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浅野琢也の雑記帳26 2013年10月06日〜12月21日

あさのたくやのざっきちょう TakuyaAsano Web 平成25年


2013年12月21日

『永遠の0』(2013年)山崎貴監督作品を観た。原作を読んでいた
ので小説の内容は、もっと深く重いので2時間30分に短くまとめて
映画化したと思えば好く出来ていた。原作の小説を読んでいるので
この上映時間だけで伝えられない部分などもあり短くするのが大変
だったと感じた。いっそ前編・後編がある映画にしてトイレ休憩を入れ
3時間〜3時間30分で作ってほしいと感じた。戦場で戦闘を体験し口を
閉ざしていた老人が人生の最後に戦争体験を後世に伝え残しても
良いと決心するまで60年の歳月が経過しているみたいだ。
祖母の葬式の場面があり母親の清子から祖母の松乃は再婚した
という話を聞いて特攻で死んだ祖父・宮部久蔵の事を佐伯健太郎の
姉・慶子がフリーのライターで終わりたくないから本にしたいと取材を
始める。司法浪人の健太郎は、弁護士の祖父がいるが祖母の
再婚相手で血縁でない事に気づいたようで自分の血縁にあたる
宮部久蔵という人物について調べる。宮部を知っている者の中には
臆病者という人もいたが小隊長や教官をしていた宮部久蔵の家族愛の
深さが「何としても生き残る」という強い信念や意志が感じられた。
健太郎が合コンに行くと、すでに弁護士になっている仲間がいて特攻と
テロは、似ていると言われ腹を立てて途中で退席して血を吸った日本刀
を飾っている老人宅を訪問すると話が聞けて話がつながる。
日本刀を飾り護衛の男がいる影浦という老人や末期がんで余命を過ぎて
生きている老人・井崎・大企業の会長・武田に亡くなった祖母・松乃と再婚した
祖父・賢一郎が宮部久蔵と飛行機を交換して特攻に出撃し不時着して生き
残って清子という子持ちの松乃と再婚した相手だった事を影浦から渡された
隊員名簿で気づく。雨の中を車で向かえに来た姉・慶子にその事を伝える。
ラストで米軍の空母の乗員が弾幕を張っても宮地のゼロ戦はマジック・ヒューズ
(近接雷管)が付いてる弾を避けて空母への特攻に成功する場面が印象的だ。
(センサー付きの砲弾で命中しなくても接近すると爆発してダメージを与える)
映画を観てから小説を読むと、より楽しめる作品だ。
1人の名前も忘れられそうな人間が多くの人に影響を与えているかも知れない
と感じた。原作者である百田尚樹氏の作品で「BOX!」のラストは、主人公
が八咫鏡(やたのかがみ)のバッチ(判事が付ける)を付けて、おこのみ焼き屋
に来るシーンがあった。「永遠のゼロ」では司法浪人と登場人物は法曹関係者の
登場が多い気がしたが「海賊と呼ばれた男」はセブン・シスターズと対決した
石油会社の話では国家間の話で裁判の話が含まれていた。
「永遠のゼロ」「BOX!」「海賊と呼ばれた男」を読むと物語を理解するための
正確な雑学を得られるので読み応えがある。
映画を観終わってこの映画と関係ないが『ミスタア・ロバーツ』(1955年)のラストが
輸送船から転属したロバーツの最後が神風攻撃で戦死という手紙だった事を
思い出した。



2013年12月15日

『人生、ブラボー!』(2013年)ケン・スコット監督作品を観た。カナダの
実家のウォズニアック精肉店(卸問屋みたいだ)で家業を手伝っている
42歳の独身男ダヴィッドには8万ドルの借金がある。自分の部屋て
大麻を水耕栽培して借金を返そうとしている為、恋人で妊娠している
婦警のヴァレリーを部屋に呼べないためギクシャクしている。
ダヴィッドには兄弟が沢山いる。ダヴィットは肉をトラックで配達する
担当だ。父親がいるが母親は他界している。兄弟達と一緒に肉屋で
働き家族でサッカーチームを作る程サッカー好きの一家だ。
父親がチームの監督をしている。イタリア系移民だ。
そんなダヴィッドの所に弁護士か現れて1988年から1990年
の間に693回の精子提供して533人の子供が誕生し142人の子ども達
から基本的人権を根拠に生物学上の父親の身元開示を求める訴訟を、
起こされていると告げられる。スターバックという偽名で提供していた。
ダヴィッドは最初は、本人でないとメキシコ人のフリをして居留守を
使ってごまかそうとする。しかし142人の原告のプロフィールが入った
封筒を弁護士から渡される。1度は開封しないでゴミ箱に捨てるが
気になって開封し1枚だけ引き抜いて読むと自分が応援している
プロのサッカー選手リカルド・ドナテルリだった。友人にサエない
弁護士がいる。母親と四人の子供達に父親としてカッコいい所を
見せたいと重要裁判で判例を作り歴史に残ると引き受ける。
「子供はブラックホールだエネルギーと金と時間を吸い取られる」
「優秀な弁護士を雇う金も無いだろ」「世間が注目する大きな訴訟を
するのが弁護士の夢だ」と「」言う。そして2人でサッカーの試合を
見に行くとファンやサポーター以上の興奮を味わう。
それで他の子供の事も気になって精子提供した父親だと名乗らず
に肉の配達の合間に様子を見て歩く。喫茶店でアルバイトしている
エィテエンヌは、交代の時間に人が来ないため役者のオーディションに
行く予定がダメになるとオーナーに電話している。店の客はダヴィッド
1人だ。ダヴィッドは俺が店番してやるから行って来いという。
店のレジを盗まない保障は?と聞かれ俺のトラックを使え!傷つけずに
返せよとカギを渡す。しばらくしてオーナーが現れて、あいつはクビだと言う。
それからエィテンヌがオーディションから戻りダヴィッドに合格したと結果報告
をする。ジュリー(娘)の所にはピザの配達員からピザを受け取り配達人と
して訪問する。電話中で会話から恋人と上手くいかず貸した金や家賃の事で
揉めていると思ったら部屋の奥で腕に麻薬が入っている注射器を刺して
ベットに倒れている。
配達員の規則で顧客に異常があると放置できないと救急車を手配
して病院に搬送する。そして医者から入院を勧められるが娘は折角
、憧れのデパートに就職が決まったから入院して仕事をフイにしたく
ないとダヴィッドに保護者になってもらう。ダヴィッドはジュリーが朝、
きちんと8時に出勤するか雨の中でトラックの運転席から確認する。
部屋で大麻を水耕栽培して金を作り8万ドルを返済しようとしていたが
全部捨てる。ゴミのトラックが運転台に積んで嬉しそうに去っていく。
障害者施設に入所して口もきけず手や足も動かないラファエルの所に
友人だと面会に行き食事の介護をする。地下鉄の通路でギターを
弾いて歌を歌っているストリートミュージシャンの息子の曲を1人で
聞いている。サクラみたい感じで皆が無関心に通り過ぎていく。
史跡で観光客に解説している息子の所にも行き後ろから拍手をする。
雨の日にも解説し聞いているのはダヴィッドだけの場面では2人とも
ズブ濡れだ。原告達は若く可能性を秘めた青年達だ。血縁で無くても
応援したくなる。原告団会議が開かれているホテルに身体の不自由な
ラファエルの養父だと紛れ込み「全員は知らないが君達は兄弟・姉妹だ。
そして、めぐり会えた」と言って喝采を受ける。会議が終わりプールの
監視員のマルコやジュリーにエティエンヌや地下鉄のミュージシャンに
声をかけられる。身体に障害があり来られないラファエルの養父だから
代理で出席したと言ってホテルを出る。ホテルの外で友人の弁護士が
張り込んで原告達の様子を観ている。ダヴィッドが出てきたので驚く。
ダヴィッドが部屋に戻ると借金取りが待っていて浴槽にダヴィッドを
突っ込んで催促して変える。その後で中性的な容姿のアントワースが
スターバックはダヴィッドだと感づいて部屋に居候させてほしいと居つく。
ダヴィッドは家族チームのサッカーの練習にアントワーヌを参加させる。
アントワーヌはサッカーのルールを知らないで手でボールを受けるが
ルールが解るとスジがいいみたいだ。ダヴィッドの恋人ヴァレリーを
実家に招いて父や兄達と食事をする。ダヴィッドが80年代にバンドを
やっていた話や両親が貧しくてイタリアに新婚旅行出来ないまま病気
になった時にイタリア行きの航空券を持ってきて家族旅行させてくれた
話が出る。(精子提供の報酬で金があった。)ヴァレリーは20歳で大金
を、どうやって作ったの?と聞くと「秘密の花園」でと答え大麻の栽培は
やめてと警官なので冗談を返される。弁護士の友人に出産の検査に
行くときに尋問みたいに電話が来るとボヤいているが電話に出ないと
マズいとアドバイスされて2人で胎児を確認する。
部屋に居候しているアントワースに週末に湖に行こうと誘われる。
アントワースにバラす気かと聞くと独り占めしておきたいと言われる。
コテージのあるキャンプ場に100人以上の原告達が集まりダヴィッド
はトラックの肉を焼く。4人のベジタリアンには豆腐ステーキを作り
「豆腐の処理場は怖いぞ」と冗談を言う。【私はオカラ(卯の花)で
コロッケを作ると良いと考えた】全員に産んで育ててくれた
親がいるのに、こういう家族を持てないのはフェアでないと言い
ダヴィッドは施設からラファエルを車椅子に乗せて連れてくる。
そして朝焼けを見て施設に送り届ける。友人の弁護士の子供を
スクールバスに乗せて一緒に朝食を食べようとするとスターバックの
子供たちという写真で世界中の新聞の一面に湖の集合写真が掲載
されている。マスコミはスターバックは誰と報道する。弁護士は、名乗り
出るのは様子を見てから判断しろとアドバイスする。この際、攻勢に
転じて病院を訴える方法もあるという。ラジオを聴くとスターバックの
非難報道でダヴィッドの兄弟達もスターバックを非難している。
恋人のヴァレリーまで精子提供は売春と同じだと非難している。
スターバックはカナダの恥とまで報じられる。
そんな時にダヴィッドの父親にまで8万ドルの借金の取立てを
される。その為にダヴィッドは逆告訴を決意する。友人の弁護士は
準備は出来ていると裁判に臨む。そして匿名権と損害賠償金20万
ドル(請求額の全額)を勝ち取る。完全勝利でテレビ取材を受けて
いた弁護士は、「子供たち、母さんやったぞ!ダヴィッドやったぞ!」
と言ってダヴィッドって誰ですかと聞かれ恋人ですとゴマかす。
弁護士の母親に大ドジだと言われ子供にはクールだと言われる。
ダヴィッドの精子で生まれた子供達は、もう法律には頼らない。
名乗り出るかは、彼次第だが「幸せと命をくれた人だと思っている」
とコメントされる。名乗り出ると20万ドルの賠償金が貰えなくなるが
ダヴィッドの父親がワルシャワからカナダに来る時に10ドルもらい
スタートした。お守りだと10ドル札を出してダヴィッドの相続分だと
8万ドルの生前分与をする。父親は配達に人の四倍時間がかかるが
皆に好かれる。子供達にも好かれると励ましてくれる。
そしてダヴィッドは、借金の問題も無くなりマスコミにメールで
発表する。それから出産直前の恋人ヴァレリーの部屋の前に到着
すると救急車が来て病院に行く。病院で無事に男の子が生まれる。
ダヴィッドがヴァレリーに結婚してくれとプロポーズしてスターバック
は自分だと告白する。新しい命の誕生を祝って父親と兄弟に続いて
スターバックの子供達が大勢来る。ダヴィッドは、生物学上の父親だけど
弟が出来たぞ!という。そして家族でハグをすると精子提供で生まれた
子供達も加わる。ラストは1人1人とハグする。ダヴィッドのDNAを持つ
色々な人種がいる。地下鉄で歌っているストリートミュージシャンの
周りに人だかりが出来ている。2年間の精子提供期間なので年齢は
殆ど同じだ。そしてエンディングになった。近い状況設定で「男女逆転大奥」
という映画が邦画で作られている。無精子症の男性がカナダでも増加して
いるのかも知れない。岩井俊二監督の小説「番犬は庭を守る」では精子
提供で巨額の富を得る種馬と呼ばれる男の話が出てくるから世界観は
異なるが状況設定に共通点があるみたいだ。
ストーリーと関係ないがシルベスタ・スタローンの映画「ロッキー」の
あだ名が「イタリアの種馬」だったからイタリア系移民の一家なのかも
知れない。家族で同じ仕事をするほど一族の団結力があるみたいだ。
533人のうち原告団は142人という数は、結構リアルだ。選挙の投票率
みたいに無関心か傍観している人数が多い。商品が壊れていた場合に
クレームを入れるのは2割で8割は、諦めて見切るという統計を聞いた
事がある。「赤ちゃんよ永遠に(1972)」では男性の生殖機能の衰えが
無く30年間の出産禁止令の世界だった。環境汚染と食糧危機は実際に
21世紀になって当たっているみたいだ。若者が親より先に死んでしまう
逆縁現象も考えると近未来がどうなるか気になる。直系血族の遺産相続など
法整備も必要な課題になりそうだ。だが、にぎやかで沢山の青年が未来への
希望を感じさせてくれた。



2013年12月08日

『デッド寿司』(2013年)井口昇監督作品を観た。スシという言葉は
赤飯より魅力的な響きなので鮨が襲ってくるという奇想天外な設定
だけどスシだけに話のネタなのそうだ。寿司職人の父親の元で修行
しているケイコが家出して寿司の人気で経営が成り立っている操業
100年の老舗旅館で仲居をすると小松製薬の団体客が訪れる。
旅館の近くで寿司を食べているホームレスがいる。5年前に死んだ
細胞を生き返らせる薬の開発をして副作用で生き返った細胞が襲って
きて襲われて摂取すると感染する危険な薬品だ。この薬の開発をして
会社に責任を、押し付けられて警察に捕まり会社を解雇された仕返し
に寿司に薬を使って攻撃させる。このホームレスはマグロを食べて
自分に薬を注射してマグロの怪人になる。寿司は板前の覇気を含んだ
声で意識を失い匠の技で神経を抜くと普通の握りになって美味しい。
寿司が合体した巨大な軍艦巻きが砲撃してきたり鎖のアンカーを発射
したりカッコ良くは無いがジョークが効いていて造形も白い。
女体盛りは、もっとカッコ良くネタを並べてほしかった。
旅館の亭主が拳銃を先代から預かっていて使う時に「仁義なき戦い」の
メロディーが流れたみたいだ。一瞬プリズンホテルを連想してしまった。
同じ寿司でもタマゴ焼きだけ仲間はずれにされてケイコの肩でアドバイス
するのは光速エスパー(1967年のドラマ)の金属の鳥みたいだ。
人食い寿司を倒して家に帰ると父親が「りりしくなった」という。
残っていた人食い寿司が飛んでくるとケイコが寿司の神経を抜いて
世界で人食い寿司を握れる板前は、私だけだと終わる。劇中に登場する
寿司ヌンチャクなどでアクションも堪能できた。キャストやスタッフは
寿司を食べながら映画の撮影を楽しんでいたと食材はムダにせずスタッフ
で、頂きました。のテロップで想像できた。生物だから「ヨーイ・スタート」
でアンションして「カット」で次のシーンの準備と寿司食うぞ!みたいな
現場を想像してしまう。井口昇監督の片腕マシンガールや電人ザボガーほど
スゴくはないが東京残酷警察のエンジニアのネタ(アイデア)を再利用して
いるが話のネタに良いかも知れない。同じすし屋で仕入れた日が一緒の
魚を時間を開けて食べたみたいで、ネタとして鮮度は落ちて感じるかも
知れない。「大将、この前と味が違う気がするよ。」「同じ日に仕入れた
物使っているよ。」という笑い話を、思わせて笑えた。私は血糊は苦手だけど
コメディーなので勝ってに鑑賞者が想像して楽しまないと損するノリだった。



2013年12月01日

『未来は今』(1994年)ジョエル・コーエン監督作品を観た。
時代設定は1958年で場所はニューヨークだ。ビルから飛び降りようとしている
青年の場面からはじまる。そして、この状態に至った経緯としてはじまる。
最初は『摩天楼はバラ色に』という1987年の映画みたい流れだ。マンシーと
いうアメリカ中部の大学の経済学部を卒業してニューヨークに職を探しに来た
青年ノーヴィル・バーンズは、経験者のみの求人しかなくハッドサッカー社の
郵便室に職を得る。
そんな時にハッドサッカー社を創業した社長のウェアリング・ハッドサッカーは
業績が好調なのに時計が12時を刺すといきなりビルの窓を突き破り飛び
降りてしまう。そのため残った役員達が一度、株価を下げて社長の80%を
超える株を取得するために株価操作を計画する。操り人形になり間抜けに
見える人間を社長にしようと画策しているとノーヴィル・バーンズが緊急で
手渡しの社内の特別送達みたい手紙を持って現れる。そして、いきなり社長に
任命される。バーンズにはフラフープのアイデアがあり重役達は、製品化を
認める。しかし市場に出ても売れない。取り扱い店の1つが店頭から撤去して
捨てた所で1人の子供が拾って遊んでいると他の子供達が店に買いに行き一転
して大ヒットする。その為にマスコミはノーヴィル・バーンズの取材を始める。
ピューリッツアー賞を取った女性記者がノーヴィル・バーンズの秘書として
潜入取材を始める。そして信じていた秘書が記者だったという事も発覚する。
エレベーター係がフレキシブル・ストローを発明し提案するが解雇してしまう。
そしてフラフープは解雇されたエレベーター係の発明品だとゴシップが流れる。
出願して発明者を明確にする方式主義てなく先発明主義の場合は証明するのが難しい。
秘書として潜入取材していた女性は、バーンズが他人のアイデアを盗んでいないと
新聞社でいう。そのためバーンズは社長に就任して短い期間でビルから飛び降りる。
すると時計の歯車が止められる。なんだか「素晴らしき哉人生!」みたいノリで
天使の姿でウェアリング・ハッドサッカーが現れて郵便係りの時に渡していない
手紙で会社の相続が出来る事を知らせて消える。自殺したらキリスト教は地獄に落ちる
教えだったような気がするので若干、違和感がある。フラプーフは一時期大流行したが
フレキシブル・ストローは現在の標準で普及している。この映画は深く考えないで
見ている間なら楽しめる。
カンヌ国際映画祭のパルム・ドール候補作品だったがクエンティン・タランティーノ
監督の『パルプ・フィクション』が受賞した。名作のアイデアの組み合わせで新鮮味に
欠けていると感じられたのかも知れない。1958年のアメリカは「チャンスがあるが挫折と
失望のリスクがある」と株による経済が投機的だと伝えているようだ。



2013年11月30日

『ストーカー』(1979年)アンドレイ・タルコフスキー監督作品を観た。
隕石の影響なのか宇宙船が着陸したのか原因不明で村が廃墟になり軍隊
を派遣したら全滅してしまったエリアがある。そこをゾーンと名づけて
立ち入り禁止にしている。その中に、どんな望みでも叶えてくれる部屋
が存在するらしい。その場所へ案内するガイドをストーカーと呼ぶ。
首に茶色っぽくなった包帯を巻いている。(独立少年合唱団の赤い包帯の
元ネタかも知れないと感じた。)
登山の道案内みたい仕事だ。ゾーンに入ると奇形や障害を持った子供が
生まれるため警備され侵入する事が重罪だ。それだけの危険を冒しても
ゾーンに入ろうとする人間がいて案内と手助けを仕事にする人がいる。
ゾーンの周囲は警備されているがゾーンの中までは危険なので追ってこない。
サイドカーで警備していたり高圧電線のガイシを巨大にした物を付けた
汽車が通る時に門が開き、ストーカーに案内されて教授・物書きの2人が続く。
気が付いた警備員が銃を撃ってくる。しかし当たらなかった。それから
ガソリンエンジンの付いたトロッコにガソリンを入れて3人で乗り込み
ゾーンの奥に進む。線路の終わりまで付くとストーカーは、そのトロッコ
を空車で進んで来た方向に戻してしまう。
ナットに包帯を結んで草原で歩く方向に投げて異変が無いか確認して
進んでいかないとならない。引き返えそうとしても通った道は元とは
異なった状態になり無理だという事だ。エリアの中をランダムに移動する
見えない地雷を避けて通るような状態みたいだ。タイルに溜まった水や
戦場跡に放置された戦車の残骸や赤く燃えている炭が映されてゾーンの
中が未知の危険な場所だという感じを表現している。ゾーンに武器を持ち
込むと全滅してしまう。軍隊が調査に入ったが全滅したのは武器を装備して
いたからだと説明される。教授はリュックサックに何か大切な物を入れて
いる。気圧計などの測定器だろうと物書きが言う。このリュックを教授が
ゾーンを進み建物に向かう途中に置き忘れて取りに戻りストーカーと物書き
が諦めるしかないと先に進むと教授と合流できる。3人になり丸い土管
(ヒューム管?)の中を3人で歩いていくと水を被って濡れてしまい次に
乾燥室があるとストーカーが言うが又、水に濡れる事になったりする。
衝撃的なのは、願いが叶う部屋から数メートル離れた所に部屋があり
固定電話が置いてありベルが鳴り教授が電話で話をする場面だ。
ゾーンを管理している国の機関から解雇を言い渡される。それに対して、
もう部屋の側だという。男性と女性の亡骸が部屋の近くにあり願いを叶える
部屋のドアの周囲の床は砂が沢山のコブ状になっている。教授は、この部屋を
爆弾で破壊して悪用されるのを防ぐと言い出すが思い留まる。すると場面が
最初にゾーンに入るために集まった立ち飲み屋のテーブルに戻っている。
ゾーンの中で3人を見ていた黒い犬がいるので、物書きと教授に犬は、
いらないかと聞くと家に5〜6匹飼っていると言われる。付いて来たから
仕方ないとストーカーは犬を連れて自分の娘を肩車して妻と家に戻る。
娘だけ部屋に座っている。娘は歩く事が出来ずテーブル上を見ている。
誰も手を触れていないのにテーブルのコップなど動きだし床に落ちる。
それから汽車のガタンゴトンというスパイク音がして部屋が揺れる。
汽車の振動で物が床に落ちたと思うという所で終わる。映像表現の流れは
こんな感じだが、ストーカーと教授と物書きの3人の会話が宗教や芸術に科学
を哲学として語っているような内容だ。セットなどは特別に作った物でなく
第二次世界大戦の後で廃墟になった村をロケ地に使って巧みに利用したと思われる
が、名セリフのオンパレードで字幕を読んでいるとメモしたくなる程だ。
キューブリックの2001宇宙の旅が映画の為に沢山のセットや先端の技術で
作られているのに対して宇宙船の通路が丸いのでストーカーの土管(ヒューム管?)
の場面となんか似ているような気がした。内容は2001年宇宙の旅よりストーカーの
方が理解しやすい感じがした。白黒で撮影されている場面とカラーで撮影している
場面がありフィルムを節約してカラー場面を入れる事で視覚に訴える効果まで
高めるテクニックにしているみたいに感じた。



2013年11月24日

『新・喜びも悲しみも幾歳月』(1986年)木下恵介監督作品を観た。
灯台を中心にした物語から時代の変化に合わせた続編みたいだ。
海上保安学校の授業場面からはじまった。灯台勤務で僻地での
生活が多いため婚期になっても独身が多いみたいだ。電気のヘルツが
関東と関西で異なるため買い換えないといけないなどの会話がある。
単身赴任で両親が別々に住んだため母親が不倫して父親の部屋に行くと
父親も浮気している。なんとなく断崖絶壁からの自殺願望を持っている
女性を父親が赴任地の灯台まで車に乗せていく。その女性は自殺しないで
日常生活の表と裏を書いて懸賞小説で賞金を貰いお礼に訪ねてくる。
父親が戦争未亡人は名誉の家で再婚できない背景があったという話しをする。
小説で受賞した女性は灯台勤務の人と結婚したいと本気で考えている。
海上保安庁は相変わらず転勤は多いがヘリコプターのパイロットなら羽田勤務
だったり艦上勤務だったりするが家族全員で僻地の灯台で生活する時代とは
労働条件も変わっているラストは晴海埠頭の観閲式で締めくくられていた。
灯台が嵐で折れそうになり浸水する中を必死で守る場面が「喜びも悲しみも
幾歳月」らしさを感じさせてくれた。後はブイのメンテナンスなど危険な
任務の描写は少なかった。転勤も「アート引越しセンター」を使う時代だった。
教師を定年退職した父親は記念写真を取るのが趣味だ。年金を貰って
日本三景の松島・そして天橋立を観て残すのは宮島になる。そして思い残す
事なく孫にアルバムの処分を任せて息を引き取る事ができる。
ポックリ寺と呼ばれる所に参拝している描写もあった。
この映画が出来た時代は、国鉄が民営化された頃だ。踏み切りに小屋
があり踏切番を人間が行っていたり自働改札でなくて切符に鋏を入れる
のを人が行っていた。そのために雇用があった。人手不足という時代も
あった。そんな時代背景を思い出しながらロードムービー的に観るのも
良いと感じた。21世紀になって海上保安庁を職場とした映画は「海猿」
シリーズに変わった。次に海上保安庁を舞台にした映画がどうなるか気になる。



2013年11月16日

『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(2013年)橋本一監督作品を観た。
政界の闇による事件という触れ込みだったので1作目以上に悪のインフレー
ション化(戦隊の特撮で一度倒された怪人が巨大化して再び襲ってくるのを
戦隊ヒローが合体ロボで倒すみたいなノリ)を期待していたが犯人は身近で
動機がヘイトクライムだった。札幌から室蘭への調査でトレードマークの
車で移動する訳だが、北海道は広いため車が途中で故障すると命取りになる
から演出として楽しんで観るのには問題ないと感じた。組織化されていない
反原発派が勝手に集団で襲ってきたりショーパブのマジックショーから手品
の全国大会で優勝したのをネタまれて殺害されて依頼人が犯人でない人物を
殺そうとするのを止めて「探偵は依頼人を守らなきゃいけない」とお馴染み
のセリフでまとめている。怪我の訳は酔っ払って包丁で毛蟹を切ろうとして
自分で怪我したとダジャレ?で締めていた。毛蟹は手でむしって食べるので
包丁を使う事が無いと思うが深く考えるのはヤボかも知れない。期待を持た
せ過ぎる宣伝文句通りに観ると拍子抜けするかも知れないが、そこそこ楽し
めた。人が沢山死ぬ訳でも無く事件が大事にならないように食い止めて地味
にまとめいる。実際の探偵の仕事に近くしてリアルにしているのかも知れない。
1作目のスポーツBARに捕らえられる事に関連を見出せなかったのは、
賭博をする場所だと知らなかったからだと気づいた。第3作目はデカイ事件
を解決して楽しませてほしいと感じた。



『ふりむけば愛』(1978年)大林宣彦監督作品を観た。
サンフランシスコでの海外ロケが行われた作品だ。
サンフランシスコで凧を揚げている田丸哲夫(三浦友和)
とピアノの調律師の石黒杏子(山口百恵)が出演している
事で話題になった。海外留学や海外旅行が普及しはじめた
時代なので当時に観た感じと現在に観た感じで感じ方が
異なると思った。ラストの凧と凧の糸だけを頼りに飛ぶ
というセリフから赤い糸を示唆しているのかも知れない。
ストーリーは、淡々と進んでいく感じがした。



2013年11月09日


『立喰師列伝』(2006年)押井守監督作品を観た。実写とアニメーションをコラージュ
みたいに使うスーパーライヴメーションという手法だ。秘密結社鷹の爪みたいな動き
だ。戦後の闇市の立ち食い蕎麦屋では、月見の銀二が登場する。海軍の軍服の店主が
背中のベルトに拳銃を挟んでいるあたりが戦後の混乱期のデンジャラスな雰囲気を
感じらせる。月見の銀二みたいなキャラクターは、アニメのパトレイバーでシバ・シゲオ
がニューヨークへ研修に行けると喜んで階段で転んで意識不明の時に観た夢に登場
しているキャラクターに合わせているみたいだった。
時代は学生運動全盛期に国会近くにケツネコロッケのお銀が現れる。キツネをソバ
で注文しコロッケを追加する。立ち食いする女性は珍しい時代だ。東京オリンピック
で、もはや戦後では無いと言われていた時代に哭きの犬丸が現れる。オリンピック
の為に当時、保健所が毒入りの肉団子で野犬駆除をしたらしい。
錦糸町の高架下のマッハ軒で冷やしタヌキの政が一緒に店に入った男にドンブリで
一撃で撲殺される。その時に犯人は「総括」と言っていたらしい。左翼用語らしいので
2人は何か関係があるようだが完黙しているようで動悸は不明だ。ここまでは新左翼
(ニューレフト)が目立った時代だ。そして時代は80年代頃に変わったと思われる。
立喰の経営スタイルも変わりシステム化していく。
「冷やしタヌキの政」はアニメの機動警察パトレイバーでは、コンビニの店員で登場している。
セントラルキッチンによるフランチャイズチェーン化した外食産業に立ち食いの形態
に変わった時に牛丼チェーン店・予知野屋に牛丼の牛五郎が鼻輪を付けて現れる。
さらに鼻輪を付けた配下の男達で店を占拠して単品商売の牛丼を食い尽くす。
緊急配送も間に合わなくシステム崩壊し牛魔王と噂される。
ハンバーガーチェーン店にハンバーガーの哲が現れてキッチンの鉄板面積で焼ける
ハンバガーの生産力の限界を超えるの注文をして他の客の昼食時に提供不能にして
暴動寸前にする。遊園地でフランクフルトを喰らうフランクフルトの辰はレジャーブームで
繁栄し廃園に向かって衰退していく遊園地の観覧車で白昼夢でドッペルガーの幻想と
会話している。噂では食べ物の持ち込み禁止の巨大テーマパークでボコられたらしい。
カレーのスタンドチェーンにターバンを頭に巻いた中辛のサブが現れる。店主はイスラム教は
豚肉がダメでヒンドゥー教では牛肉がダメなのでチキンカレーの中辛を出す。
立喰師の異様ないでたちと口上が面白かった。
私が若い頃昼休みに、親子丼かカツ丼を良く食べたので養鶏所でブロイラーとして餌を
食べているような気になった事を思い出した。ヘアスタイルをモヒカンにした客が
並んでいると鶏の鶏冠みたいで面白いと考えていた事を思い出した。こんな立喰師が
いたらチキンのジョージと言うネーミングが面白そうだと想像した。
立喰師の歴史に野犬の殺処分の歴史を絡めているのか面白い。戦争中に犬を供出させ
猫は、役に立たないと熱湯が入ったドラム缶に入れて殺したという事があったらしい。
食料難でネズミが増える事もできなかったのか疑問だ。『立喰師列伝』のキャラクター
は、独特の扮装でパトレイバーなどの押井守作品に関係している人や愛犬のガブリエルと
ダニエルが登場しているので面白かった。ディナーのドレスコードみたいに立喰師の強烈な
TPOもマニアックで面白かった。(TPOはTPPとは違う。)
脱サラして喫茶店のマスターになりたいと言えた時代が懐かしい。最近のドラマに
めしばな刑事タチバナというものがあったのを思い出した。
直近では一流ホテルの食品の誤表示がニュースになっていた。食の話題は尽きない
ものだ。



2013年10月20日

『最強のふたり』(2011年)エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督作品を観た。
パリに住んでいる富豪のフィリップは、趣味のパラグライダー事故で頸髄損傷の為に
首から下を動かす事が出来ないため住み込みで働いてくれる介護者を募集していた。
日本のハローワークみたい所の紹介で黒人移民のドリスが失業保険の給付を受けるために
紹介さ面接を受けて不採用になったことを証明するための書類にサインさえ貰えれば良いと
フィリップの邸宅に行き介助者として雇用してもらうための面接を受ける。希望者が多いが
何故かフィリップはドリスを雇う。医療費が無料で介護などの社会保障制度が充実している
フランスだから成立する話だと感じた。ドリスはフィリップの家に飾ってあるイースター・エッグを
一度は盗むが返す。フィリップは、事故にあってもインストラクターとパラグライダーで空を飛ぶ。
ドリスも付き合いで空を飛ぶ。フィリップの介護で行動を共にするうちにドリスは、成功者の
仕事に対する意識や生き方を自然と身に付けてフィリップと共に過ごした経験を生かして
ビジネスマンとして成功する。ドリスに対してフィリップが経済的に支援した訳でない。
ドリスが自分で学習して成功する所がスッキリとしていて気持ちの良いハッピーエンドだった。
これが現在の日本やアメリカだとハッピーエンドにならないと少し考えさせられた。



2013年10月12日

『アンドレイ・ルブリョフ』(1971年)アンドレイ・タルコフスキー監督作品を観た。
修道士でイコン(ロシア正教の宗教上の絵を画いた聖画像・文字を読めない民衆に
信仰を伝え理解させる為に描かれたと思われる)画家アンドレイ・ルブリョフの
生涯を物語りにしている。
映画は熱気球の打上げではじまり3人の画僧がモスクワに向かう途中に雨宿りした小屋に
旅芸人達がいて芸をはじめる。村人がみている。すると兵士たちが芸人を連行する。
3人の画僧はモスクワのアンドロニコフ修道院に到着して生活をはじめる。
人民の無知は彼ら自身の愚かさのせいで神に対する恐れで信仰を成り立たせる
考えに対してルブリョフは、未来への希望に目覚めるイコンを描くと主張する。
大公に大公の弟が反目しており弟はタタール兵と連合してウラジーミルを襲撃する。
聖堂に大勢の市民が逃げ込み騎兵たちも攻め込んでする。女性を助けるために止めよう
としてルブリョフが兵士を殺してしまう。その罪を償うために絵筆を折り、沈黙の誓い
続けている。 鋳物師(鐘職人)の息子が亡くなった父親の変わりに10代の少年が
秘密の製法を父親に習ったと言う事で失敗したら殺される責任者となり大勢の職人を
監督し命がけで鐘を造る大事業を成し遂げ力尽きて倒れる。
それを見守っていたアンドレイ・ルブリョフは、これがモチベーションになり10年
以上も絵を描くのを止めて沈黙の行を、続けていたがイコンを描く決意をして
トローイッツェ・セルギエフ修道院に向かう。という流れだった。1400年代の話
なので拷問や処刑の描写が残酷だった。



2013年10月06日

『惑星ソラリス』(1972年)アンドレイ・タルコフスキー監督作品を観た。
日本公開が1977年だから公開の時に観る機会があったので観て液体酸素を
飲んで自殺して冷凍人間になっても生き返る場面が記憶に残っている程度
の状態だったが人気ドラマ「半沢直樹」の最終回のラストの目のアップを
観たことで、もう一度、観賞した。当時は気が付かなかったが前半に東京
の道路のトンネルを車で走って撮影しているシーンに日本語の案内標識や
看板が確認できる。ソビエト連邦があり宇宙開発の技術が鉄のカーテンで
どのぐらい進んでいるか解らない時代に公開された映画なので当時は難解
だった。虫に喰われた葉っぱが最初に映されて映画が、はじまり自然に
囲まれた別荘みたい所でソラリスを研究するための宇宙ステーションから
連絡が無くなったという会話をしている。自動車にテレビ電話を付けて
走っている相手と会話している。注意してみると首都高だった。日本ロケ
している。当時は未来の道路のイメージに近かったのだろう。乗用車が
走っているがトラックやバスは殆ど走っていない事が意外だった。
それから研究用宇宙ステーションに科学者クリス・ケルヴィンが白くて
大きなディバックを持って調査のために現れる。廊下を歩きショートして
いるケーブルを外す。そして生存している仲間を探す。宇宙ステーションでは
部屋に引きこもり他の人間とはコミニュケーションを取る時間も作りたく
ないという雰囲気で対応される。しかも部屋の中を見ないでほしいと
言われる。惑星ソラリスを研究する任務を忘れてしまっている。
友人は自殺しておりクリス・ケルヴィン宛てと書いた封筒に入った手紙が
自殺した友人の部屋の鏡に貼り付けてある。
宇宙ステーションは広い設計だ。通路は狭いが個室は広い。
クリス・ケルヴィンも自分の部屋を決めて宇宙ステーション「プロメテウス」
で生活していると10年前に自殺したクリス・ケルヴィンの妻が実体化して
出現する。
背中の紐を解いてと言われるが服は着脱できる構造になっていない。
鋏で切り込みを入れて脱げるようにする場面は印象的だ。
宇宙ステーションから怖くなってロケットに乗せて打ち上げて追い出しても
又、出現する。部屋の内装も、宇宙ステーションに残っている人の記憶に
合わせて変化していくようだ。惑星ソラリスの海から出ているニュートリノ
という物質に磁気と人間の記憶が加わると、それを感知して実体化した
物質を出現させる環境になるらしい。しかも会話まで出来る死んだ人間が
現れるのは怖い。そして行動パターンまで同じだ。しかも自殺しようと液体酸素
を飲んでも元に戻る。但し惑星ソラリスから離れると存在できない。
宇宙ステーションに残っている研究者は、生物でない惑星の生み出す物質を「お客」
と呼ぼうと言う。ソラリスの海にエックス線を照射して不思議な現象を無くそうと
行動しようとするが思いとどまる。
クリス・ケルヴィンは惑星が生み出した妻と離れなれなくなり地球に戻る事を
あきらめるというラストだった。
このアイデアをアレンジするとゴーストバスターズの巨大なマシュマロマン
の登場みたい表現方法もありそうだ。
2003年に「ソラリス」というタイトルでリメイクされているが、こちらは
まだ観ていない。



2013年10月05日

『鬼畜大宴会』(1997年)熊切和嘉監督作品を観た。極左翼の過激派
グループのリーダーが刑務所に入れられている。リーダー不在となり
リーダーの女が、リーダーの代行になっている。アパートをアジトに
して大勢が寝泊りして共同生活している。革命という妄想を肴に酒を
飲んでいる状態だ。その中の数人が勝手に資金が無くなったと郵便局
強盗をする。(強盗の場面を省略してセリフで表現)それから警察に
密告した者が出る。その為に警官を殺す。(場面を省略してセリフで
捕まらずに戻ってきて「警官殺しになった」と表現していた。)その後に
疑心暗鬼になり内部崩壊を繰り返す。手当たり次第に粛清を繰り返し最後
は日の丸の国旗を日本刀で突き刺す場面で終わる。全員が殺し合い勢いで
SEXしたりエロに超グロテスクな描写だ。しかも様子が脚本に合わせて
演技しているとは思えないほど自然だ。その場に透明人間がいて実際に
行われている様子を撮影したような完成度の高い場面で構成されている。
フィクションだが、ありえそうなストリーリーで、凄くリアルだ。
酒を飲んで、そうめんを喰らっている。革命と書いたヘルメットも映されて
いるが、どんな過激派だか不明だけど違和感を全く感じさせない。
しかも全員が演技していると感じさせず自然に行動しているように撮影する
手法はスゴイ。ダメ人間達が負のスパイラルで死んでいくが自業自得だと
観客をスッキリさせるストーリー展開で納得してしまう。
レイテングコードはR15かR18だと思う。
子供も見るジブリの「風立ちぬ」で喫煙の描写が話題になったが、飲酒の
描写は今後、どうなっていくのだろうか?昔は、シャーロックホームズは
ヘロイン中毒というキャラクターだったが時代の変化で表現は時代考証と
製作や公開時期となる時代の観客の社会通念とイデオロギーの変化に対応し
共感を得られるかを考慮して普遍性を加える必要がありそうだ。
人が沢山、死ぬ映画は難しいアレンジも必要な気がした。まず観客の嫌悪感が
強すぎると作品を理解する前に、観たくないという気持ちしてしまう。
(1970年代と違い現在の若者は、酒を飲まない人が増えている。
親の世代が酒飲みで子供の時家庭に不快な経験と経済的損失を経験したと
感じて成人しても酒を飲まない人が増えたという可能性がありそうだ。
アメリカでは禁酒法の時代もあったしイスラム圏は宗教上の理由で飲酒を法律で
禁止している。)おそらく大学生になってから努力しないで酒のんで暴れるだけの
集団が内ゲバで自滅するように死んでいくみたいに見える演出は酔っ払いに
迷惑させられた経験のある人にとってはストレス解消になりそうだ。
後からメンバーに加わった男は日本刀を武器として使う。ゲバ棒と呼ばれる
角材から鉄パイプ、更にヘルメットに穴を開ける程の破壊力があるバールと
武器が強力になっていったらしい。昨年公開の「悪の教典」で
全共闘世代の教員が劇中で殺人に使った小道具をバールにしているのは世代を
表現していると感じた。ラストの壁に張ってある日の丸を日本刀で突くラスト
で終わった。自主制作映画なので、スポンサー(酒を扱う飲料メーカーなど)に
気を使わない状態だから出来たのかも知れない。
未知の世界を覗いている感じになり以外と引き込まれる作品だった。




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