これまでの「今日のコラム」(2011年 8月分)

8月1日(月) <「良寛」をもっと深く・・・>
「良寛」をもっと深く知りたくなった。僧侶、歌人、書家その他幅広い達人である「良寛」を今はごく一般的なことしか知らない。これから少しづつでもいいから、命のある限り続けていくテーマとして「良寛」を思い立ったのである。良寛が書いた「天上大風」の書を以前模写したりしたことはあるが、書にもほとんど親しんだことはない。そもそものきっかけは、「ものおもい すべなき時は うち出でて 古野に生ふる 薺(なづな)をぞ摘む」という良寛の詩。良寛には悟りをひらいて家に引きこもっているただの無欲な僧ではなく、”すべなき時”には”うち出でて”行動する積極性がある。今の季節の俳句を一つ:「風鈴や 竹を去ること 二三尺」。竹(林か筍か)からわずか二三尺(文献によっては三四尺もあり)しか離れていたいところに風鈴があるのは良寛の住まいだろうか。時節は異なるが、戦時中に特攻隊員が愛唱したという詩;「散る桜 残る桜も 散る桜」は現代でも生き死にについての示唆に富んでいる。
まず、良寛の本を集めてみよう・・。
8月2日(火) <「渋谷川」・・・>
「渋谷川」の写真を「今日の写真」として下に掲載する。今日は息子の月命日で墓参。帰宅後、渋谷まで自転車で出かけたついでに写真を撮ったもの。最近、私は目黒川に沿って散歩する機会が増えたが、目黒川は桜の名所として有名になり、川沿いも年毎に賑わいを増している。それに対して、渋谷川は存在さえほとんど知られていないし、あえて立ち寄る人もいない。まず、写真の説明から・・。左の写真は、正面が渋谷駅かつ東急東横店。渋谷川の上流側でこの写真の先からは暗渠となる。ただし、現在は大雨の対策として雨水を溜め込む巨大貯水槽(4000トン)が渋谷の地下に設備されており、また渋谷川と別の暗渠化された下水道設備も完備しているので、渋谷川は大雨時のほんの一部の水を流す以外に水は流れない。右の写真は下流側を見た風景で右側の高架が山手線。この写真の更に先の下流、新並木橋の箇所には別ルートから水が流れ込んでいる箇所があるが、これは高度に処理された下水を渋谷川に放流しているもの。従って、「今日の写真」で掲載した写真は渋谷川の中でも水量が少ない箇所といえる。写真のように都会のど真ん中に他人には見せたくないゴミ捨て場の雰囲気。けれども私はここに隠された宝物を見る思いがする。未開発の場所は、すなわち使いようによっては可能性に満ちた貴重なスペースとなる。それほど遠くない将来に、渋谷川の水辺でカップルが語り合うなんていう光景を期待したい・・。
「今日の表紙」に「本型照明具」(陶芸)のB面=裏面を掲載した、上の扉は左右に開閉し、左下の丸扉はセンター軸 の周りに回転する。
   
2011-08-02@渋谷川(東京)金王橋より上流、下流を見る

8月3日(水) <久しぶりに「智美術館」・・・>
久しぶりに「智美術館」に行った。この美術館はホテルオークラ(東京・虎ノ門)に隣接した場所にあるけれども、いついっても都心とは思えない静かなたたずまいをみせている(リンク=ここ)。美術館に付属したレストラン「ヴォワ・ラクテ」で食事をしたのは今日が初めて。水曜日はレデイースデイだとかで、ランチをとると妻にはお土産がついた。美術館の催し物は「川瀬忍の青磁」展。”天青から静かなる青へ”とサブタイトルにあり40年以上青磁に取り組んできた作者の集大成が見られる。私などが試みる泥臭く創作だけに生き甲斐を見つける世界と余りにかけ離れているのでコメントはしようがないが、何百年(中国の場合は何千年)の歴史の重みを持つ「青磁」の伝統を引き継ぎながら現代性を持たせようとする川瀬さんの技を十分に堪能することはできた(川瀬さんのホームページ=ここ)。美術館をでると突然の雨。このところ東京は雨のお陰様で少し暑さが和らいでいる・・。
 
2011-08-03@智美術館 (左)入口から外を見る  (右)レストランから中庭を見る

8月4日(木) <「ミシン」を見る度に・・・>
「ミシン」を見る度にすばらしい”マシーン”だと感心する。珍しく妻がミシンを取り出して裁縫をしているのをしばらく見とれていた。ミシンのことを英語ではSewing Machineというように、複雑な縫い物をいとも簡単にやってのける優れた"機械”であるのは間違いない。それも普通の家庭用の電動ミシンに実に多くの機能がついている。妻にいつミシンの裁縫を覚えたかを聞くと、中学から高校の頃であるという。ミシンも進化しているだろうが、裁縫では50年前の技能がそのまま活かせる訳だ。丁度、私が中学生の頃に遊んだ電気工作が今になって陶芸に組み込む技能として役立っているのと同じだろうか。ところで、日本で初めてミシンを使ったのは天璋院・篤姫だと言われている。このような"機械”に接した篤姫は時代の流れを一層強烈に肌で感じたに違いない。
今日の表紙に「本型照明具」(陶芸)の左右からみた写真を掲載した。この形から、照明具としない時には、本棚に入れてブックエンドとして使用することもできる。


8月5日(金) <「胡蝶蘭の花」・・・>
「胡蝶蘭の花」がまだ元気よく咲いている。「今日の写真」として下に写真を掲載するが、この胡蝶蘭は今年の正月にいただいたもの。それが延々と花を咲かせ続けて今なお10数個の白い花を付けている。冬の間は室内に置いていたが春になると屋外にだした。胡蝶蘭は元来熱帯地方の木などに根を広げて着生している植物で高温多湿を好むとされる。その意味で我が家の庭は日当たりは悪くまた風通しも悪いので、正に高温多湿。人間様の環境としては良くないけれども胡蝶蘭にはぴったりの条件なのかも知れない。育てるための面倒もほとんど見ていない。水の与えすぎは根腐れの原因になるとかいうので、たまに乾燥しすぎないように水をやる程度。8月にこれほどの花を咲かせて喜んでいると胡蝶蘭の”専門家”からはお叱りを受けるかも知れない。”花を咲かせすぎると株が弱り来年の花を咲かせられない・・”などと”専門家”はおっしゃるけれども私は来年、再来年と胡蝶蘭をそのまま育て続ける趣味はない。「植え替え」やら「株分け」をやったところでうまく冬を越せるとは限らないので、今咲きたい花が存分に咲いてくれれば十分だ。今年これほどに咲いてくれて感謝!
2011-08-05

8月6日(土) <今日の表紙に「本型照明具」・・・>
今日の表紙に「本型照明具」の上から見た写真を掲載した。上蓋は自在に取り外しができ、表裏を逆にして置くことができる。どちらが表とか裏とは決めていないが一方にはキノコのような突起物を付けて遊んでいる。突起がうるさいときにはひっくり返して温和しくすればよい。この上部の蓋だけは粘土の状態で掲載した形状(7/5掲載分=ここ参照)と違っている。”粘土状態”の写真で見る通り、上部の丸穴と三日月の穴が人間の顔を連想させるので必死に穴形状を変えたのである。「顔」に見えたとたんに全体のイメージがガラリと変わるので”目玉”はむやみに付けるものではない。ところで、このところ陶芸教室はお休みばかりしている。夏休みモードでも外に遊びにも行かないで家具の修理や片付けやら・・。家の仕事をやりながら「陶板の壁掛け」が欲しくなった。ある機能を持たせた「陶板」を作るという目標ができたとたんに暑さを忘れて直ぐに設計を始めた。今日掲載した「照明具」と同じような調子の「陶板」造りは面白くなりそうだ・・。


8月7日(日) <花の名前を覚えるには・・・>
花の名前を覚えるには自然教育園に行くに限る。「自然教育園」(東京・白金台、正式名称は国立科学博物館付属自然教育園、リンク=ここ)と称しているだけあって、とても教育的。樹木や草花の側に名札を付けて名前を教えてくれる。ここのホームページ(上のリンク)には”見ごろ情報”の記事があり、その時々の植物の見頃情報が掲載されているので、行く前にWebで調べておくとどの辺りに何があるか分かる。今日もこのやり方で自然教育園を訪れた。いつもながらどの写真を掲載するか迷うけれども今日の写真は今の時期が盛りの花の写真を2枚掲載する。先ずは「キツネノカミソリ(狐の剃刀)」の花(下左)。この植物は「ヒガンバナ科」と知って納得するのは、今は橙色の花だけが咲いていて「葉」がないこと。ヒガンバナ(彼岸花)がやはり時期をずらして別々に花と葉を出すのと同じだ。下右の写真は「ミソハギ」。この花は盆花としてよく使われるという。ミソハギの名は禊ぎ(みそぎ=罪や汚れを払うために水を浴びて身を清めること)に使うハギに似た植物の意で「禊萩」を由来とする説と溝に生えることから「溝萩」から来たとする説がある。ところで、この機会に金子みすずの詩「みそはぎ」を読んだ。「ながれの岸のみそはぎは、誰も知らない花でした・・」で始まる詩は「みそはぎ」への優しい思いが込められていて感動させられる(リンク=ここ)。
 
2011-08-07@自然教育園(東京・港区)

8月8日(月) <今日、国際免許を取得・・・>
今日、国際免許を取得した。自動車の「国際運転免許証」のことで、日本の運転免許証とパスポート、写真などがあれば誰でも取得できる。有効期限は一年間。今月末にアメリカ西海岸、ヨセミテ近辺をキャンピングカーを借りて旅行する計画があるので、妻と一緒に念のため国際免許を取得したもの。手続きのために新宿の東京都庁内にある「運転免許更新センター」にいって少々驚いたのは、国際免許を取得する人の多さである。受付窓口の側で免許が発行されるまで待ちながら様子を見ていると、次から次に国際免許の申請に訪れる人が絶えることがない。それだけ海外で車を使う人が多いということだろう。もう10年以上前になるが南仏でレンタカーを借りて旅行した時にはやはり国際免許を持っていった。実際にはほとんど妻と娘が運転して私には運転するチャンスは少なかったが、海外での車の旅として貴重な思い出となっている。今回取得した国際免許がまた楽しい思い出を作ってくれるだろうか・・。

8月9日(火) <庭にナツスイセン・・・>
庭にナツスイセンが咲いた・・と書けばスマートであるが、最初は突如ニョキリとした茎に咲いた花の名前を思い出せなかった。葉がなく長い茎に花だけ咲いているので「ヒガンバナ科」の花には違いない(この特徴は一昨日コラムに書いた”キツネノカミソリ<ヒガンバナ科>と同じだ)。名前はインターネットで調べて「ナツスイセン」(裸百合)と分かった。なんのことはない、丁度一年ほど前の夏にやはり「ナツスイセン」を調べたことも思い出した。花の名前は覚えたつもりでも直ぐに忘れてしまう。忘れたらまた調べればよいと、ここは自然体で対応しよう。・・とナツスイセンの名前を思い出した後、夕刻、散歩に出かけたところ、中目黒公園でまたまた立派なナツスイセンを発見したので写真に撮った。余りに新鮮な「夏水仙」で別の品種かとしばらく観察するほどだった。それにしても、「ヒガンバナ科」の属性はともかく、「ナツスイセン」の名前はどうもピンとこない。「裸百合」の方がまだマシな気がするが、葉と一緒に花が咲かないから「裸」では花に可哀相。名前というのは難しい・・。今日は撮影した双方の「ナツスイセン」の写真を下に掲載する。
 
2011-08-09 (左)庭にて(渋谷区) (右)中目黒公園(目黒区)

8月10日(水) <久しぶりに汐留ミュージアム・・・>
久しぶりに汐留ミュージアム(パナソニック電工ビル内)にいった。この美術館は以前「松下電工ミュージアム」と呼ばれた頃から何度か訪れているが毎回満足度が高い美術館の一つだ。理由の一つは、常設展示で必ず「ルオーの絵画」が見られること。美術館の英文名称の脇に”ROUAULT GALLERY”とあるようにいつでもルオーが見られるだけでもうれしい。更に美術館の入場料が非常に良心的でこれもありがたい。今日の展覧会は「濱田庄司スタイル展」(9/25まで、案内=ここ)。人間国宝でもあった陶芸家、濱田庄司自身の作品と蒐集品や身辺に置いていた生活全般の様子がわかるモノが展示してある。濱田庄司(1894〜1978)はバーナードリーチと共にイギリスに数年間滞在したこともあり、家具や暮らし方をみると意外にモダニストであった。お馴染みのハーマンミラー製(米国・イームズ氏設計)のラウンジチェアを濱田庄司が愛用していたことなど想定外で面白かった。濱田の思い切りの良い陶芸作品は大好きだが、作品造りのベースには益子での優雅なスローライフというべき生活あったことを初めて知った。
「今日の作品」として表紙に「モビール素材」(陶芸)を掲載した。 昨年の7月に制作した「陶芸モビール」(=ここ参照)を 改良しようと家の窯を使って新たに制作したもの。前のものと余り代わり映えしないので少々熱が冷め加減・・。


8月11日(木) <木曜日はテニス・・・>
木曜日はテニスと決めている。朝のNHK連ドラが終わった8時15分に自転車で家を出るのが習慣。猛暑であろうが酷暑であろうが関係ない。ところが今日はいつもの常連仲間も”暑さのためお休み”が多かった。それでも相手には困ることはない。熱中症対策で水分を補給するとか適当に休憩を取ることも怠りないけれども、今日はプレーをしながら汗の出かたは尋常でないことに気がついた。そこで私としては珍しく1時間半ほどでテニスは終わりにした。ところが体力的に余裕を持って帰宅したせいか、その後の体調がいつになく活発なのである。帰宅早々に陶芸(粘土いじり)、午後は机上の仕事を片付けた後、銀座から新宿にいき用事を済ませるなど休憩なしで身体が動いた。そういえば膝や腰の調子も非常によい。原因はよく分からないが、暑さが苦にならないことは確か。直射日光を浴びて運動した身体には地下鉄や電車(山手線)の冷房、ビルの中の空調などが本当に心地よく感じられる。暑さ対策は暑さから逃げないことなんていうと、歳をとると暑さの感覚が鈍るだけと言われてしまうかな・・。

8月12日(金) <ガラスペンを初めて使用・・・>
ガラスペンを初めて使用した。表紙に掲載した「mieuへの絵手紙」がガラスペンを使って描いた「今日の作品」(作品とは少々おこがましい”試し描き”)。このガラスペンはいわば妻からの夏休みプレゼント。自分ではとても買わない贅沢品だ。といっても銀座・伊東屋では本当の高級品は品切れで入荷もいつになるか分からない状態だった。名人が作るガラスペンは全てが手作りで需要に追いつかないとのこと。私が購入したのは柄の部分が竹製(竹軸)の普及品だ(高級なものは軸もガラス/ガラスペンの専門メーカー佐瀬工業所のホームページ=ここ)。ペンと同時に三色のインクも購入した。色の名前が「山葡萄」、「松露」、「露草」とある。さて、早速ガラスペンで字を書いてみると想像以上にスムースで書き味がよい。これならば絵を描くのも楽しいと、絵はがきに三色のインクを使って線の太さや滑り加減を試しながら描いたのが表紙のペン画である。比較する意味で傾向の違う絵とか模様を描いてみた。溝を切ったガラスのペン先にインクをつけてから描くのであるが、インクはいくら描いてもなくならないし、線の太さがインクの量や時間の経過に関係なく実に安定しいるのは驚異的だ。ガラスペンは私にとって久しぶりに出会った新しい道具。新しいペン画の世界が拓けるだろうか。

8月13日(土) <”お年寄りが熱中症で・・・>
”お年寄りが熱中症でお亡くなりになりました”とニュースで報じられるのを聞いて不遜ながら何と優しい平和な国だと思ってしまう。統計によると日本で年間に死亡する人は110万人余り(2010年は119万余)。単純計算で毎日3200人が亡くなる。一方で新生児の数(出生数)は年間107万人ほど。ざっと毎日2900人の赤ちゃんが生まれていることになる。これは人口1億2千万人余の日本に限る数値で、人口69億人の全世界でみると愕然とする。世界の死亡率(1000人当たりの数)は8.5であるので、非常に大雑把で年間5700万余の人が死亡する。その一方で世界の出生率は何と20.3(日本は8.2程度)であるから、毎年1億4千万人が生まれる。現に世界人口はわずか2年ほどで日本の全人口に相当する数が新たに増えている。人類は絶えることはないだろうが「人類の英知」は果たして機能するのだろうか。自分自身の命の小ささを思い知らされながら、そうよ所詮は真夏の夜の夢・・・。
今日の写真は人間よりも更に強い植物、百日紅(サルスベリ)とパンパスグラス(西洋ススキ)を掲載する。
 
2011-08-13@西郷山公園&中目黒公園

8月14日(日) <品川水族館・・・>
品川水族館(リンク=ここ)に行った。妻とのささやかな夏休み行事としたが思った以上に非日常を楽しむことができた。水族館というと子供連れのイメージがあるけれども本当は忙しい大人が無我の境地に浸れる絶好の場所でもある。海に棲む生物は形も色も人間の想像をはるかに超えた不思議な世界をみせる。それを生物たちは声高に主張することもなくただ静かに漂うだけ。まさに自然と共に存在している。今日はイルカやアシカのショウも見た。優れた身体機能や知能を披露したイルカやアシカたちもまた人間と共存する仲間と思えてきた。一方で「クラゲ」なども見ていると時間を忘れた。水族館は、まさに「神の造形の妙」を実感できる場でもある。
「今日の写真」としては二枚の魚の写真を掲載する。
 
2011-08-14@しながわ水族館(東京)

8月15日(月) <終戦記念日の今日・・・>
終戦記念日の今日、当時の小学生が疎開の思い出を綴った小冊子を読み返した。これは義兄を含めて東京の入新井第四国民学校の六年生102人が昭和19年(1944)8月31日から静岡県の朝比奈村に集団疎開した生徒の記録というか、当時小学生であった人が60年以上を経て綴った体験談である。終戦の日は昭和20年(1945)8月15日であるからほぼ1年前から集団疎開は始まっていた(8月15日は玉音放送により降服が国民に公表された日、世界的にはポツダム宣言に調印した9月2日が終戦とされることもある)。義兄の文によれば児童疎開とは「大戦末期に米軍による本土爆撃に備えて児童をより安全な地域に一時疎開させること」で、8都市41万人余りの学童を集団疎開させたそうだ。男女102人の生徒たちは朝比奈村のお寺の部屋で翌年の3月まで疎開生活をしている。驚くべきことは思い出の中に悲惨さが微塵もない。全員で般若心経を唱えて暗記してしまったとか”勤労奉仕”をした思い出を生き生きと語る。そして皆が疎開先の朝比奈村に"感謝、感謝”である。・・終戦の日にはまだ小学生にもなっていなかった私は疎開とは無縁な田舎暮らしで、この日の記憶は何もない・・。
「今日の作品」として表紙に「mieuへの絵手紙・デジイチカメラ」を掲載した。ガラスペンで愛用のカメラ(望遠レンズを装着)をスケッチしたもの。インクは「露草」。筆に水をつけてなぞるとぼかしが出来る。


8月16日(火) <「お面かぶり」という仏教行事・・・>
「お面かぶり」という仏教行事をみた。九品仏・浄真寺(東京/世田谷区)で3年に一度8月16日に開催される行事で正式には「二十五菩薩来迎会」といい東京都の無形文化財に指定されている。この寺には息子の月命日に墓参するので最近は頻繁に通っているが「お面かぶり」を見るのは初めて。本堂と上品堂(じょうぼんどう)との間に橋を渡して菩薩のお面をかぶった一般人(信者)とお坊さんたちが行き来する。極楽浄土(上品堂)から25人の菩薩を従えた阿弥陀様が娑婆(本堂)へ来迎橋(35間ある)を通って来迎するという想定だ。西方浄土からご来迎になった菩薩はやがて娑婆(しゃば)から同じ橋を渡って極楽へと戻っていく。最後に菩薩のお面を外した超人(?)たちがまた娑婆(本堂)へ戻り、合計3回の練り歩きが見られる。お面のため前が見えないのでそれぞれの菩薩に介添えがついたり団扇(うちわ)で風を送りながら橋を渡るのも愛嬌。お面をかぶっていた人は20歳の女の子から90歳を過ぎたおばあさんまでとか。猛暑の中ご苦労様でした・・。

 
2011-08-16お面かぶり@九品仏・浄真寺
8月17日(水) <「扉用壁掛けA」(陶芸)・・・>
「扉用壁掛けA」(陶芸)を今日の作品として表紙に掲載した。横長さ10cm、厚さ(ふくらみ)3cmほどの小物で家の窯で焼いた。中央に取っ手付きの扉をつけ蝶番(ちょうつがい)で開閉できる。この壁掛けはただの飾りでなく少々思惑がある。洗面所兼風呂場兼トイレのある部屋には鍵がかかる。お客さんも使うので鍵をなくすこともできない。歳をとってくると風呂場での事故の確率が高くなるという話をよく聞くようになって、考えてみると我が家でも万一鍵が掛かった状態で事故になった場合、扉を開けるだけで大事となる。そこで緊急時に限って外から鍵を開けることができるような仕掛けを考えた。仕掛けといってもスライド式の鍵を裏からでもスライドできるように駆動用の棒を扉に貫通させた簡単な装置。その駆動棒を普段は見えないように目隠しをする”壁掛け”が掲載した「壁掛けA」である。緊急時に蝶番つきの扉を開けると駆動棒を操作して鍵を開けることが出来る次第。それにしても余程のことがない限り使うことのない機能は余り愉快なものではない。小賢しい用途を考えるよりもただの飾りの方がはるかに楽しい。あらためて無用の用の重さを思う。


8月18日(木) <「鈍感力」・・・>
”「鈍感力」だけは負けないから・・”という人とすっかり意気投合して話が弾んだ。猛暑の中でテニスの相手をした後、休憩時間に出てきた言葉が3〜4年前に渡辺淳一の著書で有名になった「鈍感力」。関東地方を中心にこの夏一番の暑さ(群馬県で38.5度)となった今日、さすがに朝からテニスに来た人は少なかった。テレビなどは朝から気温がぐんぐん上がるとか熱中症に気をつけろとか今日が如何に酷暑になるかの予報を繰り返している。敏感な人は予報を聞いただけで家に閉じこもる。「鈍感力」があると自称された方は暑さの情報など聞き流していつものようにテニスへきた。私も同様に鈍感。予報を含めて報道を余り気にしない。そして暑さの予報に限らず、マスコミの報道を信じて過度に反応する人が多すぎる・・と話が及んだ。敏感な人、繊細な人、きれい好きな人・・なども度を過ぎれば長所が欠点になる。渡辺淳一は「鈍感なのは生きていくうえで強い力になる」といった。夏の暑さにも鈍感なのがいい。

8月19日(金) <日帰り温泉・・・>
日帰り温泉に行ってきた。知人夫婦の案内で初めての日帰り温泉は群馬県の川場温泉。東京から関越自動車道の沼田インター(=高崎の三つ先)で高速道路をおりて更に20分ほど、自動車で家から約3時間余でいくことができた(ただし帰途は渋滞で4時間半)。茅葺き(かやぶき)の温泉場(宿もある)が思ったよりも素敵だったので名前を書こう。それは「悠湯里庵(ゆとりあん)」(今はホームページで即見られる=ここ)。温泉の後、入母屋造りの茅葺き家屋で食事。温泉場の前にはのどかな田園風景。温泉も食事も良かったけれども何より日本の原風景を思わせる自然とかやぶき家屋に心が和んだ。
 
2011-08-19@川場温泉(左) 悠湯里庵中庭 (右)田園風景

8月20日(土) <高校野球が終わる・・・>
高校野球が終わると夏も終わり秋がそこまで来ている気分になる。今日の決勝戦は日大三(西東京)が光星学院(青森)に11-0で圧勝。高校野球は準々決勝あたりで僅差の大熱戦が見られるのに決勝の試合は点差がついて面白くないケースが多いが、今年もその通りとなった。・・と書いてはいるが、それほどの高校野球ファンでもない。時間があるときにたまにテレビを見る程度。考えると、私は野球もまた”見る”より”する”方が好きだ。小中学生のときによく遊んだ影響だろうか。大学の構内で休み時間にキャッチボールをしたことも思い出す。今はグローブも持ち合わせていないが、場所と道具があれば今でもキャッチボールをやれば楽しいだろう。任天堂のゲーム機(Wii Sports)で野球やテニスなどスポーツゲームがある。実に良くできているが、やはり実際のボールを相手に運動する気持ちよさを体感しているとスポーツゲームにも今一つ馴染めない。何にしても見物人や評論家より実践者の方が面白いに決まっていると自分は思う。ところが世の中には苦労して動くよりも高みの見物、評論をしている方がいいとする人が多いのも事実。結局は人の好み、趣味の問題なのだろうか。
今日の表紙に 掲載した「扉用壁掛け B」(陶芸)は前回同様、緊急時の鍵駆動用装置を組み込んだ壁掛け(8/17コラム参照=ここ=)。寸法は横6cm、縦4cm、高さ(厚さ)3cmの作品。現在我が家で使用中である。

 8/21分作品
8月21日(土) <「壁掛けC」(陶芸)・・・>
「壁掛けC」(陶芸)を今日の作品として表紙に掲載した。一連の壁掛けとして家の窯で焼成した小物の作品。寸法は縦横12.5cm、高さ(出っ張り)3cm。前に掲載した壁掛けのように<緊急時に扉の表から鍵を開ける>などの機能を持たせることのない純粋に飾り用の壁掛けである。以前にもコラムに書いたが”緊急時に云々”の用途のあるものよりも何も実用性のない作品の方が制作している時の楽しさが格段に違う。勿論、民芸運動のように日常的な暮らしの中で使われる日用品に「用の美」を見いだすことは十分に理解できるが、今回のトイレ・風呂場用の壁掛けは自分で言うのもおかしいが目的が余りに「小賢しい」ので好きになれなかった。その点、今日掲載した壁掛けは自由に制作できた。階段状に見える部分は粘土を彫り込んで、本焼成する時には青色ガラスの破片を並べておき溝全体にガラスを溜めるようにした。ほぼ計画通りに青色を付けることに成功。小さな扉は蝶番の付いて開閉できるがただの遊び。右下の出っ張り部分には小さな人形などを座らせることもできる。これからも色々な壁掛けを造るのは楽しいだろうが我が家にはそれほど壁のスペースがない・・。

8月22日(日) <携帯電話を気楽に外国へ・・・>
携帯電話を気楽に外国へ持って行くと超高額な請求を受ける可能性があるらしい。こんな噂を聞いてi-Phoneを扱うところで確認すると事実のようだ。噂できいたのは一週間の海外旅行の期間に100万円の請求を受けたとか、一日20万円の請求とか・・。使用しないでこんな高額な請求を受けるなど信じられない。ところが日本国内でi-Phoneを使用する場合は限度額を契約しているので、その範囲での請求で納まるけれども、海外にそのまま持って行くとアプリの自動更新とか自動メールチェックだとか勝手に通信した分で国内の限度契約に関係なく高額の請求を受けることがあるという。対策は、i-Phoneを持っている場合海外では設定を全て切っておくこと(パケット通信をoff)。それにしても詐欺商法まがいの請求で多くの人が悲鳴を上げている現実、何とかならぬものか・・。
「今日の写真」は東京駅の側、八重洲通りツムラビルにある「キリン像」。何故かこの近辺の環境にすっきりと納まっている。作者は彫刻家・安藤泉さん(=ここ、作品集が面白い)。
2011-08-22@東京・日本橋ツムラビル

8月23日(月) <「ヘクソカズラ」の花・・・>
「ヘクソカズラ」の花が咲いていた。カタカナで書くとまだいいが、漢字では「屁糞葛」とまあとんでもない名前を頂戴している。葉や茎に悪臭があるのでこんな名前がつけられたというが、花をにおってみたが何も臭くはなかった。「ヘクソカズラ」に限らず、「イヌノフグリ(犬の陰嚢)」など植物に対して人間はどうしてこれほど可哀相な名前を付けるのだろう。「ヘクソカズラ」の花は中心部が紅紫色でお灸を据えた跡に似ているので「ヤイトバナ(灸花)」の別名があるが、この名前にもまた愛情が感じられない。「ヘクソカズラ」の花以上に今自然教育園(=ここ)で花が真っ盛りであるのが「コバギボウシ(小葉擬宝珠)」。花の蕾(つぼみ)が「擬宝珠(ぎぼし)」(=神社などの欄干の柱上に設けられた飾り)に似ているからこの名が付けられた。花の最盛期である今にはとても「擬宝珠」を連想できなかった。それにしても植物は名前など一切関係なく季節が来れば美しい花を咲かせる・・。
 
2011-08-23@自然教育園(東京・港区)
8月24日(火) <「ヨセミテ予習A」・・・>
「ヨセミテ予習A」(ペンと水彩)の絵を表紙に掲載した。明日夜羽田を出発してアメリカ・西海岸のヨセミテ国立公園(1984世界遺産登録)を旅行する。サンフランシスコで娘一家と落ち合い、キャンピングカーを借りてヨセミテ観光。私たちの夫婦だけでなく娘婿さんの親も一緒のキャンピングカーの旅なので若い夫婦に詳細は全てお任せだが、このところ少しヨセミテのことを予習をした。サンフランシスコから数時間、どの道を通るのか、どこが見所か、キャンプ地はどこかなど事前の調べも楽しい。ついでに2-3スケッチの予行演習をしたものが表紙に掲載した絵(一枚は下)。実物を見てのスケッチでないが、写真を見て描いたので崖や山の形などは頭に入った。現場で見るときには事前のイメージとどう差異がでるだろうか。崖の色が赤くなっているのは初め「ガラスペン」の葡萄色を使って描いたため。途中からペン画だけではなく水彩を加えたのでこんな色になった。ともあれ、明日からしばらくコラム休みます。
 
ヨセミテ予習A                    ヨセミテ予習B

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