770年頃に自らの磁器窯を立ち上げた。彼はそれまで兄ジェイムズ・ペニントンの下にいたと見られるが、兄と同じく骨灰磁器を用いて、実用品を中心に幅広い作品を作った。

 本品は、縦型の台座付きクリーム差しである。形状的には銀製品に範をとったものと考えられている。胴体は中央部が丸くふくらみ、全体に縦縞が地模様として施されている。取っ手は"biting snake"(咬みつく蛇)と呼ばれる形のもので、ちょうど蛇が本体の背の部分に咬みついているように見える。台座は円型で薄く、外周にはロープのような浮彫り模様がめぐらされている。裏面は縁部分を除いてかすかにへこんでいるが、そのへこんだ部分のみ釉薬がかかっており、縁部分はきれいに拭きとられている。

 絵付けは、染付け(釉薬下の青)のみで、胴体に描かれているのは"horse-tail pattern"と呼ばれる文様である。さらに、胴体と台座には小花が散らされている。口縁の内側には細かな点の連続による縁模様が施されており、注ぎ口の内側にも小花が描き込まれている。


マーク:なし
Mark: None
高さ(H):10.7cm
文献/Literature
- Maurice Hillis "Liverpool Porcelain 1756-1804" pp.350-352 & fig.8.81
- Bernard M. Watney "Liverpool Porcelain of the Eighteenth Century" p.82 & fig.321


(2013年1月掲載)