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ドクター・ウォール/ ジェイムズ・ジャイルズ工房
「ゴールド・クィーン」図柄を下地にしたティーボウルと受け皿(1775年頃)
Dr. Wall/James Giles Studio
Tea Bowl and Saucer based on the "Gold Queen" Pattern Ca.1775

 ウースターの人気図柄である「ゴールド・クィーン」(ウースター「W11」参照)を下地にして、ジェイムズ・ジャイルズ工房が豪華な再装飾を施した作品である。ジャイルズ工房は、主としてウースターから白磁の供給を受けて優れた絵付けを施していたが(ウースター「W2」及びウースター「W18」参照)、互いにロンドンに販売店を構えていたウースターとの間で営業面での諍いが絶えず、ついに1771年にウースターから白磁供給の契約を解除された。しばらくは手持ちの在庫でやりくりしていたが、それも底をつくと、完成品として販売された他社製品を購入して、再装飾を施し付加価値をつけて販売するようになった。白地部分の多い「ゴールド・クィーン」図柄は、再装飾にうってつけであり多用された。本品はその典型である。多色彩でかつ極めて精密に描き込まれているが、彩色後に再度窯入れしていることからくる釉薬上の黒ずみや、描き加えた金彩と下地の金彩との色合いの微妙な違いなどから、完成品に手を加えたものであることが分かる。
サイズ:ティーボウルの直径7.7cm、受け皿の直径13.2cm
Size:Tea bowl 3 inches and Saucer 5 3/16 inches in diameter
マーク:なし
Mark:None