アジア協会美術館、中国協会ギャラリー(米国:ニューヨーク)
Asia Society and Museum, China Institute Gallery (USA: New York, NY)
(アジア協会美術館)
アジア協会は、ジョン・デビッド・ロックフェラー三世が、アジアへの理解と連携を深めることを目的として1956年に設立した協会です。ニューヨークの本部に併設されている美術館も、ロックフェラー家から寄贈されたアジア美術コレクションを基盤としたものです(「カイキット」のページ参照)。その中には陶磁器も多数含まれており、特に中国作品については、各代にわたって優品が揃っています。日本の作品では、桃山期の茶器や酒器、江戸期になると古九谷や鍋島の皿などに加え、野々村仁清の茶壷や尾形乾山の鉢なども見ることができます。その他、韓国、タイ、ベトナムの作品もあります。陶磁器以外では、仏像、屏風絵、浮世絵などが展示されています。1階のブックストアには、アジア美術関連の書籍が揃っています。
アジア協会美術館の近くには、中国協会ギャラリー(China Institute Gallery)もあります。常設展を持たない、とても小さな美術館ですが、定期的に中国文物に関する特別展を開催しており、ちょうど本稿執筆時点で「貿易、嗜好、変遷:日本向けの景徳鎮磁器 1620-1645年」と題する、染付け茶器などを中心とした展示を開催中です。過去にも、「Blanc de Chine(中国白磁)」、「過渡期の中国陶磁器 1620-1683年」、「欧州金属装飾の施された中国磁器」、「17世紀の中国磁器:風景画、学者絵、物語」などといった、かなりテーマ性の強い展示を行ってきており、各々専門的なカタログも残されています。
両美術館は、大小さまざまな美術館が立ち並ぶ、通称”Museum Mile”(アッパー・イースト地区の五番街)から少しだけ東にそれた地域に、若干ひっそりと建っています。地味ではありますが、アジア陶磁器にご関心の強い方にはお勧めです。
(2006年5月執筆)