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1月28日(水) <戦艦武蔵・・・>
「戦艦武蔵(吉村昭著)」を読み始めたら止まらなくなった。たまたま待合室に置いてあった文庫本を手に取ったのである。私は昔(30年ほど前)吉村昭のこの名著を読んだ記憶があるが、感情的にならずドキュメンタリー風に淡々と語られる内容には今読んでも考えさせられるところが多い。呉海軍工廠で製造された戦艦「大和」(起工1937年、進水1940年、撃沈1945年)と長崎造船所(三菱重工)で製造された戦艦「武蔵」(起工1938年、進水1940年<完成1942>、撃沈1944年)は共に当時の世界最大級の艦船であったが太平洋戦争末期に航空機による猛攻撃を受けて撃沈されるという”悲劇の巨艦”となった。海戦の主力は艦艇から航空機に移行していたのに、従来の巨艦巨砲主義に固執したリーダーの先見性のなさが後世指摘される「大和」・「武蔵」であるが、技術革新を取り入れなければあっという間に敗れるのはいつの時代でも同じだ。それにしても、いくら戦時下とは言え、人間はとんでもないものを作るし、大勢の人が必死で取り組む行為が何かむなしい。戦いのためでなく共存のために人の知恵とエネルギーを結集する訳にいかぬものか。製造当時極秘とされた戦艦「武蔵」の仕様:全長263m、全幅38.9m、乗員3300名・・。今なお南方の海底に沈んでいる。
「今日の表紙」に「立方体フレーム2」掲載。