待ちぼうけの日々



発表は、翌年の3月上旬発売のスーパーファンタジー文庫に挟まれてくるチラシである。しばらくは応募したことは忘れることにした。新たなストーリーを書くこともしなかった。次第に仕事も入ってくるようになったからだ。忙しいのにストーリーづくりなんかやってられるか! というわけで、よく仕事のかたわらにとか、早朝に書くとか、休日に書くといった作家の人がいますけれど、僕にはできない。尊敬してしまう!
で、年を越して2月くらいになると、ちょっとそわそわしはじめた。なにしろ100万円だ。最終選考の結果は3月上旬に発売される文庫の挟み込みに発表される。順調なら途中結果が2月くらいに発表になるはず。でも、もう過ぎようとしている。ううう。どうなっているんだ?
どうなっているんだ? というまま3月へ。途中経過が発表にならないのなら、3月上旬発売で結果発表か? で、3月14日。本屋に行くと3月上旬発売のスーパーファンタジー文庫が売られている。心そわそわ早速中を見ると、おお、挟み込みチラシに中間報告が印刷してあるではないか。なになに、一次選考通過者80名と二次選考通過者38名・・・おお、望月 明(ペンネームってやつね)があるではないか。しかも、上に赤い星マークがついているから二次選考通過だぞ。うふふふふふふ。思わず笑みがこぼれちゃいました。しかしなあ、応募が800余編中だかんな。一次選考通過だけでも10%の確立で、二次選考通過だと5%の確立なんだぜ。と、自慢してしまう僕だったりして。で、最終結果の発表は来月、4月上旬売りの文庫の折り込みチラシだという。
さて、そこで僕は考えた。
挟み込みのチラシは4色カラーだ。ということは、印刷と折りに2週間くらいはかかる。しかも、発表のときには選考過程などの文章が入るはずだ。ということは、選考委員が最終選考に残った作品を読んで、合評会のようなものをして、入選作品が決定して、それから選考理由などの文章を書くまでの時間も入れれば、正式発表の1カ月前くらいには入賞作品は決まっているはず。でなくては、4色カラーのチラシなどつくって挟み込むことはできない。ということは、この1週間ぐらいの内に連絡がある可能性がある! むふふふふ。
こういう知識は、まあ、コピーライター何ぞをやっていて、デザイナーや印刷関係の人とふれあっていれば何となく身についてしまう。というわけで、僕はその週をデッドラインに設定した。7日を過ぎたら、100万円はない、と。
当然のように7日は急行列車のように過ぎていき、どうやったって印刷が間に合うはずのない日々へと突入していった。はじめの内は「ちょっと遅れているだけさ」と思いこもうとしていたが、それも無理なカレンダーとなっていった。「ちぇっ」などと、ふて腐れは諦めに、諦めは忘却の彼方にフェードアウトしようとしていた。





|ホームページへ戻る|