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バッキンガム宮殿クイーンズ・ギャラリー(英国:ロンドン)
The Queen's Gallery, Backingham Palace (London, UK)

 歴代の国王をはじめとする英国皇室が収集した「ロイヤル・コレクション」を展示する美術館です。バッキンガム宮殿に併設されている本美術館は、2002年の女王エリザベス2世の戴冠50周年に合わせて再オープンしたものですが、バッキンガム宮殿自体の公開が夏季のみに限定されている中で、年間を通してロイヤル・コレクションに触れることのできる貴重な美術館です(ただし、特別展のためにロイヤル・コレクションの展示がないこともあるので注意)。規模は大きくないので、同宮殿の名物である近衛兵の交代式を待つ間にでも、小一時間もあれば見てくることができる手軽さで便利です。ただし、お手軽なのは量的な面だけです。質的にはさすがは大英帝国のお宝、絵画も工芸品も超一流です。

 陶磁器に関しては、英国王室はフランス製品、特にセーヴルがお好みだったようです。フランス革命時に売りに出された、フランス王室所有のセーヴル磁器を、当時英国皇太子だったジョージ四世が大量に買い付けたそうです。この美術館の一角に、磁器作品をまとめて展示してある部屋があり、3つの大きな展示ケースのうちの一つは、このセーヴル製品にあてられています。(Joanna Gwilt著"French Porcelain for English Palaces Sevres from the Royal Collection"という美しい出版もあります。)

 もちろん英国製品もあります。国王ジョージ三世と王妃シャーロットは、英国陶磁器のパトロンとして歴史に頻繁に登場しますが、この二人が王妃の兄に贈ったとされる、チェルシーの「金色の錨」マークの時期の代表的ディナーセットである「メクレンブルク-シュトレリッツのセット(Mecklenburg-Strelitz Service)」が、2つ目の大きな展示ケースを占めています(チェルシー「CH4」を参照)。なお、3つ目のケースには、フランケンタールなどのドイツ作品が展示されています。

 バッキンガム宮殿本体の中には、もっとたくさんの陶磁器作品が収められているのでしょうが、この美術館は、数こそ少ないものの、選りすぐりの収集品を目にすることのできる貴重な存在としてお勧めです。

(2006年4月執筆。2012年2月更新)