「年下の人」 |
2000年6/3 於渋谷 |
何が恥ずかしいって、この題名と裸の二人が重なっている表紙のパンフを持って歩く事でした。(笑) いやまあ、題名はともかくとして。 ジョルジュ・サンドとミュッセの物語です。 ジョルジュといえば、ショパンとの恋愛が有名ですが、ミュッセとのこんなに長きに渡る、愛と確執があったとは知りませんでした。 しかし、この映画はなんだかわかリにくかったです。 内容が難しいってワケじゃなくて・・ 年下男の甘えと薄情さと身勝手さ、それを許したり、怒ったり。ベッドの中まで仕事を持ちこんで、二人の時間を大切にしようとしない彼女に苛立って、彼がプッツン切れたり、そんな激情に耐え兼ねた彼女が他の男に安らぎを見出して、別れて、でもまたくっついて、喧嘩して、あてつけに婚約したり、よりが戻ったり・・・ なんか段々、「なんだねこれは・・・」 という気分になってきて、終盤でお互いの事を手記に書くうんぬんの辺りでは、芸能人の暴露本合戦を見ているようでした。(まあ、実際その当時はそういう風に読まれたんだろうけど) それが後世、芸術作品にまでなる辺りが、流石。 それで、「私が心から愛したのは彼だけだった。」と言われても、なんだかねー。今一つ脚本に説得力がなかったっす。しかも、世は19世紀、パリコンミューンの時代。窓の外は荒れ狂ってるのに、芸術家ともあろうものが、こーんな無関心でええのんか?? と、思ってしまいました。 そうそう、何故これを見に行こうかと思ったかと言うと、衣装がクリスチャン・ラクロワだったんです。 ラクロワと言えば、あの刺激的な色使い、華やかで、きらびやかな印象があります。 大好きなデザイナーです。(買えないけどな) それが、全般的に地味〜地味〜地味〜。唯一ミュッセのジレだけがラクロワ風でした。すっごい期待はずれで、がっかりしました・・。きっとそれで全体の印象も悪いんだな。あ、ジュリエット・ビノシュは綺麗でした。 |
「グリーン・マイル」 | |
2000年4/30 於池袋 | |
いわずもがなの、評判作です。とても、混んでいました。 これは・・なんといっていいのか・・。 良い映画だったと思います。しかし、周り中が号泣している中、泣けなかった私は冷たいのかっ?と、焦っていたら一緒に行ったキングファンの友達も泣いていなかった・・ 何故だろう?と、考えた末、多分もう行く前に勢いづいて 「さぁ。泣くぞ!」と、気合が入りすぎていたからでは? 私は原作を読んでいないのですが、かなりはしょられたエピソードが多いようです。 セットは良かったなあ。あの、教会のような死刑囚棟。 グリーンマイルはさながら聖堂の通路のように見えました。そして、囚人や看守達一人一人の個性がきっちりと描かれていて、なによりその体躯を生かしたマイケル・クラーク・ダンカン。彼なくして、この映画は成り立たなかった事でしょう。 キャストは本当に良かったと思います。 流石に「ショーシャンク」のダラボンだけあって、何と言って良いかわからない、開放感や幸せな気持ちになる映像、映画でした。 ただ、何だろうなあ・・?理由はしかとは言えないのだけれど。私は、「ショーシャンク」の方が好きでした。 「奇跡」に重点が行きすぎてたのかな? |
[理想の結婚」 | |
2000年4/28 於渋谷 bunkamura | |
最終日の最終回に滑り込みました。 祝!ルパートエヴェレット完全復活作。とでも呼びたい作品でした。 主演(?)のケイト・ブランシェットはとてもあの若さとは思えない貫禄の若奥様ぶりですし、ジョン・ウッドを 始めとする、芸達者な脇役の一人に至るまで、完璧な映画でした。(ちょっと、誉めすぎ?) 原作は、あのオスカー・ワイルド。 映画の中でも、ワイルドの芝居が上演されているシーンが登場しますが、まさに「あの時代」なわけです。 貴族が貴族たり得た、ダンディズム最後の時代。 とはいっても、この映画はその時代を懐古する映画ではありません。ワイルド作品の優れた点は普遍性にあります。 ここでも、夫婦間、恋人間の今に至るまで続く悲喜劇が時の政治情勢やゴシップと絡めて描かれています。 「理想の夫とは?妻とは?結婚とは??」を、問い掛けつつ、イギリス独特のピリっと毒の効いたユーモアで笑わせる。本当に、久しぶりに映画館で大笑いしました。 そして、なによりその衣装とセットの素晴らしさ。 婦人達の夜会服、外出のコート、乗馬や散歩の洋服、お茶の時のくつろいだ家庭服。ドレス大好きな私は至福の思いでした。さらに、この映画の見所は数多く登場するダンディたちの装いです。お洒落や粋や、ウィットをいとわないどころか生きがいにすらしている、そんな美しい、男達。 中でも、ロンドン一の怠け者(ちなみに、誉め言葉) ゴーリング卿は、その最たるもので、演じたルパート・エヴェレットは、本当に良い年の取り方したなーと、思いました。 イギリス好き、ドレス好きにはたまらん映画でしょう。 ビデオ化されたら是非見てください。大人の映画です。 ちなみに、全然関係ないですが、この日文化村内で江角を見ました。 ・・カンケイないっすね。 |
「ビューティフル・ピープル」 | |
2000年3/12 於銀座 | |
99年のカンヌで「ある視点」部門グランプリ受賞作。 ボスニアからの避難民とそれを迎えたロンドンの人々との交流が描かれています。 と、聞くと深刻な内容を想像するかもしれませんが、イギリス映画をなめてはいけない。(監督はボスニア人) これでもかっっというほどの、ユーモアと皮肉と笑いと涙に彩られた、上質の映画です。 5つのエピソードを繋げたいわゆるオムニバス映画だけれど、それぞれの登場人物はお互いの話に登場するだけであまり関わらない。 ともかく、しょっぱなから、ここで会ったが百年目のセルビア人とクロアチア人のロンドン中の追いかけっこ 「ロンドン代理戦争」でいきなりやられます。 そして、中途半端なフーリガンが間違いで戦火のボスニアに降り立ってしまいボランティアで英雄になってしまう 「気が付けばボスニア」など、そんなんありかい?? と、思いつつ、ドラッグが戦場では人の痛みを救う薬にな る皮肉に笑いつつ、どんどん話に引き込まれていきます。 もちろん、笑いの背景にある彼らの現実はとても重く、「赤ちゃんの微笑み」や「LIFEノイミハ?」などで語られる戦場の記憶は、凄惨です。 それでも、この映画はすべてを笑います。 戦争を、イギリスを、仕事を、人生相談を、上流階級を。 「民族浄化」作戦によって生まれた赤ん坊のてのひら。 僕は皆さんと変わらない、と握手を求める元兵士。 病室でポーカーに興じるセルビア人とクロアチア人とウェールズ独立主義者とイギリス人看護婦。 彼らの手が重なるところで、FIN。 決して心温まる映画というわけではありません。 けれど、新天地で生きようとする人々と、彼らを迎えてまた自らも生き直そうとするロンドンの人々との、おかしくて、苦い、そして、人生の喜びにあふれたそんな、愛すべき映画です。 蛇足ながら、出演のボスニア人たちのほとんどが素人だそうです。 |
「アンナと王様」 | |
2000年2/26 於有楽町 | |
何度も映画化、舞台化されてきたアンナ・レオノーウェンズのシャムでの経験を綴った原作の、最新映画。 と、紹介するのが正しいと、私は思います。 少なくとも「王様と私」のリメイク版ではありません。 実は、これを見る前にたまたまTVで「王様〜」を見てなんちゅー映画じゃ。と思ってしまったもので。 いや、ミュージカルとしては傑作だと思います。 でも、端々に東洋蔑視、西洋至上主義が見え隠れしていて 昔見た時には気にならなかった部分が、とても気になりま した。 今回の映画では、まずモンクット国王をちゃんと東洋人で あるチョウユンファが演じている事。シャムの文化や風習 をキリスト教的道徳心で一蹴していない事、アンナに、イギリスを代表する傲慢さや、女性としての浅はかさがある事。などなど きちんと、逃げずに描かれていてとても良かったです。 彼女以外のイギリス人の描かれ方、例えば東インド会社の キンバリー氏なんか、興味深い人物でした。 この映画を、恋愛映画と見るかは、意見の分かれるトコだと思います。私は、互いの文化、背景を踏まえた上での大人の恋愛映画だと思いました。 好きなのに、想いを告げなかったり、あきらめたりするのは、本当はそれほど好きじゃないからだ。と言う人がいます。それも、ひとつの真理です。 でも、それはやはり子供の恋愛だと思うのです。 大人には、悲しみを湛えて微笑む事もあるのだと。 想いや、寂しさや、孤独を、凛とした微笑みに押し隠して見詰め合うしか出来ない恋もあるのだと。 そんな事が胸に迫って、切ないラストシーンでした。 あーあ。大人は辛いよな。 |
[ロルカ・暗殺の丘」 | |
2000年1/29 於日比谷シャンテシネ | |
アンディガルシアがあの、詩人ロルカを演じると言うので 映画内容の予備知識はないまま、出かけました。 予想通りというか、予想以上の出来映えの映画で、非常に、充実した時間を過ごせました。 アンディは、ダンディで、当時カリスマ的人気のあったロルカを彷彿とさせます。 映画は、ロルカと言葉を交わした事のある少年が、大人になってスペインへ戻り、彼の死のなぞを追って行くうち に、さまざまな事件、悲劇にでくわすというもの。 一緒に行った友人は、その謎解きの部分を重視していたようで、ちょっとご不満もあったようですが。 私は、この映画のテーマは、あのスペイン内戦によって、全ての人が、傷ついたのだ。という事だったと思います。 その傷を抱えて、今もスペインの人々は生きているのだと いう事。 こういう切り口で、スペイン内戦を描く映画が、ここ数年 増えてきた気がします。 何年か前、「大地と自由」という映画がありました。 大好きな作品でした。あの映画も、義勇軍側をひたすらな 善とは描いておらす、理想と現実、挫折、と胸の痛くなる るような作品でした。 「ロルカ」にも、深い絶望があります。 それでも、人は生きていかなきゃならないし、時がやがて 癒してくれるのでしょう。 しかし、全編英語だったのだけが、ちと残念。 詩の朗読はかなりミョウチクリンに聞こえたぞ。 |
「シックス・センス」 | |
2000年1/22 於渋谷文化会館 | |
遅い!見に行くのが遅すぎますな。 昨年の夏、アメリカに滞在中毎日CMを見ていたのと、あまりにも、周りの友達が勧めるので、結局見に行く羽目に。 見た人々が、「秘密」は、本当に言えないというのが、よーく判りました。 これは、言えないわ・・・そういう意味では、脚本に賛辞を贈りたいと思います。 それから、幽霊と言えばゾンビや恐ろしいものというのが アメリカンな考え方だったと思うのだけど、この幽霊たちは、ある意味日本人に馴染みのある(ていうのも、変だけど)幽霊たちでは? そして、主演の彼は本当に可愛い! だれもが好きになるキュートな男の子ではないけど、あの役には本当にぴったりでした。 プロ意識も高いようで、演技も上手だ・・・ しかし、アメリカでTVSPOTを見ていたとき、英語が聞き取れず、「少年が出ている&6の数字を連発している」→オーメンの続編か?と、思っていたお馬鹿な私・・ |
「ストーリー・オブ・ラブ」 | |
2000年1/19 於ヤクルトホール (試写会) | |
ブルースウィルスとミシェルファイファー主演の 夫婦の危機、愛情に賞味期限はあるのか?!がテーマの映画。そのせいなのか、トークゲストは、川崎麻世&カイヤ夫妻(笑)。 でも、私は彼ら夫婦はとてもしっかりしていてしかも、カイヤはえらいと思ったぞ。 いや、話はあの二人じゃなくて。 この映画はいわゆる「トーキングムービー」というジャンルに属するのでは? 主演の二人、その友人たち、登場人物がとにかく語る。 食べたり、飲んだりしながら語る語る・・・・ 人生観、結婚観・・・もちろん、その中身は共感したりなるほどって思ったりなんだけど、それ以前に私はこの「トーキングムービー」というやつが、ダメなのだ。 ごめんなさい。 まあ、主演二人は芸達者だし、ミシェルファイファーが好きなので、それは良かった。かな? ちなみに一緒に行った既婚の友達には、考えるところがたくさんあったらしい。 |