次のストーリーを送る



さて。次のストーリーもてれてれ書き始めました。もちろん、会社でね。って、懲りない僕ですが、家なんかで文章書くのは大変だよね。ちゃんと机があって、さあ書くぞ、って環境がないと。その点、会社は広告の文章なんかも日常的に書いていたし、周囲がちょっとぐらいうるさくたって対峙するのは40字×20行の液晶画面だけだから、まあ集中できる(僕の場合ね)。で、ちょっと自分が書きたいものに内容が振れてしまった。つまり、広告業界を舞台にした。内容は、魂の輪廻みたいなの。当然出てくる人物は20歳以上の成人で、舞台も学校とかでなく一般社会になってしまう。な話を3カ月くらいかけてたらたらと書いたのです。で、担当者に送った。そうしたら・・・
「うーん。読者対象がちょっとうちの文庫とは違う。商品として考えると、これは本にはできない」の一言でした。あらら。商品ね。そうなのだ、本は商品なのだ! これはグサっときました。自分の好きなことを書けばいいわけではない。売れるものを書かなくてはならない。当然のことだけれど、改めて目からウロコ。
で、気を取り直して、織田信長の血痕が残っている短刀から信長のDNAを取り出して、信長を現在に再生させるという、SFファンタジーをば書きました。完全に再生されるまで、羊水の中に浮かび、大型コンピュータと脳が連結されているのですが。これも3カ月かかって書いた。そうしたら・・・
「あなた、ファミコンとかします? あそう。したことない。うーん。ドラクエなんかの主人公は、はじめは非力だけれどいろいろなアイテムを手に入れて、だんだん強くなって悪を倒す。そういう、使命感に燃えて敵を倒すっていう要素があった方がいいんじゃないかな。あなたのは、全部巻き込まれ型で、嫌々というか、仕方なく戦っている。それに、読ませて貰った原稿の悪は信長だけれど、いつまでもプカプカ水の中に浮いてるだけじゃ迫力がない。それに・・・ヒロインの女の子がなかなか登場しないでしょ。ヒロインは、少なくとも読み始めて50ページまでには出てこないと」
と、ストーリーを書く場合の常套テクニックを教授された。さらに、
「あなたの書いているものを見ると、登場人物に艶が無いというか、魅力がないというか。まるであなたが現実社会の中で人間に対して興味が無いみたいにそっけなく書かれてる。言葉で言うのは難しいんだけれど、わずかなことなんだけれど、人物に魅力を感じるような描き方をして欲しい」
といわれてしまった。うーん。しかし、なかなか的をついている。
僕が人間に興味がない。それはいえているかも知れない。人間嫌いなところあるし。広告の文章に慣れてしまったせいで、文章に厚みがなくなったのかしら? こういうことを僕のことを知らない人に、僕が書いたものだけからいわれるのは説得力がある。
それはさておき、あっという間に自分の本が出てから半年が過ぎてしまった。げげっ。





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