「リトル・ダンサー」
2001年3月31日於池袋
 
初めて、池袋のシネ・リーブルに入りました。
ロビーもあって、映画ショップも入ってるし、モニターで色んな映画の宣伝やメーキングなんか流しててイイ感じです。何より、トイレが広くてキレー。
さて、最近イギリス映画は大不況だった1980年代の炭坑町を舞台にした映画が多いですね。
「ブラス!」や「フルモンティ」など。
これは、今ではもうすっかり不況を脱出したからこそ描けるって事なんでしょうか?
打倒サッチャー!!みたいなポスターががんがん貼ってあるのが、時代を感じさせます。
さて、炭坑と言えば親父の背中。日本で言えば「親父の海」いや、違うか。とにかく男の仕事、荒くれ男たち、訛りの強い英語、というイメージがあります。舞台となるグラスゴーでも男の子はボクシング、男たちは毎日ストライキに励む日々。
そんな町や価値観に、自分では気づかぬままに違和感を覚えている少年ビリーとその親友スチュアート。
ビリーはある日、町の女の子達がバレエのレッスンを受けているのを見、どうにも興味を持ってしまって、親にウソをついてバレエのレッスンに通うようになります。
主演した子役はダンスが出来て訛りが話せる、という条件にぴったりの子だったそうです。とにかく、キュートだし、はじめの頃のヘタッピなダンスや、体の硬そうな演技が本当に上手いです。
そして、怒りや喜びや感情の起伏をダンスで表現するその素晴らしさ!!
閉塞された町に住むダンス教師は、徐々に彼に打ち込む事で自信を取り戻し、初めは心から反対していた父親や兄も彼を応援するようになります。
とにかく大不況の最中、仕事はないし、ロンドンへ行ってオーディションを受けるお金さえないのです。
それでも、子供の可能性を伸ばしてやりたいという親の願い。自分の夢をかなえるために一足飛びに大人へなってゆくビリー。
そして、踊る事の素晴らしさ。
踊る事はこんなにも楽しい、心が沸き立って、とにかく踊らずにはいられない、「赤い靴」を与えられた人の気持ち。ちょっと判るような気がします。
「踊りたい。」
踊って何かを表現したい!と、いう気持ちは誰の心にも本当はあるんじゃないかな?って思います。
 ビリーの親友スチュアートは、別の意味で違和感を抱いています。多分、ゲイになっていくんだろうな、と思っていたら、やはり・・でした。しかし、少年時代のビリーにしろ、後年のビリーの父親や兄にしろ、だからと言って、特別視するわけでもないのがとても印象的でした。
そして、ラストに登場する「白鳥」!
いや、是非ホンマモンを見てみたいです。
男性が白鳥を踊るんですよ!別にトロカデロバレエ団のようなものでなく、真実男の白鳥なんです。
ラストシーンの大きなジュテ!(跳躍)
いや〜、もっと舞台シーンも見たかったです。
舞台袖に踊りながら飛びこんでくるトゥの音とか、息使いとか、不思議な懐かしさに襲われました。人間どっかで覚えてるモンなんですかね・・
とにかく、変にお涙頂戴にならず、ひねりの効いた笑いと、爽やかな感動を残す映画です。

 

 

「13DAYS」
2001年1月6日於ワーナー板橋
 
キューバ危機に関しての事は、若干知っている程度でした。
おすぎじゃないけど、知らなくても大丈夫!でも、知っていれば、なお楽しめるかも。ほぼ、20年以上映画館で映画を見たことがないという父を引っ張り出していったのですが、さすがにタイムリーに生きていた人は違いますね・・
終わってから色々と解説してもらって、面白かった。
当時を知っている人は、登場するアメリカ政府の人々のそっくりぶりがまた可笑しかったらしいです。
確かにロバート・ケネディは昔のニュース映像のままでした。
しかし・・言いたくないけど、繰言になるけど。
ケネディ大統領45歳、司法長官36歳、大統領補佐官37歳って、どうよ。
そして、キューバ危機対応のためのEXCOMメンバーの平均年齢、年よりの軍人を入れても、51歳。
そんでもって、皆遠慮ナシにばんばんものを言う。年長者も若輩者も、同じ事に関わっている以上、がんがん発言する。当然意見は合わないけど、みんな自分の立場から主張しまくる。色々な情報が飛び交い、色んな意見が出て。そうした中で、何度も何度も大統領が決断を迫られる瞬間が来る。そして、彼は判断し、決断を下す。閣僚達はそれをサポートする。
これって、政治の正しいありようだよな。やっぱり…
お互い先生、先生、なんて呼び合って愛想笑いを浮かべているどこぞの政治家達との余りの違いに、もう、羨ましい所じゃないっす。
とにかく、若い人たちは当然未来がある。映画中でも、補佐官の子供は6人。司法長官も娘の話をする。自分の子供達が中学生くらいから赤ちゃん・・っていうこの状況は、どうしたって、この子達が暮らし易い世の中にしてやりたいって、思うよね。そうやって、未来を見つめて政治が出来ると思う。でも、ま〜〜80過ぎなんて妖怪みたいな閣僚がいるようなこの国は・・良くて現状維持。だって、言葉は悪いけど、未来の事なんて考えられないでしょ?自分達の先が短いのに。
なんてもう・・そんな感慨にふけらざるを得ない映画でした。
ああっっ映画なのよ、これは。そうそう、音楽も良くて、最初から緊迫感にあふれてて、ぐいぐい引き込む手法は流石にハリウッド映画。戦闘機やホワイトハウスの映像などなど、臨調感たっぷりです。そして、最近またその業績が見直されてきているらしいケネディ兄弟。決してケネディ万歳の映画じゃないですが、冷静に見ても、やっぱり政治家として優れた人物だったと思います。彼らのスキャンダル的な面をみるか、政治家としての面を見るか。人は何によって評価されるべきなんでしょうね?
本当にケネディが颯爽としてかっこいいです。
こんなリーダーシップにあふれた政治家・・欲しい。
ラストシーンがまた印象的で。
この後兄弟に起こる悲劇を知っているからこそ…ひどく切ない思いになります。
いやいや、久々に政治映画の傑作でした。
しかし、最後に一言。
ケビン・コスナー!!お前は37には見えん!!
その顔と体型でロバート・ケネディと同級生とか言われても、ムリだってば。

 

 

「タイタス」
2000年12月23日於新宿
 
シェークスピアです。
しかし、その内容の凄惨さ残酷さによって、あまり上演されないそうです。
確かに、私も知りませんでした。
そんでもって、この映画も残酷シーンの為に、15R指定。
殺人、強姦、手足切断、カニバリズム。
ま〜確かに、内容はそうでした。でも、R指定にするようなシーンはあまり見うけられなかったけど。
本題はそんなところではなくて。
この作品が賛否両論を巻き起こしたのも、納得できる演出でした。私も声高に、オススメ映画というわけにはいかないです。多分、ダメな人は本当にダメな映画でしょう。(演出というか)
ライオンキングの演出家ジュリー・ティモア女史の作品です。
多分、「演劇」という空間に馴染みのない人にはかなり辛いんじゃないかと思います。
いわゆるまっとうな文学映画、歴史モノ映画って思ってるとしょっぱなから裏切られます。そんで、ラスト近くそれなりに納得していた私はそこで、また裏切られました。
とにかく、なんでローマ時代に背広着てるの?とかバイク走ってるの?とか演説がナチ風だとか、そういう事考えちゃう人は多分ダメです。
私は、演劇見てるみたいな感じでそのまますんなり入れました。
とにかく映像が強烈です。
色彩や光りと影。巨大なセットや象徴的に現れる十字路。絵画のような爛れた浴場のシーン。かと思えばミュージックビデオのようなゲームセンターのシーン。過剰なまでの俳優陣のメイクと演技。でも、台詞はあくまでシェークスピア。最後のディナーのシーンなんかは、残酷なんだか、気持ち悪いんだか、眉をひそめてよいやら、笑ってよいやら。結局、私は笑ってしまいました。なんか、かなりブラックな笑いだな・・と、自覚しつつ。
ま、私としては、結構良かった・・という感想なんですが。万人受けしない事だけは、保証します。
そんでもって、最後に一言。
「ジェシカ・ラング老けたな〜〜〜っ」

 

 

「リプレイスメント」
2000年11月18日於池袋
 
キアヌファンとしては、取り敢えず「ありがち」なスポーツものであろうと、なんであろうと、行かなくては。
と、出かけていきました。
これがまぁ、予想以上に面白かったですわ。
話はまさに「ありがち」。
ダメチームもしくはダメ選手たちが、頑張って最後は奇跡的に勝利をおさめるって、あれなんですが。
「パトリオット」にははまれなくても、こういう映画にははまれてしまうのって、なんなのでしょう?
映画全体に流れる、とびきりの明るさ、前向きな姿勢でしょうか?
「リプレイスメント」とは代理選手、の意です。
つまり、普段グラウンド上に上がる事のできない選手達。かれらが、ふとしたことでチャンスを与えられ、試合に勝つ事により、自分の人生のセカンドチャンスを掴む・・というストーリーなんですがね。ね、ありがちでしょ?
でも、最初から最後まで笑って、彼らを応援して、はらはらして。まさに楽しめたエンターテイメント映画でした。多分、この映画で扱われているのが「アメリカンフットボール」という、これまたいかにも「アメリカン」な競技だった事もあるかもしれません。
野球のように人情モノになってしまわず、どこまでも明るい――――
そして、いまひとつ判っていたような判っていなかったようなアメフトのルールが今回大分わかりました。
イヤ、面白そうじゃないか!
映画には実際のチーム、カウボーイズや、実況アナも登場。更には、実際のNFLの試合でハーフタイムにゲリラ撮影したという(9分間で!)迫力のスタジアムシーンなどなど。そして、久々に普通のキアヌが見られます。
変にヒーローしてない、幾つになっても何だか少年みたいなピュアさを失わない、あの「ナイーブ・キアヌ」が。
アメフト選手に見せるために、体重増やしたって言ってましたけど、まぁ、努力の甲斐はあり、きちんとクォーターバックに見えます。
キアヌファンじゃなくても、スポーツ好きな人でも楽しめる映画だと思いました。うんうん。

 

 

「パトリオット」
2000年10月21日於銀座
 
お友達に誘われて出かけました。
いやはや。あとから、英会話の先生に感想を聞かれて、
「Uhmmmm、Just Patriot.」としか答えようがなかったです。つまりはそう言う映画でした。
アメリカ独立戦争の話です。
独立戦争というと、すごい昔の映画で「国民の創生」って映画がありましたよね?もしかして、題が間違っていたらごめんなさい。これ、無声映画だっけ??いや、音声付きだった気がするな・・・
この辺りの歴史は教科書に登場しないので、せいぜいボストン茶会事件と、フランスが援軍を送ったこととか・・ワシントンのこととか。
戦争そのものについては何も知らなかったので、まあ、その辺りは面白かったです。
そして、アメリカ映画だからイギリスが超悪者に描かれているのも仕方ないし、実際あの当時のイギリス軍なんてあんなものでしょう。当時の戦闘シーンは唯一ものすごく面白かった。
まさにチェスのようにならんで、鼓笛隊も出るし、先頭の人は撃たれて死ぬ駒なんだなーとか、陣形の取り方が今の吹奏楽のパレードと似ているとか・・・・
しかしなんつーか。余りにも「アメリカ万歳!!」「アメリカって素晴らしい!!」って感じで、素直にそういう世界に浸れない私としては途中辛かったです。
なんでメル・ギブソンってこんな映画ばっかり出るんでしょうね〜。相変わらず子供がばんばん死んじゃって、怒りに燃える父なのはいいけど、どう考えても途中からは完全に「愛国者」。星条旗はためかせて馬で走ってくるシーンなんて、思わず失笑モノでした。民兵の黒人に彼を蔑視していた白人が、最後の戦いの前に「お前と一緒に戦える事を誇りに思う。」なーんて、きっと感動する人は感動するシーンも、その後の南北戦争、1960年代の公民権運動、そして現代まで延々と続く差別を思うと、「けっ。何言ってやがんで〜。」とか思っちゃって。私ってつくづくこういう映画に感動できない人なんだな、と思いました。
こういう映画にお金かけちゃうアメリカって、ある意味凄いよな。

 

 

リプリー
2000年8月13日於丸ノ内ピカデリー
 
アカデミーの授賞式でジュード・ロウを見た瞬間に、「行くぞ!」と、誓っていました。(笑)
「太陽がいっぱい」のリメイク(こういう言い方が合ったいるかは置いておいて)だと知ったのは、その後でした。
結果から言います。
面白かった!! いや、下馬評では良いの悪いのと、様々でしたが、私はとっても面白かった。
映像も音楽もいいし・・
現題は「才能あるリプリー氏」です。しかも、原作ではこのリプリー氏シリーズが延々とあって、彼は掴まってない、立派に犯罪者として闇で生きているのですわ。
「太陽〜」を見てきた人にとっては目から鱗というか、びっくりです。どうしても「太陽〜」と比べて語ってしまう事を許してください。この作品の宿命かもしれませんが。
アランドロンの鮮烈なデビュー作だった、旧作。
彼のギラギラした青い目、際立った美貌。犬か持ち物の様に扱われながら、時折その見返してくる目にはっと相手をたじろがせるものを持っている・・・あの映画はドロンなしには成り立たなかった映画でした。
原作にあった、リプリー氏が同性愛者であるという設定は、旧作では余り描かれていませんでしたが、それでもフィリップ(原作及びリプリーではディッキー)のふとした仕草などに、リプリーへの友情以上の気持ちを見ることが出来ます。「これはホモ映画である!」と、断言していた淀川長治氏はさすがと言うべきですか。
転じて、「リプリー」。はっきり言って片思いです。
演じるマット・デイモンはダサダサで、後に上流の真似事をしても、やっぱり垢抜けない。そんでもって、得体の知れない所があるし、不気味です(上手い!)。
対するジュード・ロウのディッキーは、洗練されてて不自由なく育ち、美貌も財産もそして人を惹きつけてやまない奔放な性格を併せ持ち、気まぐれで残酷で、でもそれらを全て「魅力」というオーラで包んでしまえる、いわば選ばれた人間。
彼に憧れて憧れて・・・リプリーの執着ぶりはストーカー状態です。その愛が受け入れられないと判った時、悲劇は起こります。
でも、本当の悲劇はそれから。
即興、人真似、機知の「才能」あるリプリー氏。ですが、その才能は必要だったのか?「才能はひとつあれば十分だ。」と図らずもディッキーの言った言葉。
「太陽〜」の衝撃的な幕切れとはかなり違いますが、私的には、満足のラスト。
是非々劇場へ。
あ!そうそう、これにはオスカーを争った女優二人が競演していて話題でしたが、俳優陣に比べると、いまひとつ影が薄かったなー。別に君らじゃなくても・・って感じでした。どっちかと言えば、ケイトブランシェットに軍配かな?

 

 

「グラディエーター」
2000年7/9 於池袋
 
劇場で予告編を見て、見たいと思ってしまったので、行って参りました。リドリースコット監督、ラッセルクロウ主演。
まあ、一大スペクタル巨編です。
CGを駆使して、古代ローマのコロッセオを再現し大観衆をそこに配したり、序盤のゲルマン族との雪中での戦闘シーンなど、とにかく大スクリーンならではの迫力に圧倒されます。
主演のクロウはじめ、グラディエーター(剣闘士)たちの闘技シーンは、大迫力でまさに現代の技術を駆使して撮った「ベン・ハー」といったところです。甲冑や衣装も完璧で、目を楽しませてくれます。皇帝の装束、剣闘士たちや軍隊の服、元老院の長裳、女性の衣装や装飾品。
しかし、とても楽しめたし、映画だからそれで構わないと思うのだけど、ちょっと、感動・・とか、心に残る・・とかいうタイプの映画ではなかったなあ・・なんて。主人公の将軍が良い人すぎたかな?
もう少し、彼が剣を持って、アリーナに立つと、戦わずにはおられない・・その、生まれながらの戦士としての部分をもっと描いても良かったのかも。
それにしても、皇帝役を演じたのが、あのリーフ・フェニックスの成長した姿だとは!!
超びっくりしました。ご存知、リバー・フェニックスの弟君です。子供の頃、キアヌと共演したりしてたんだよねー。名前も変わってるし、全然わかりませんでした。大人になったなー。中々の好演だったと思います。これからも頑張れ〜。

 

 

 「ナインスゲート」
2000年6/11 於池袋
 
ジョニー・デップって、最近こんなんばっか、出てるよね〜と、友達と見に行きました。
もっと、ゴシックっぽい作りなのかと思っていましたが、予想に反して、現代モノ(?)でした。
しかし・・
結論から言いますと。「いまひとつ」でした。
この映画を、例えば4等分すると、
1/4はフムフム、2/4に来てあー、なるほど。と、かなり分かってしまい、3/4は退屈で、最後の4/4に来て、ちょっと盛り上がるものの、最後はハテナマークで頭が一杯になり、映画館を去る。といった感じです。
終了後のロビーは、ハテナマークを頭につけた人々でいっぱいでした。
稀少本に関する、色々な話や逸話はとても面白かったし、私は、古い本や図書館が凄く好きなので、面白かったんだけど・・。
話の途中で本のナゾがかなり分かってしまい、そこからあと、あそこまで引っ張られても、主人公の心境がどう変化して、ああいう風になってゆくのかがさっぱり・・?でした。
ネタバレになるといけないので、これ以上は内容については触れませんが・・。
しかし、これ、ポランスキー監督なんですよ!
うーむ。・・いや、さすがに映像やカットはとても綺麗でしたが。

この原作は、もともと「デュマ倶楽部」というフランスの小説だそうです。ヂュマの稀少本をめぐる熱烈なファン達の遭う事件を描いたものだそうで、その中に、もうひとつの稀少本として登場するのが「隠された九つの扉」。つまりナインスゲートなんだそうです。
原作、読んでみようかなあ・・?