1999年4月14日(水)


■染井霊園-とげぬき地蔵



●こぢんまり、の染井霊園

水曜日の午後。時間があまってしまった。花見には少し遅いけれど、行ったことのない染井霊園へ出かけてみたぞ。巣鴨までは電車。巣鴨は、6年ぶりぐらいに降りるなあ。駅から、とげぬき地蔵方面は知っているけれど、東側に回り込む。仏壇屋が何軒かある。ふーん。で、そのまま北上。ほどなく霊園エリアに入ってしまう。なんだ。こんなに近いのか。看板の地図をみると、さほど広くない。まずは事務所へ行って地図でももらおうと歩いていくと、なんだ、霊園の端から端まで歩いてしまう。あれれ。

●地図代に緑の募金に100円寄付

「園内の案内図、あります?」と聞いたら、「ありますが・・・」とといい、「緑の募金に寄付していただければ・・・」と言われてしまう。10円にしようと思ったけど、みみっちいかな、という羞恥心が出てしまう。結局100円払う。緑の募金なんて、どこがやってるのか知らない。こういう得体の知れない募金は好きではないのだが、「じゃあいいです」と引き下がるのもなんかなあ、なので、結局A3サイズ1枚の紙に100円も払ってしまった。非常にもったいないと反省。

●園内は、公道のように人の通行が多い

この霊園は、非常にわかりやすい構造をしている。道がタテとヨコにしか走っていない。雑司ヶ谷の迷路みたいな道筋や、谷中のどこからどこまでが霊園内か境界が分からない、というのと大違い。ま、その分、あっさりしすぎているともいえなくはないですが。桜は、ほぼ散ってしまっていて、葉桜状態。その下を、人がたくさん行き交います。自転車でびゅんびゅん飛ばしている人もいます。これは、園内散策ではなく、抜け道として近所の住人が利用しているのでしょう。ふつうの路地とかわりない。まあ、青山墓地みたいに狭い道をクルマがびゅんびゅんより、だいぶのどかですが。

●宮武外骨の墓を見た

もらった霊園案内図には、66人の有名人が載っています。でも、知っているのは10人ほど。岡倉天心、幣原喜重郎、高村光雲・光太郎・智恵子、浜尾四郎、二葉亭四迷、水原秋桜子、宮武外骨、山田美妙、若槻礼次郎。名前だけ知ってるのも入ってる。うーむ。いまの有名人、テレビで活躍している人々や政治家や、流行作家や、いろいろな人も、50年もたてば誰も知らない状態になっちまうんだろう。そんなもんだ。墓石を見たからといってどうということはないのだけれど、ここまできたのだからと。まるで修学旅行のような気分になってしまう。それで見たのが、二葉亭四迷、浜尾四郎、高村光雲、宮武外骨の墓石。外骨のは、墓石というより記念碑みたいだった。外骨先生に、合掌。

●慈眼寺の芥川龍之介の墓

霊園を西北に抜けると、いきなり慈眼寺。妙に若い人の通行が多い。あとで地図を見たら、東京外国語大学がすぐなんだね。だから、学生が通路にしているらしい。さて、慈眼寺には有名人がたくさん眠っている。芥川龍之介とその子どもたち。司馬江漢。染井霊園でもらった案内図には、近くの寺だから書いてあるねえ。なに、谷崎潤一郎? 慈眼寺の看板にあったっけ? 谷崎。うーむ。芥川と司馬の墓石は見たけど、谷崎は見なかったな。うーむ。もったいなかった。ちなみに、司馬江漢のは東京都の看板があったけど、芥川にはなかった。東京都の看板は、他に1人いたけど、よく知らない人だった。有名度とは関係なく、東京都は史跡として認定するのだね。うーむ。新しい人は認定されにくいのかな。芥川家の墓は、こぢんまりしていて、普通の墓石だった。

●本妙寺には、遠山金四郎の墓

このまた近くの本妙寺。遠山金四郎、千葉周作の墓がある。ここは、背の高い白い杭が墓石の間に打たれていて、そこにだれそれの墓はこっち、というように矢印が書いてある。さらに、小さな看板もあったりして、とても分かりやすい。まあ、もっとも、分かりやすすぎてちと安っぽい印象は否めないけど。明暦の大火の供養塔というのもあったけど、とくにどうというものでもない。なんか、妙に明るい寺だった。ちょうど数人の人足(一発で変換されないところを見ると、差別用語なのか?)が一服しているところだった。きっと「墓石何ぞみて、なにが面白いんだ」と思っていることだろう。そういえば、染井霊園からほぼ同じような行動の老夫婦がいた。奥さんは芥川の墓石の横に立ち、旦那が写真を撮っていた。今度は、遠山金四郎の看板の前で、写真を撮っていた。うーむ。勝手にしてくれい。

●とげぬき地蔵方面へ

白山通りを渡り、とげぬき地蔵のある通りに出る。出店がいっぱい、ババアもいっぱい。そーか。4の日だから、縁日なんだ。それにしても、ババアが本当に多い。10年したら、半分はこの世にいないんじゃないかと言うような老人たちでいっぱいだ。そして、老人目当ての健康食品や自然食品、饅頭屋、煎餅屋、衣料品、あれやこれやなんだかんだが盛りだくさんで売られている。ばあさんにしか渡さないチラシすらある。うーむ。面白い。老婆が、托鉢の僧に背中をさすられている。きっと気分でも悪くなってよろっときたんだろう。なにか、鬼気迫るものがあるなあ。



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