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12月24日 

日経ビジネス アソシエ12/07 
一冊の手帳で夢は必ずかなう 熊谷正寿 かんき出版
コスモポリタン1月号

仕事の段取りについて考えることの多い今日この頃。
引き受けることのできる仕事量は決まっているわけだから、多
く稼ぐためには、効率よく仕事をこなすしかない。
というわけでアソシエを購入。
「目からウロコの手帳活用術」が目当て。
そしてさらに熊谷氏の本も。
さらに懲りずに、コスモポリタンまで。これには、できる女の
手帳活用術・・・だったかな、なんかそんな特集があり。
しかしまあこの雑誌はどこに着地点を求めているのだろう、と
いう疑問をすごく持った。
そもそもできる女の特集をできる女は読まない。
集中力をアップする方法ってのもあったが、そんなの訓練して
アップさせるものなんだろうか?
単に集中すればいいだけのことでしょう。それはほとんど意志
の問題だと。
というわけで、熟読すればするほど、自分ができない女だとい
う気がしてくる雑誌なのであった・・・。
アソシエもちょっとゆるすぎるよなあ。

で、まあとりあえずは引き出しの奥に眠っていたシステム手帳
を取り出して使うことに。
スケジュール管理、というよりも、私の場合、要するに全ての
事柄のスピードアップが最重要課題だと思う。
家事にしろ、仕事にしろ。

 

10月24日 

間宮兄弟 江國香織 小学館

ここまでくると私はやはり、江國ファンなんだろうか。でも私
は、そんなつもりはない。好きなんだけど、ファンっていうの
とはたぶんちょっと違う。

とまあ言い訳は置いておいて、間宮兄弟。
土曜日の朝食の後ベッドに戻ってだらだらと読んだ。
私は早起きなので、寝坊の幸福をあまり知らないんだけど、こ
の朝寝の怠け者感がめちゃくちゃ好き。眠くなればいつでも寝
ていいって、最高の幸せだと思う。

そして、間宮兄弟。
なんというか、ああ、この人はまだまだこの世界でやっていけ
そうだなあ、よかったなあ、と思った。
『思い煩うことなく愉しく生きよ』は、ちょっと、あら?行き
詰ってる?って気もしたのだけれども、これはそういう閉塞感
はなく、むしろこれからまだまだ広がっていくんだなあと感じ
た。
というのも、むさくるしい男兄弟をちゃんと書いていたから。
女性セブンで連載が始まると聞いたとき、え?って思ったし、
そのあと兄弟の物語だと聞いてもっと、え?って思ったんだけ
ども、ああこの人は本当にその仕事をやりきったんだなあ、と
しみじみした。

私は春樹さんも好きなんだけど、作品はもちろん、仕事への取
り組みが好きだ。気まじめな感じが。
江國さんも、個人的には情緒不安定だったりもするかもしれな
いが少なくとも書くことに関してはとても安定している。
それって本当にすばらしい。

私は、イタリア映画が好きだし、イタリア語が好きだけど、プ
ロダクトとしては、ドイツものが好き。
ドイツのソファも車も好き。信頼できる。自転車はVianchi
(イタリア)を買ったけれど、あまりの頼りなさにしばし悔い
を感じる。

作家も何とはなしにそういう「安定した感じ」のする人が、も
しかすると好きなのかも。
それは自分にないから憧れるのか、それとも自分と似た感じな
のか・・・似てはいないか。憧れてるんだな。
ばななちゃんも好きだったのだが、作家としての働き方という
点では、わたし的には、ちょいといかん。
だって小説を読む気になれないほど、日記を書くんだもん。
日記を読んでいるだけで満足してしまって、小説に手が伸びな
い。

そしてあるとても不安定な心を持った歌人のことをたまに心配
する。心配しなくてはならない理由はどこにもなくて、ただの
おせっかいとして、とても心配する。
枡野さん、大丈夫?

稼ぐが勝ち 堀江貴文 光文社

このタイトルは、堀江さんではなく編集者がつけたのだろう
とは思うのだけど、この強気な感じはとても好き。好きとい
うか好感を持つ、というか。
反感を持つ人もいると思うけど、私もまあ、さすがに稼ぐが
勝ちとは思わない。ただこういうふうに言い切る人生って愉
快だな〜って。

読んでいていちばん印象に残ったのは、「若くてかわいい女
の子が好き」。きみ、まだ青いねって、思ったのは、歳をと
っていても魅力的な女性はいっぱいいますよ、ということが
言いたくなったからではなく、そこだけはストレートに本心
を打ち明けないくらいの思慮がないと敵はますます増えるよ、
って心配になったから。
若くてかわいい女の子がすきなのは、それはまったく持って
当たり前じゃん?
かといって、意味ありげに「年上の女性も好きです」と言っ
てほしいわけでもないんだけど。それはそれで狡猾だし。

ま、でもストレートな物言いが魅力の一冊ではある。
堀江さんのブログを毎日チェックするようになった。
楽天よりは、ライブドアを応援したい気分の今日この頃。

 

9月4日 

愛情日誌 夏石鈴子 マガジンハウス

なんとなく、ほんとうにびみょうなことなのだけど、なんと
なく、この人の書く文章が好きじゃないような気がする。
でも、彼女なりの世界があって、うまいなと思う。
「催花雨」が面白かった。「なんだかなあ」という意味で。

俺も女を泣かせてみたい 小谷野敦 筑摩書房

彼の書くものは、わりに好き。
個がきちんとある人なのだろうかしら。必要以上にいばらな
い。
そしてあとがきに、離婚したことが書かれていた。
『ただ、枡野浩一のように愚痴混じりにどしどし公表できれ
ばいいのだが、私の場合、書いたら民事訴訟を起こすと相手
方弁護士から言われているので、できない』

ここに一番うけてどうするよ、とは思ったが、一番うけた。
弁護士の言葉がないなら、枡野さん以上に書いたんだろうか?

温室裁愛 狗飼恭子 幻冬舎

まあ普通の、いいお話だった。
なんか、今日は低温な感じの感想しか書けないなあ。
それは私のせいなのか、それとも作品が小ぶりだからか。

イッツ・オンリー・トーク 絲山秋子 文藝春秋 

私は基本的には本を買う派。並べて楽しむのも好き、という
ことももちろんあるけど、借りに行く暇がないってのもある
し、著者に敬意を払う意味でも、お金を払って読もうと考え
ている面もある。というのは、今、それくらいのお金は使っ
てもいいだろう、と思うので。
しかし、読み終わってそのまま、どこの本棚に並べようか、
何の隣がいいだろうか、と考えたくなる本が少ない。
これもまあおもしろいけれど、ブックオフ行きだろうかなあ。
読み終わったあとも、ずっと思いをとらえて離さない、そん
な本はないのかな。
ぜんぜん感想じゃないんですけど。
まあそんなかんじ。

 

8月14日 

結婚するって本当ですか 枡野浩一 むらやまじゅん
八二一 朝日新聞社

世界の結婚についての格言を集めただけなんだけど、大うけ。

恋愛とは短期的愚行。
結婚生活とは、短期的愚行にピリオドを打つ
長期的愚行。
ニーチェ

金のためにけっこんするものは悪い人間であり、
恋のために結婚するのはおろかな結婚である。
サミュエル・ジョンソン

よい結婚はあるけれども、楽しい結婚はない。 
ラ・ロシュフーコー

結婚へは歩け、
離婚へは走れ。
ユダヤの格言

きみが彼女を愛したのは、
まあ無理もなかった。
だが、彼女に結婚を約束したのは、
愚かだったな。
で、
もしその約束を守ったとなると、
これはまったく狂気の沙汰だろう。
ゲーテ

おもに、男の側の発言なのだけれど、なんか面白い。

孤独が怖ければ結婚するな。
チューホフ

そうだよね。
結婚しようがしまいが、2人の距離は変わらないのに、結婚
することで近くなると思ってしまう。だから寂しいんだ。
恋のために結婚した私は、愚か者なのかな。

つい先日、ある男性に「ケネディ夫人のジャクリーンは、や
はり財産目当てで、大富豪のオナシスと結婚したのかな。私
は、自分で働いたお金でブルーノマリの靴を買う女の方がか
っこいいと思うんだけど」と話したところ、「いい女ってい
うのは、『自分で買うわ』」と言った時に、『頼むから俺に
買わせてくれ』と言わせる女でしょ」と言われた。
かなり動揺した。
そんなことを言ってくれる男性って、私の周りにはいなかっ
たから。夫とも恋愛中から、金払いのいいのは私だった。た
ぶん私がおごった金額の方が多いと思う。プレゼントに投じ
た金額も私の方が多いと思う。
それは価値観の違いだから仕方ないと思っていた。確かにそ
う。
夫はいくらお金があっても、5万円もする靴を買えない。
彼の価値観の中に、ディナー3万円なんて正気の沙汰じゃな
い。だから私は自分で払うの。だから私は働くの。
経済的な育ち方が私と夫は若干違うから、その面から、結婚
する時双方の両親に心配された。
でも大丈夫。愛があるもの。

私の結婚してからの人生って、結婚したことを後悔しないた
めの人生なのかもしれない。

ニート 玄田有史 曲沼美恵 幻冬舎

ニートとは、Not in Education, Employment, or Training
の略。現象としては面白いんだけど、
「どんな人にも、ニートになる可能性があるのだということ」
という論調が安易過ぎる。
どんな人でも自殺する可能性はある。
どんな母親でも子どもを折檻する可能性はある。
どんな子どもでもいじめにあう可能性はある。
どんな人にも可能性はあるのだから、真剣に対策を考えなく
てはならない、のではないと思う。
大切なのは、自分とは違う他人が抱える問題をどういうふう
に理解していくかじゃないかしら。

だりや荘 井上荒野 文藝春秋

江國さんになにかとても似た感じのする文章だった。
あえて男の人の気持ちを描写する必要はないと思うんだけど、
迅人という人のあり方が、あまりに屈託がなさすぎてつまら
なかった。「潤一」と同じく、セックスに行為としての意味
しか感じていない様子。
だとしても、もう少し別の描き方があるのでは?

一瞬の光 白石一文 角川文庫 

白石さんの小説はどれもけっこう面白くて好き。
これは、恋愛よりも会社の男たちのどろどろの方が面白かっ
た。なるほど、そういう世界なんだって。
恋愛のほうは、なんとなく納得できるようなできないような。
彼の描く恋愛は、正直のめっていけないんだけど、小説全体
の真面目さが好きだな。

「細い体には似合わず豊かな乳房」みたいな表現があったの
だけれども、それってやっぱり男の人の願望?
「じつは」巨乳っての、好きなんでしょ?って全男性に問い
たいけど、あっさりみんな「うん」って言いそう。
私が、巨乳ならこの表現にピッタリなんだけどなあ。
一番肝心なところが抜けてるか・・・。

 

7月25日まとめがき 

僕の双子の妹たち 白石公子 集英社

こういうよわっちい男というのを、男性は書かない。
でもいると思うな。
頼りにならない兄と現実的な妹たち。両親を亡くした3人が
こつこつと生きようとするお話。
あまりテーマはないように思うんだけど、そこが逆によかっ
た。

ちいさなちいさな王様 アクセル・ハッケ作 
ミヒャエル・ゾーヴァ絵 講談社

撮影に使うために、購入。
もったいないので、ちゃんと読んだ。
これはアメリの部屋に置いてあった本で、最近人気が急上昇
しているとか。
絵本にねえ、感動しなくなっちゃったよね。
ということを改めて思ったのだった。

思いわずらうことなく愉しく生きよ 
江國香織 光文社

3姉妹の物語。VERYで連載されていたものだけど、VERYをち
らちら見る限りでは、ぜんぜん面白いと思えなかった・・・
のに買うのはそれはもう習慣としかいいようがない。
そして、習慣にできるほどの多作だということが素晴らしい。

江國さんの小説をずっと読んできて、『薔薇の木、枇杷の木、
檸檬の木』あたりから、作風がかわったように感じる。
彼女自身の結婚が関係しているのかもしれないけれど、登場
人物が既婚女性になった。そしてなんだかちょっと乾いた感
じになった。描くものが、恋愛の可能性よりも限界にやや傾
いた。
で、この作品はそんなこんなの最近の傾向の中でも、すごく
突出しているように思える。
「思いわずらうことなく愉しく生きよ」という感覚はよくわ
かる。私も昔は悩むことが好きだったけど、今はそうじゃな
い。私は私なりの誠実さをずっと保ってきたし、その部分は
変わっていないつもり。でも、考えてもどうしようもないこ
とがたくさんあって、そういうことを結局ごまかすことでし
か生き延びていけない哀しさが、大人としての今の私の生活
にはある。可能性に満ちていた時代とは違う、小さな絶望を
背負ってしまっている。
それを思い煩っても仕方がない。ある意味ではずるいんだと
思う。あえて答えは出さない。でも、たとえば答えをきちん
と出そうと思い煩って、そしてその結果がちゃんと出たとし
ても、遂行する力がもうない。私はもうそこまで自由じゃな
い。
思いわずらうことなく愉しく生きられるといいよね。
そういう家訓なんだと思う。三姉妹にとっては。
そして三姉妹とも、なんだかとてもバランスの悪い生き方を
しているけれど、そのバランスの悪さを思い煩ったところで
自分の置かれている事態が解決できるとは思えない、と彼女
たちは考えている。

「こんな私で何が悪い」という開き直りは大嫌いで、この三
姉妹は受け入れられる、その違いはなんなのかな。
たぶん、小さな哀しみを、三姉妹には、というか江國さんの
小説には感じるからだと思う。
その小さな哀しみが、私にとってはすごく重要なんだ。

見えないドアと鶴の空 白石一文 光文社 

白石さんの小説はこれで2つ目。
男性の小説と言うのは、女性に対して「こうあってほしい」
という思いがすごく出ている場合があって、渡辺淳一とか、
小池真理子のだんなさんとか(名前を忘れた)、宮本輝とか、
いいよ、別にいいんだけど、読むほうとしては、まあねーあ
なたはそういう女性が好きなんでしょうよ、と思って醒めて
しまう。
この本も、仕事で忙しい妻と別れて、家庭的な、入浴中に着
替えを用意しておいてくれるような、「稼ぎがなくても男と
いうだけで偉い」と言ってくれるような女性を選ぶわけだけ
ど、でもこれは、そんなにいやじゃなかった。
仕事で忙しい女よりも、自分のことを大事にしてくれる女が
いいって視点ではなかったので。
あとがきに、
「自分が一体何のために生まれ、生きているのか、それを真
剣に一緒に考えてくれるのが、本当の『小説』だと僕は信じ
ています。」とあったんだけども、そういうことを一生懸命
考えた結果としてその女性を選んだわけで。
それはわりとすんなりときた。
女性が、お父さんの霊に語りかける部分はなんどか読み返し
た。まさに正論で圧倒する感じがすごくよかった。

雨はコーラがのめない 江國香織 大和書房

売れるってのはいいことだと思う。
ザ・江國ワールドってのが全面的に受け入れられるってこと
なんだよね。
ばななちゃんの一連のエッセイにしてもそうだけれども、で
も読みたい人がいて、買う人がいるんだもんなあ。
って私なんだけど。

潤一 井上荒野 マガジンハウス

ニシノユキヒコ的手法で、ああ、まあこういうのって誰でも
思いつくわけね、と思ってしまった。
女性たちによる、潤一。
女性の思いはわかるんだけど、潤一のどこがそんなに魅力的
なのかがあまり伝わってこなかったな。

どこにでもある場所とどこにもいないわたし 村上龍
文藝春秋

上手な作家の安心して読める短編集。
龍さんの本領はこういうところではないと思うんだけど、こ
ういう小説しか受け入れられないんだよな。生臭くなるとほ
んと苦手。
これを読んでも「村上龍」を読んでるとは言えないのかも。

私の話 鷺沢萌 河出書房新社

期待していたような「私の話」はなかった。
彼女が、在日ということを意識しているのはなんとなく知っ
ていた。でも、父方の祖母がそうだったというだけなんだ。
「だけなんだ」って、言い方として適切ではないかもしれな
いけれども、なぜそんなにそのことを背負ったんだろう、と
思った。「そうとも知らずに生きていた」自分になぜそこま
で負い目を感じたのだろう。

さよなら、アロハ 素樹文生 リップストア

素樹さんは、すごく優しい人だと思う。
このところすごく気持ちが弱っていて、ふと彼に触れたくなり
ほとんど反射的によれよれとクリックひとつで買った。

私は、お金には無頓着なんだけど、読書時間にはケチで、時間
が限られているってことをすごく意識している。だからあまり
無駄に本を読みたくない。最近エッセイをあまり読まなくなっ
たのはそのせいで、人がどんな暮らしをしているか、どんな考
えを持っているかには、興味がない。
だから私は素樹さんの本のよき読者になりえないんだな。
サイトはよくのぞくんだけど、まとめて読むより毎日読む方が
楽しいと思った。ごめんね。

もっと、わたしを 平安寿子 幻冬舎

私は恋愛の経験も乏しいし、うまくもないと思うんだけど、
この人たちはいったいどこにどういう本心があるのかなあ・
・・というか、まあね。
小谷野敦さんだっけ。恋愛至上主義なんてくそ食らえと書い
ていて、だよね!とは思ったんだけども、この本の世界もま
た、逆にどうなんだろう。
「本当の愛」とか、人は簡単に言うけれど「本当」って、そ
れは何が本当なの、と思う。愛という性質上、本当ってない
よ。
だけども、不完全な愛だとしても、何か軸のようなものは必
要だと思う。この主人公たちの軸は、なんだかなあと思うも
のばかり。それはでも小説としてはうまいんだろう。

「こんなわたしで、なぜ悪い」。帯にあった文章だけどそう、
それだよ。私が一番嫌いなのって。文緒さんの小説もあまり
好きではないのもそこだ。
自分を肯定することは必要だと思う。誰だってそれがなきゃ、
やってられないでしょう。でも自分のダメな部分を「ダメ」
と認めることも必要だと思うんだ。私で言うならぐうたらな
ところとか、金遣いが荒いところとか。
性格というよりも、タイミングとして、仕事がうまくいって
いないときなど、自己嫌悪の塊になったりもする。でもそう
いうときに悩んだり、迷ったりしながら「こういう部分は変
えていかなくちゃな」とか思いながらなんとか前に進もうと
するわけだ。
もちろんもちろんもちろん、前に進めないときだってある。
心がしゃきっとしなくて、よれよれで、ただその時の自分の
状況に落ち込んでいるしかない時もある。
でも、と思う。
でも、ダメな自分をダメなままで「こんなわたしで、なぜ悪
い」って開き直られても、私は共感できない。
自分のダメな部分を変えるのってむつかしい。変えたくても
そう簡単に変わるものじゃない。でも、そこに胡坐を書いて
しまう図々しさが、なんともいや。

・・・と書いていて気付いた。いや、この本はそういう本で
もないよね。帯に過剰に反応しすぎた。
ま、でも最後の「涙を飾って」はほんときらい。

男性誌探訪 斎藤美奈子 朝日新聞社

なぜか男性誌と縁のある私なので読んでみたんだけど、残念
なことに、何が書いてあったのか記憶にはほとんど残っていな
い。

ひとりの暮らし 小さな贅沢 有元葉子 幻冬舎

とりあえず、トイレ用クイックルワイパーを買って常備するこ
とにした。
ひとり暮らしに憧れるんだけど、でも私には無理なのかもしれ
ない。少なくとも付き合っている男の人などがいない状況では
とても寂しいだろうなあ。潔いとは思うけれど、私はどうもそ
こまで潔い人生に関しては気後れする。

 

4月 

まとめ書き

スイートリトルライズ 江國香織 幻冬舎

実は読んじゃったのよ〜と軽い感じで流してしまいたいよう
な恥ずかしさを感じるんだけども、やっぱはずせないんだな
あ。マンネリだと思う。たぶんそうなんだろう。
でも好きなのよ、この世界が私は。

男と寝ないようにすることと、寝ることは、瑠璃子にとって
同じくらい簡単なことだった。

みたいな描写があって(原文がみつからないので、そのまま
じゃないけど)、なるほどね、と思った。
私にとっては、寝ないようにすることはごくごく簡単なこと
で、すぐに寝ることはかなり難しいんだけども、瑠璃子の性
質はわかる気がしたし、親しみすら覚えてしまった。
つまり、私と変わんないわ、と。
「そのもの」だけには大して興味ないわよってことかしらね。
ちょっと違うか。
そのものに興味がないわけではないけれど、今、ここで問題
にしたいのはそういうことじゃないの、って感じね。

夫婦の愛情についての江國さんの感覚が、私はすごく好き。
昼間夫に電話をかけてしまうのは、愛からじゃない。
夫がきちんと電話をかけ直してくれることも、愛じゃない。
でも、今日もまた夫に電話をかける。
そうしないと、私、あなたのこと忘れちゃいそうなのよ。

夫婦をつなぎとめているものはなんなのでしょう。
少なくとも愛じゃない。

ブラフマンの埋葬 小川洋子 講談社

博士の愛した数式を読んでいない。読もうかと思っていたら
あれよあれよというまに大好評になってしまい、読む時期を
逸してしまった。
私の印象としては、小川洋子さんは、ここんとこちょっと不
調だったような気がする。でもコツコツと書き続け、そして
博士・・・を書き上げた。偉いなあ、見事だなあ、立派だな
あと思った。

これは、その「博士・・・」の好評を受け、講談社が「なん
でもいいから書いて!」と頼んでできあがったものでは?と
の憶測を許すような作品。
文章の美しさはあるのだけれども、表現は弱いように思う。
練りも少ない。

スコット・フィッツジェラルド 楽園を追われた2人
星野裕子 メディアファクトリー

たまたま1人で出かけたワインバーにあって、ちびちび飲みが
つがつ食べながら読んだ。
2人の破天荒な生活。
何事もバランスだ、と思う。やりすぎると失敗するし、何もし
ないと前に進めない。愛しすぎると逃げられるし、愛さないと
愛されない。食べ過ぎるとお腹が痛くなるけど、食べないと体
を壊す。
でもバランスなんかに気を取られてばかりいるのはつまらない
と思う。めちゃくちゃでボロボロな生活の中にある真実っての
も素敵だ。2人の結婚が失敗だったとしても、失敗と言う真実
が、生きていくことそのもので、私はそういうの、「終わりよ
ければすべて良し」よりもずっと好きだ。

ニシノユキヒコの恋と冒険 川上弘美 新潮社

もうだいぶ前に読んだんだけど、まだ書いていなかった。
最初のパフェーが一番よかった。
冷たくて熱い恋。
好きという形にも本当にいろいろあるんだと思う。

「居場所が見つからない」という思いを私も抱えていた時期
がある。もしかすると今もあるかな。誰かに愛されたくて、
どこかに落ち着きたくて、完璧な愛は存在しなくて、永遠も
存在しない。そういうやるせなさをうまく描いてくれたなあ、
と思った。

 

3月21日 

東京湾景 吉田修一 新潮社

けっこう評判がよいように思ったのだけれども、なぜかあまり
心に引っかからなかった。
なんというか、私からすると「ありえない」恋愛だと思った。
この2人がうまくいくということが。
共通項の少ない2人の恋愛に憧れたこともあったのだけれども
やっぱりそれは難しいよな、というのが30代後半の私の実感。
2人の相性のよさとか、心のつながりとかも私にとっては満足
できる描写がなかったかな。

こういう感想、10代の頃にはぜったいに許せなかったと思う。
可能性ってどこにでもあるし、それを信じることこそ人生っ
て思っていたから。
なのになぜか、いつ頃からか、恋愛の可能性に対してものす
ごく臆病になった。臆病というのか、無精というのか。
そんなことをしみじみと思いながら読んだのであった。

仕事人生は充実している私だが、恋愛人生はあまり充実して
いないのかもね。ふん。

 

2月17日 

ロリヰタ。 嶽本野ばら 新潮社

少し前に仕事でお世話になり、何か「恩返し」がしたかった。
最大の恩返しは、私がかかわっているある雑誌の書評欄で取り
上げることだろう、と思っていた。なので早速読んだのだが、
だがだが、書評欄では取り上げにくい小説であった。
うーん。

ハネはまだ良いんだけども、表題作は、私、ふだん「好き」か
「嫌い」かしかない人間で、客観的な表現をなるべく避けるよ
うにしているのだけども、あまりうまくできていないのではな
いか? 野ばらちゃんの小説ってこういうのなんだっけ?
なんというか、力不足な感じのする一冊。
ごめん。恩返ししなくて。

 

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