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第61回 定期・慈善演奏会

十字架 その受難と栄光

カトリック豊島教会カリタス釜石(大震災復興活動支援)のために

日程:2018年7月27日(金)19時開演(18時半開場)
会場:カトリック豊島教会

指揮:青木洋也
オルガン:浅井美紀
合唱:東京スコラ・カントールム

<演奏曲目>

ハインリヒ・シュッツ Heinrich Schütz
 /新しい歌を主に向かって歌え Cantate Domino
アントニオ・ソレール Antonio Soler
 /主を讃えます Laudate pueri Dominum
ヨハン・アダム・ヒラー Johann Adam Hiller
 /神の平安 Der Friede Gottes
フェルナンド・ソル Fernando Sor
 /十字架よ、私達の唯一の希望 O Crux, ave spes unica 
アントニオ・ロッティ Antonio Lotti
 /彼は十字架につけられた Crucifixus
シャルル・グノー Charles Gounod
 /十字架上のキリストの七つの言葉 Les sept paroles du Christ sur la croix

 


プログラムノート

「十字架 その受難と栄光」をテーマとする演奏会の最初の3曲は、神への賛美の歌です。

1曲目にハインリッヒ・シュッツ(1585-1672)の『新しい歌を主に向かって歌え』(詩編149)を演奏します。現在のカトリック教会では典礼聖歌の13 番で歌う詩編です。シュッツはJ. S. バッハ生誕の100 年前に生まれ、ドイツ音楽の父と呼ばれています。プロテスタントの作曲家ですが、作品の歌詞の多くは国際語であるラテン語、すなわち従来カトリック教会で使われていた言葉を用いています。当時のキリスト教会の事情によるものでしょうが、シュッツが師事したのはヴェネツィア・サンマルコ教会のオルガニスト、ジョヴァンニ・ガブリエーリであり、また作曲活動をしていた時に仕えていたのがザクセン州の選帝侯ヨハン・ゲオルグⅠ世であったことにもよると考えられます。ゲオルグⅠ世はプロテスタントでしたが、常に中立の立場をとり続けたことで知られています。

2曲目はアントニオ・ソレール(1729-1783)の『主の僕らよ、主を賛美せよ』(詩編113)です。この詩編も典礼聖歌の51番で歌われています。作曲者ソレールはあまり知られていませんが、スペイン・マドリッド近郊のエスコリアル修道院で31年間を司祭として修道生活を送る中で、コンチェルトやオルガンと弦楽器のための五重奏曲、モテット、ミサ曲、オルガン独奏曲など多彩な楽曲を手掛けています。今日歌う賛歌は、カトリックの純粋な信仰生活の中で生まれた賛美の喜びを歌い上げています。

3曲目はヨハン・アダム・ヒラー(1728-1804)の『神の平安』です。ヒラーは18 世紀にドイツ・ライプツィッヒで主として音楽教育の分野で活躍し、ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者、トーマス教会のカントールなどを務め、また女性の音楽活動を推進したことでも知られています。『神の平安』の詞は、パウロのフィリピ信徒への手紙の一節で、ドイツのプロテスタントの賛歌にふさわしく、神の平安が私たちの精神を護りますように、という祈りです。


後半は、主題である十字架の曲を演奏します。

4曲目は『めでたし十字架、こよなき希望よ』です。作曲者はスペイン・バルセロナに生まれたフェルナンド・ソル(1778-1839)。この名を聞いて驚かれた方は、ギターに詳しい方でしょう。あのソルがこのような宗教曲も作っているのです。ソルは、音楽教育をバルセロナ、モンセラート修道院で受けました。オペラ、交響曲、弦楽四重奏曲、ピアノ曲、バレー音楽、合唱曲など、幅広いジャンルを手掛け、中でもバレー曲『シンデレラ』は100 回以上公演されたそうです。有名なギターの教則本は晩年、ナポレオン派の支配を逃れて活動の場をパリに移して著したものです。
曲の歌詞は、Vexilla regis からとられています。これは6世紀に作られたもので、後に受難の主日の晩課中の賛歌に取り入れられています。

5曲目は『彼は、十字架につけられた』です。これは、ニケアコンスタンチノープル信条(いわゆるクレド)の中の受難の一節を歌ったものです。作曲者アントニオ・ロッティ(1667-1740)はヴェネツィアのサン・マルコ教会のオルガニストでしたが、世俗的なオペラも作り、売れっ子の作曲家として有名になり、それがドイツ・ザクセン州の選帝侯の耳に入って、ドレスデンの宮廷に招聘され、候の婚礼祝賀のためのオペラを作り上演するなどして2年間過ごしました。その時にJ. S. バッハやヘンデルに大きな影響を与えたと言われています。
曲は二重コーラスで、短い中にもきわめて重厚な響きがあり、バッハらの耳に驚きを与えたのかもしれません。

最後に演奏するのはシャルル・グノー(1818-1893)の『十字架上のキリストの七つの言葉』です。シュッツやハイドンが曲を付けています。グノーのこの曲にある深い宗教性は、子供のころに培われた信仰心の表出に他ならないでしょう。天才的音楽家グノーは、18歳の時パリ音楽院で「ローマ大賞」を受賞して3 年間ローマに滞在し、音楽に関する知見を豊かにするとともに、神学や信仰に関する知識を深め、聖職者を目指すまでになりました。30 歳を超える頃までは宗教曲だけを作っていました。しかしある時依頼されてオペラ『 サッフォー』を作って以来、劇場用の音楽に目覚め、『ファウスト』などの不朽の名作を次々と世に出しています。
『十字架上のキリストの七つの言葉』は1855 年にパリのオルフェオン合唱協会の指揮者の時に聖金曜日の典礼のために書かれ、パリ教区のシブール大司教に献呈されたものです。この曲では、十字架上でのキリストの7つの言葉の前に、キリストがゴルゴタへ引かれてゆくときに後に従ってきた婦人たちにかけた言葉が導入曲として加えられています。

 

61th

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