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上海博物館(中国:上海)
上海博物館(Shanghai Museum)


 
 古代から近代に至る中国の文化的遺産を収蔵した大博物館です。上海市の中心部にあり、地下鉄の駅からもほど近く、アクセスは抜群です。現代的な建物の中に、鑑賞者が近づくと照明が明るくなるといった機能的な展示室が整然と並び、とても鑑賞しやすい博物館でもあります。

 展示分野は、古代の青銅器にはじまり、絵画、書、家具、衣装、貨幣など多彩です。(特に、貨幣の展示は、中国のものに限らず、また時代的にも幅広く、これだけのものは他ではなかなか見られないと思います。)

 そうした中でも陶磁器は中心的な位置を占めています。先史時代の素朴な陶器に始まり、あまり見る機会のない商、周から漢、晋代などの古代作品もきちんと展示してあります。唐代に入ると、白釉や唐三彩の大きな人形がずらりと並び壮観です。

 コレクションの真価が問われる宋代以降の作品も素晴らしいものです。例えば、汝窯では端整な青磁皿を三枚並べて、うち一枚は裏返して、高台内に5つ付いている目跡が見えるようにしています。哥窯も、大きな五足の盆など美しい作品がそろっています。さらに、定窯、鈞窯、龍泉窯などはもちろん、その他の民窯作品も見ることができます。宋や金代の黒釉作品でも目をひくものがありました。

 さらに圧巻なのは、元、明、清代の作品です。青花、釉裏紅、五彩など多様な作品が次から次へと登場します。いわゆる「バタビヤ手」(第一回勉強会の報告を参照)の清代・順治期の皿も展示されており、中国語の解説では「醤色釉」となっていました。展示室中央部には、ところどころに大きな壷や皿などが置かれており、殊に目を見晴らされます。さらに、陶片の分析や磁器窯の大型模型まであり、存分に楽しめること請け合いです。是非、時間をかけてじっくりと鑑賞してみてください。

(2008年1月執筆)