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ロウストフト コーヒーカップ (1761年頃)
A Lowestoft Coffee Cup Ca.1761



 

 ロウストフト初期のコーヒーカップである。「ヒューズ・タイプ」と呼ばれる特徴的な浮彫りが全体に施されている。その浮彫りの中に、アルファベットの"I"と"H"が組み込まれている(3番目の写真の中央部分)。この浮彫りは、ロウストフトのモデラーだとされるジェイムズ・ヒューズ(James Hughes)の手によるものと考えられており、I.H.は彼のイニシアルであると見られている(18世紀当時は、イニシアルのJはIと表記されるのが一般であった)。イニシアル以外に、"1761"という製造年も浮彫りされている作例もある(本品にはないが)。この1761年版には、本品と同様の、染付けの渦巻きの縁模様が描かれるのが一般であることから、本品も同じ頃の作と考えられる(なお、"1764"と浮彫りされた同様の作品もあり、そちらには四角をかたどった縁模様が描かれるのが一般的である)。胴体部分の3か所の丸枠内には、染付けで素朴な風景画が描かれている。また、内縁には格子状の模様と細長い枠内に花が配されている。(ロウストフト「LT3」参照。

 取っ手はループ型であるが、上部に親指掛けの突起があり、下部は本体に接続した後で少しだけ反り返っている。さらに取っ手が本体に接している箇所の両側に、染付けで短い線が引かれている。窯印はないが、高台内縁に染付けで絵付け師の番号(6あるいは9だと思われる)が記されている。どれも、ロウストフト作品の特徴である。

マーク:高台内縁に染付けで絵付け師番号である「6」あるいは「9」
Mark: Painter's number "6" or "9" painted underglaze blue on inside of footrim
高さ(H): 5.5p
参照文献/References
-Geoffrey A. Godden "Lowestoft Porcelains" pp.54-65 and pp.153-154
-Geoffrey A. Godden "Godden's Guide to English Blue and White Porcelian" p.278 and Plate 342
-Sheenah Smith "Lowestoft Porcelain in Norwich Castle Museum Volume 1 Blue and White" Item 100 (p.104 and p.108) and Item 40 (pp.81-82)
-R. J. Charleston (edited) "English Porcelain 1745-1850" (Lowestoft Chapter written by G. C. Bolster) p.118
-D. M. Hunting "Early Lowestoft" The English Ceramic Circle Transactions Volume 3 Part 1 (1951)
-John Howell "Early Lowestoft" The English Ceramic Circle Transactions Volume 11 Part 2 (1982)


(2013年6月掲載)