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ダービー 金模様「71番図柄」コーヒーカップ (1784-95年頃)
Derby Pattern #71 Gilt CoffeeCup Ca.1784-95



 
                                                     (出典)Derby Museums and Art Gallery "Derby Porcelain Pattern Books"

 素地に丸みを帯びた縦じまの入ったコーヒーカップ。たっぷり釉薬のかかった艶やかな素地と細密な金彩が、ダービー社初期の高水準の技術を示している。下部まですらりと伸びる取っ手も、ダービー特有である。

 裏面マークは「バトンマーク」と呼ばれ、1784年から同社が幕を閉じる1848年まで、60数年に渡って使用され続けたが、マークの色や描き方により、大まかな製造年代を区別できる。本品では暗褐色(puce)で描かれているが、これは18世紀あるいは19世紀初頭までの作品に使われた色である。さらに、裏面高台内側6時半の方角に同じ暗褐色で「2」と書いてあるが、これは金彩師の番号であり、同じく1784年頃に導入されたものである。2番は主要金彩師の一人であったジョゼフ・ステイプルズ(Joseph Stables)の番号で、彼がこの番号を使用したのは1784年頃から1795年頃までだったと考えられている。(ダービーのマーク一覧(3)のページ参照)。

 本品には図柄番号は記されていないが(一般にはバトンマークのすぐ下に記載される)、ダービー社はパターンブックを残しており、本品の図柄はカップ用図柄の71番である。このパターンブックは、ダービー美術館がDVD版で発行しており、そこに掲載されている71番の模様が上の3番目の写真である。なお、模様の上部、71という番号の横に"gilding 5 1/2d"とあるのは、金彩にかかる費用が5 1/2ペンスであることを示している。作品の価格設定のための記述だと思われる。


高さ(H):7.3cm
マーク:裏面に暗褐色で「王冠、交差するバトンと点及びD」。高台内側6時半の方角に暗褐色で「2」。
Marks: <Crown, CrossedBatons&Dots and D> painted in puce on the bottom. <2>painted in puce at half past six on the foot rim.
参照文献/References:
 -Derby Museums and Art Gallery "Derby Porcelain Pattern Books Nottingham Road Period" (DVD)
 -John Haslem "The Old Derby China Factory" p.191 and Plate V


(2013年6月更新)