柴田淳 4th Album わたしMattHomePage

柴田淳「わたし」ジャケット写真柴田 淳 4th Album『わたし』

2005年3月30日発売 ¥2,900(税込¥3,045) Dreamusic MUCD-1118

発売日前日に抜け駆け購入してひと月目のレビューになる。別に忙しくて聴いていなかったわけではない。聴いた回数は自宅だけでも15回。ポータブル機器で聴いた回数も加えたら、軽く20回を軽く超えるだろう。それでも書けなかったのは、聴く度にどんどん評価が変わっていくからだ。評価の定まったはずのシングル曲(「白い世界」「ちいさなぼくへ」)ですら、アルバムの中に入れると大きく印象が変わってくる。

しっとりしたしばじゅんの世界は変わらないが、何かが変わっている。今まで何か作られた物語的な要素を感じたものが、今回は相当内面世界を掘り下げたものに・・・。そのこと自体は、先行したシングルからも感じ取れていたのだが、情景描写が取り入れられたりして、より見えるかたちにまとまって来つつある。アルバムとしてのまとまりという点でも、「一人暮らし」に象徴される大人の女性として自立していく柴田の内面がうかがえて面白い。ある意味ほほえましく、ある意味若さに嫉妬したりして・・・。

1曲目の「おかえりなさい。」は柴田お得意の恋愛曲なのだが、わかりやすさと歌唱の魅力の点で、2曲目のちょっと難しい「白い世界」への導入をうまく果たしている。ここまでが羽毛田の編曲で、オルゴール(キーボードシンセ)のイントロを入れて、瀬尾の編曲になる「あの夏」「ちいさなぼくへ」と続く。

6・7曲目「いつか王子様も♪」「道端」とシンセの目立った編曲で、最初聴いたらちょっと浮いた感じがするのだが、曲自体はよくできているし、アルバムのスパイス的な扱いで全体を見たらいい感じだ。この後オルゴール(キーボードシンセ)を入れていったんテンション落としてからラスト3曲に移る。この辺構成にかなり工夫の跡を感じられる点にも注目。

そしてなんと言ってもすばらしいのが、「幻」「一人暮らし」「わたしの夢」と続く名曲・名編曲の3連続。(編曲は前2曲が羽毛田、最後が塩谷)本人があこがれの競演と言っていることもあり、柴田の歌唱も魅力的で、バックのストリングスやピアノとの絡み合いがとても美しい。もっとも作曲だけ見ると、特に最後2曲は彼女にしては平凡なのだが、それを上回る何かがあるのに気づくかどうかで、評価が分かれるだろう。

今回のアルバムの特徴として、豪華な編曲と魅力的な歌唱がある。イヤホンや小型コンポでうわべの歌唱だけ聴いたら魅力半減。ぜひ高音質なオーディオシステムやまともなヘッドフォンを使って、曲全体を芸術作品として聴いてみて欲しい。(Apr.29.2005)

■関連情報 歌姫:柴田淳 特設:柴田淳 9th Single ちいさなぼくへ

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