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ロウストフト ソースボート (1770年頃)
Lowestoft Sauceboat Ca.1770



 



 本品は、1760年代から比較的長期間(1780年頃まで)作られたロウストフトの典型的な形状のソースボートである。親指かけのあるシンプルなループハンドル、ぺデスタル、それに内側に向かって斜めに傾いた側面の縁等々。しかし、最も特徴的なのは、本体の両側面に施されている花模様の浮彫りであろう。この種類の浮彫りは「ヒューズ・タイプ」と呼ばれており、ロウストフトのモデラーであったジェイムズ・ヒューズ(James Hughes)が手がけたものだと考えられている。1760年代前半の作品の一部には浮彫りの中に彼のイニシアルだとされる"IH"や製造年の数字が組み込まれたものがある。(ロウストフト「LT4」参照。

 絵付けは、釉薬下の転写印刷によるブルー&ホワイトの花柄図が、両脇(図柄は左右で異なる)、注ぎ口の下、取っ手の背、内底、そして注ぎ口の内側に配されている。内側に傾いた両脇の縁模様だけは、手描きのブルー&ホワイトである。幅が狭くて横に長いスペースでは転写するより手描きの方が容易であったためと考えられている。また、転写印刷の部分にも、花びらなどに手描きで薄く影がつけられている。なお、ロウストフトでプリント図柄が用いられるようになったのは1760年代後半以降とされている。

マーク:なし
Mark: None
長さ(取っ手含む)/Length (including handle): 20p
参照文献/References
-Nicholas Panes "British Porcelain Sauceboats of the 18th Century" Figure 297
-Geoffrey A. Godden "Godden's Guide to English Blue and White Porcelian" p.278, pp.295-304 and Plate372

-Geoffrey A. Godden "Lowestoft Porcelains" pp.54-56, pp.65-66, pp.94-103, Plate131, pp.211-212 and pp.153-154


(2011年12月掲載)