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ダービー 小花をあしらった両取っ手の壷(ペア)(1775年頃)
A Pair of Derby Double Handled Vases with Applied Flowers Ca.1775



 

 胴体中央が丸くふくらみ首と脚が細まっている一対の壺。地色は薄い青で、全面に細かな茎模様がレリーフで施された上に白い小花が貼り付けられている。蓋も同様の装飾で、先端のつまみは白い花である。左右にダブル・スクロール型の取っ手が付けられている。小花の中心、各部の縁、取っ手に金彩が施されている。

 1774年のダービーのロンドン店舗カタログに、本品と同型の壺と考えられる作品を含むセットがある。

30 A set of (3) sky-blue, two handled vases with white embossed flowers, the side vases in the form of beakers have white half handles 11 and 7 1/2 inches high

(仮訳)
30 スカイブルーの壺のセット(三点)。二つの取っ手があり、白い花が盛り上げられている。両脇の壺はビーカーの形で、白い半分の取っ手がある。高さ11インチ(28cm)と7 1/2インチ(19cm)。

 この三点セットは、大英博物館にあるセットと同様のものと考えられる(ただし、サイズは異なる)。本品は、この大英博物館のセットのうち、中央の壺と同様の作品だと考えられる(サイズもほぼ同じ)。また、ヴィクトリア&アルバート(V&A)美術館にも、本品と同様のペアが収蔵されている。本品は無銘であるが、大英博物館の両脇の作品の一つには、チェルシー・ダービー期の前半(1771-77年頃)に用いられた、金色の錨とDを組み合わせたマークが付けられている。なお、この形の壺はいずれの場合にも、型番は記されていない。

 最後の写真は、類例であるダービー(D2-11)と並べて比較したものである。こうした小花を貼り付けたチェルシー・ダービー期の壺は、目にする機会は少ないものの、複数サイズで作られ、色や形も微妙に異なるものが存在していることから、当時は人気のあった作品だったのかもしれない。


マーク:パッチマーク
Marks:Patch marks
高さ/Height:22-22.5cm
文献/Literature:
-William Bemrose "Bow, Chelsea, and Derby Porcelain" Chapter V (Duesbury's London Warehouse Catalogue of 1774)
-R. L. Hobson "Catalogue of the Collection of English Porcelain in the Department of British and Mediaeval Antiquities and Ethnography of the British Museum" Item II.306 & II.307 (Plate 18). See also the British Museum Website: The Centre Vase & The Side Vases
-Bernard Rackham "Catalogue of the Schreiber Collection Vol. I Porcelain" Item 370 (Plate 44)
. See also the V&A Museum Website: One of the Pair & The Other

(2015年10月掲載)