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チェルシー 「山羊と蜂の水差し」(1745年)


 「山羊と蜂の水差し(Goat & Bee Jug)」は、もしかしたら、初期英国磁器として最も有名な作品かもしれません。
 胴体が丸みを帯びた「洋梨型」の水差しですが、(仮に「水差し」と訳しましたが、用途は不詳です。なお、サイズは高さ11〜13cm程度です。)下部に山羊が二頭、互いに反対方向を向いて座り込んでおり、その傍らに張り出した木の枝に一匹の蜂がとまっています。取っ手も木の枝を模したものです。基本的に白磁のみですが、多色彩を施したものもあります。(コラム2のダービー参照。)
 この作品はいくつも現存していますが、裏面マークは基本的に三角形を刻み込んだものです。それに"Chelsea"という社名と"1745"という製造年があわせて刻まれた彩色なしの作品が複数あり、これがチェルシーで(というより英国磁器全体の中で)製造年を確定できる最古の作品と言われています。もっとも、この"1745"という数字、特に最後の"5"がなかなか読みにくく、"3"ではないかと読んだ専門家もいるようです。