トップ(Home)   美術館探訪のトップ


フリック・コレクション(米国:ニューヨーク)
The Frick Collection (USA: New York, NY)

 ニューヨークの5番街に面する、通称「ミュージアム・マイル」を構成する美術館の一つ。珠玉の絵画作品で知られていますが、最近陶磁器コレクションの大幅な充実を図っていることで注目を浴びています。もともと、セーヴルや中国磁器の壺類をかなり収蔵していましたが、初期マイセン磁器作品で知られるアンホルド・コレクション(Arnhold Collection)の一部が本美術館に寄贈されることとなり、現在特別展という形でその展示が行われています。この展示のために新たな展示スペースが増設されたので、ゆくゆくは常設展になるのではないでしょうか。

 今回の展示は、"Red Porcelain(b器)"
、中国風、日本風、ハウスマーラー(外部絵付け)の4セクションからなり、合計数十点の作品が展示されています。あわせて、本美術館が最近購入したセーヴルの"Vase Japon"も展示されています(「耳より情報」2011年11月5日の欄を参照)。アンホルド・コレクション自体は、ドレスデンから最終的にはニューヨークに渡ってきたアンホルド家が二代に渡って収集したもので、2008年にもフリック・コレクションで特別展が開催されています。そのときのカタログ(超大型)は、マイセン作品について英語で書かれた主要文献の一つでしょう。

 もう一つ、18世紀ドレスデンの金装飾家Johann Christian Neuberの特別展も同時開催されていて、金や各種宝石にマイセンの磁器プレートを組み込んだ装飾品や家具も展示されていました。

 この美術館は旧フリック邸を改装したもので、とても落ち着いた雰囲気があります(10歳未満は入場禁止)。特に欧米絵画の収蔵品はとても豊富で、例えば、エルグレコ、ヴァンダイク、フェルメール、ブーシェ、ゴヤ、ターナー、ホイスラー、アングル、コロー、ミレー、マネ、モネ、ルノワール等々を楽しめます。彫刻作品も数多くあります。


(2012年8月掲載)