流通経済大学 vs  関東学院大学
1998年10月30日(金)

秩父宮ラグビー場


■結果
流通経済大学25(15) - 14(8)関東学院大学

■雑感
なんと、1部に昇格して2シーズン目の流通経済大学が、去年の大学ラグビーの覇者、関東学院大学に圧勝してしまった。トライ数は、流通が4に対して関東が1。これは、関東の完敗だ。ノーサイドは、ちょっと感動ものだった。少し、震えがきたぞ。
客は1,200〜300人ではなかったか。隣の神宮の早慶戦の応援がうるさい。静かな中でゲームは始まった。まず、関東がPGで3点リード。さらに、トライで8-0。しかし、そのあと、8-3、8-6、から流通トライで8-13。ここから、流通のリードは最後まで覆らなかった。客は、関東が勝つだろうと思っていた。それは、流通の応援に駆けつけたファンも同じだったろう。派手な応援はない。だから、前半の20分過ぎに流通が逆転しても、流通ファンはかけ声などかけていなかった。8-15で流通がリードして前半を折り返すときも、静かだった。静かすぎて、不気味だった。そう。不気味な静寂が、秩父宮を支配していた。声援や罵声はどこにもない。もちろん、両チームの乱闘もない。静かに、静かにゲームは進んでいった。
流通のファンが、意外と多いのは気がついた。小旗をもっている客が、割と多い。昨年の覇者、関東の応援が、少なすぎるのが気になるほど。果敢に攻める流通に、声援が飛び出したのは、後半も20分を過ぎるあたりから。「こりゃ、ひょっとして、勝てるかも」。そうした気分が、眠れる流通ファンの目を覚まさせたようだ。それから、ノーサイドまで、流通のプレーに声援と拍手が鳴り止まないほど。ワンプレー、ワンプレーが、じれったい。リードはしているものの、逆転されるのでは、という不安。しかし、35分を過ぎて、関東はいらだちもピークに達してミスが多くなる。勝利を確信した流通ファンは、声援を送りつづける。
茨城の田舎で東京の中心で喝采を浴びることの少ない、流通経済大学。野球も強くなっているけれど、ラグビーもなかなか強くなった。わざわざ田舎からやってきた学生も、喜びをカラダで表現していたぞ。学生数も少ないし、遠隔地なのに、やってきたファンは、さぞかし喜んだことでしょう。
お願いしたいのは、大東のように勝利ズレして、東京の中心に出てきたファンが妙な歌や罵声を覚えたりしないで欲しいということ。素朴な、でも、強いラグビーをこれからも、お願いします。伝統と知名度だけで強い選手を集めただけのチームに負けることなく、これからも精進してください。関東だって、そうやって無名から学生No.1になったのだから。

■試合
同じようなタイプの2校だ。軽いフットワークで、ひゅんひゅんと走り、パスして、つっつつつーと、抜ける。そんなラグビーを期待した。期待に応えてくれたのは、流通経済大学。関東は、いいところなく、流通のディフェンスにつぶされた。
流通のディフェンスが、いい。関東がボールを支配して、ランニングして、お、余った、流通のディフェンスいないぞ! なんていうことが、何回かあった。しかし、どこから沸いてくるのか、さわさわさわと集まってきて、タックル。強烈なタックルではないが、執拗なディフェンスに関東の攻撃陣は倒れる。で、ラック。関東が支配しても、次の攻撃ができず、タッチに蹴出す。そういう展開だった。
後半になると、同じようなパターンでも、ラックで流通がボールをかっさらうシーンが多かった。負けを意識してか、浮き足立ち、興奮している様子がわかった。
ミスは、そこそこあった。けれど、関東のは相手ディフェンスの執拗なタックルなどでボールを落とししたりの、いわば、相手に利を与えるものだった。流通のは、パスミスが、あった。これは、攻撃中だが、ああ、これが通っていれば、と思わせるシーンで多かった。とくに、後半の20分前後には決定的なシーンも何度かあったのに、追加点がなかなか得られなかった。そういう、攻撃中のミスが、いくつかあった。しかし、カバーディフェンスがしっかりしているので、パスをカットされてもちゃんとフォロー。よってたかって、引きずり倒していた。しかも、そういうボールも、マイボールにしてしまう強さがあった。
流通の5番、ロックの選手が凄かったな。相手ボールをもぎ取ってしまう。FBのニールセンだっけか、もタックルされても倒れない。つなぐ。横につなぐとたいていボロが出るものだけれど、うまい。これも、素早いリカバリーがあるからだろう。
流通も、相手のミスにつけ込むトライが多く、きれいな、うつくしいトライはなかったけれど。でも、そうやって、ミスにつけ込むことが出きる素早さと判断力は、特筆ものだ。

■出来事
今回も、流通はハーフタイムにロッカー室にもどらず、芝生の上でなにやら作戦会議。ストレッチはしていなかった。25度を超える陽気だったせいかな。
部歌の斉唱から、校歌の斉唱に、いつのまにやら変更したようす。ちぇっ。

■客の入り
陽気のいいせいもあってか、1,500人ぐらい入ったのかな? もっと少ないかな。しかし、大学の覇者関東と、いま、勢いのある流通の試合にしては、寂しすぎる。
明日は、慶応vs明治。今年は慶応が強いこともあるし、満員かな? 明日のゲームより、今日のゲームの方が意味があるし、価値もあるし、面白かったのにねえ。

■天気
25度を超える暑さ。半袖のねーちゃんもいたぞ。おかげで、銀杏並木は、色づくのが遅れ気味?


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