ドクター・ウォール 「ゴールド・クィーン」 ティーカップと受け皿 (1770-75年頃)
Dr. Wall "Gold Queen" Tea Cup and Saucer Ca.1770-75
金彩での花びら模様のみという極めてシンプルな図柄で、何か物足りない感じもするが、そのシンプルさが好まれ、ウースターを代表する図柄の一つであった。単に「クィーンズ・パターン」と呼ばれることもあるが、その場合、柿右衛門写しに同名の図柄があり(ウースター「W13」参照)それと区別するために、本図柄は「ゴールド・クイーン」と呼ばれることが多い。(ただし、そもそも図柄名になぜ「クイーン」が冠せられたのかは不明である。)
本図柄に関しては、James Giles工房が、本品の完成品(市販品)を購入し、再絵付けを施して自社製品として販売した作品が少なからずある。特に、ウースターからの白磁の供給が滞るようになって以降、白磁部分が多い本図柄がそうした再絵付けによく利用されており、一見しただけでは本図柄を下敷きにしているとは気付かないほど豪華な作品に生まれ変わっているものがある。(ウースター「W21」参照。)
本品の形状は、マイセン作品のコピーで、裏面マークもマイセン双剣のウースター・バージョンである(ウースター「W2」参照)。
マーク:裏面に染付けで「交差する双剣、9と点」(写真右上)
Mark: <Crossed Swords, 9 and a dot> painted in underglaze blue on the bottom (plate right above)