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ダービー 「ケドルストン」型水差し (1783-84年頃)
A Derby "Kedleston" Ewer Ca.1783-84



 

 チェルシー・ダービー期の「ケドルストン(Kedleston)」型の水差し。この型の水差しには、細部(首、肩、脚部など)の造型が異なるいくつかのヴァリエーションがある。本品の場合、肩部に横に帯が入っていること(この帯の上下の縁は、単に金彩で線が引かれているのではなく、素地にモールドで入っている。)や本体下部にアカンサス模様が付けられていることなどが特徴で、型番は92番である(裏面に"N92"と刻み込まれている。最後の写真の左上部)。ダービー(D2-14)と比較すると違いが分かると思う。

 装飾に関しては、胴体には金彩ストライプが施され、中央の楕円枠の中には、女性像と反対側には風景画が多色彩で描かれている。女性像の下部には"HISTORY"と画題が記されている。1782年にダービーが開催したオークションの中に、以下のようなロットがある。

 An elegant large vause with therms enamel'd in compartments with history and virtue richly finished with chased and burnished gold 13l. 2s. 6d.

 こちらは女性立像を取っ手にした壺であり、水差しではないが、Historyがエナメルで絵付けされている点は共通である。また、Historyと並んでVirtueも描かれているとあるが、このVirtueも別の女性像である。おそらくこの壺は、両面に女性像が描かれていたのであろう。ケドルストン型水差しはペアで製造されるのが一般的なので、本品も元々はVirtueが描かれた作品と対であったのかもしれない(下記参照文献にあるBritish Museumのサイトに、Virtueが描かれた本品と類似の作品が掲載されている)。ちなみに、女性像の画題としては、ダービー(D2-14)にあるとおり、他にInnocenceとLibertyがあり、その図柄によるペアの水差しが、同じ1782年のオークションで販売されている。

 四角い台座には、金彩で大理石模様が描かれており、その中に金の錨マークが描かれている(マークの一部が剥落しており見にくいが)。


高さ(H):29cm

マーク:金色の錨。裏面にパッチマーク及び刻み込んだ"N92"
Marks:A gold anchor. Patch marks and incised "N92" on the back.

参照文献/References (for vase shape No.92):
- Catherine Beth Lippert
"Eighteenth-Century English Porcelain in the Collection of the Indianapolis Museum of Art" Catalogue Number 31
- Bernard Rackham "Catalogue of the Herbert Allen Collection of English Porcelain" Nos.105 and 153
- V&A Museum Website: http://collections.vam.ac.uk/item/O77898/vase-derby-porcelain-factory/
- Franklin A. Barrett & Arthur L. Thorpe
"Derby Porcelain 1750-1848" No.118
- Gilbert Bradley
"Derby Porcelain 1750-1798" No.51
- Anthony Hoyte
"The Charles Norman Collection of 18th Century Derby Porcelain" p.26
- British Museum website: http://www.britishmuseum.org/research/collection_online/collection_object_details.aspx?objectId=29710&partId=1&searchText=derby+figure&images=true&page=1


(2014年2月掲載。2014年3月更新)