AT互換機関連 ハード・ソフトレビューMattHomePage
ひとくちコラム1
Last Update:
Sunday, 01/25/2004 2:21 am
PC/AT互換機でWindowsを安心して使うための提言
仕事柄Macintoshを使うことが多いのですが、同じような使い方をしている限り、MacOSと比べてWindows(95,98,NT4,2000)は比較的安定していてトラブルも少ないOSです。ただ、自由度が大きいので使い方によってはどうしようもなく不安定になることもあります。私の仕事や個人的な使用での経験から、どうすれば安心して使えるマシンになるのかを整理してみました。新しい情報によって随時更新します。
●機器の構成についての一般的な考え方
汎用的に使えるパーツを組み合わせる
できるだけ汎用品で構成するのを勧めます。PCメーカー品の中には独自の作り込みをしているものがありますが、デバイスドライバや設定が特殊だったりすると、トラブルがあった場合に相談できる人が限られてしまいます。また、メーカーおすすめ以外の機器を接続しようとしたときに障害がでることも多いです。特にマザーボードを作り込んであると、他の機器で問題のないカードやメモリーでも相性問題でエラーが頻発することがあり、原因究明に苦労します。
ユーザーの多いパーツを選ぶ
マイナーなパーツを使用すると、互換性の検証が十分でなくトラブルが発生しやすくなります。特にこだわる部分以外は、発売からそれなりに経過した、出荷数の多い製品にしておくと、製品にたとえ問題がある場合でも解決策が見つかっていることも多いです。副次的な効果として、製品が安く手にはいるというメリットもあります。
できるだけ簡単な構成にする
パーツの種類が多ければ多いほどトラブルに見舞われます。これは相性問題だけでなく、発熱や電源容量不足、さらには接続ケーブルの接触やノイズなど、複雑に関連してきます。特に、古くて遅いHDDを何台もつないでいる場合、大容量のものを1〜2台に置き換えると、速度向上だけでなく安定化にも貢献します。
テープドライブを買いましょう
バックアップはつい億劫になるものです。私自身、システム全体のまともなバックアップは、いくらリムーバブルのディスクがあってもまともに実施できませんでした。ところが、4GByteのテープを買ってからというもの、月1回程度のバックアップを確実に実施できます。外出前に動かしておくだけでいいのですから簡単です。ドライブが高価なのは事実です。それでも、「バックアップが実施できる」のは現状テープドライブだけです。
※物理的に離しておかなければ、バックアップの意味が半減します。内蔵の他のHDDにバックアップしたとして、もしウィルスに感染した場合、バックアップデータも壊れる可能性が高いです。HDDにバックアップするなら、使用するときだけ取り付けられるような外付けやマウント式を薦めます。
システムとデータは別ドライブに入れましょう
必要なデータを誤って消してしまったり、上書きしてしまうことが稀にあるはずです。そんなとき、Windows95や各種プログラムの入っているドライブは、ユーザーの知らぬ間に設定ファイルやログなどが更新されているためデータが上書きされてしまいます。パーティションを分けて別ドライブにしておけば明示的に書き込まない限りデータが上書きされることはありませんので、回復できる確率が高まります。
●使用するソフトについての一般的な考え方
使うソフトを必要最小限にする
もうこの一言に尽きます。有名メーカーの巨大ソフトは特にそうです。ソフトを減らすだけで、ディスクも減らすことができるし、一石二鳥です。同じ機能の複数のソフトがあるなら、一番気に入ったものを残してアンインストールしてしまうくらいが理想。
メジャーなソフトを使う
前項目と矛盾している部分もありますが、デファクトスタンダードの威力は絶大です。他のソフトやハードとの互換性や相性が充分検証されていますから、(メーカーにもよりますが)一般的に問題が出る確率が相当低くなります。
※ここでのメジャーというのは有名ソフトメーカという意味ではありません。たとえばテキストエディタにおける「秀丸」のようにオンラインソフトがメジャーな場合もあります。ただ、Office系やDTP系など、大きなアプリケーションになることが避けがたい場合、どうしてもMicrosoftやAdobeのソフトがデファクトスタンダードになるのは、開発力を考えたら当然の成り行きと言えます。
こまめにアップデートする
中にはアップデートして問題が出る場合もありますので、単純ではないですが、マイナーなアップデートは一般的にバグフィックスのことが多いので、アップデートした方が安心です。アップデートに関しては、日本で開発されたソフトを除き日本語版に比べて英語版の方がこまめに行われる傾向がありますので、文字を使わないソフトの場合、英語版を使用するのも有効です。
バージョンアップをあわてない
メーカーにもよりますが、メジャーバージョンアップ直後は問題が出ることが多いので、しばらく様子を見ることをおすすめします。
メーカーからの情報を常に収集する
まともなソフトメーカーはたいていWWWでサポート情報を流しています。致命的な相性問題などを回避するためにも、定期的にチェックすべきです。
●日常管理について
ディスクのチェックと整理をする
ディスクのエラーチェックとデフラグメンテーションは使用時間にもよりますが、毎週実施するのがおすすめです。デフラグメンテーションはディスクの再書き込みをして、あまり使わないデータの消失を防ぐ意味もあります。バックアップは、家庭用ならフルバックアップを月1回、更新データのバックアップは最低週1回程度でいいかと思います。
内部の点検・清掃をする
埃がたまっていないか、過熱している部品はないか、異音や振動はないか程度の簡単な点検を数ヶ月に1回くらいは実施した方が安心です。過熱チェックには、数時間の通電後すぐにケースを開けてCPUの放熱板や、HDD、マザーボードやディスプレイカード上のチップなどを触ってみてください。自作の場合、空気の流れの影響で思わぬ部品に負担がかかっていることがあります。また、ケース内部の埃を除去するのは当然ですが、マウスもきちんと掃除してあげてください。
●ハードウェア別<安心できるパーツの選定ポイント>
- CPU
- 買い換えるときはマザーボードも買い換える方が安心。多少速いものを買ったところで、2年もすれば買い換えることになるから、コストパフォーマンスも考慮すること。Scket370,SocketA,Socket478等選択肢が多くなっているが、ソケットの将来性などにこだわらず、使いたいCPUにあわせてマザーボードを選べばよい。また、最近の1GHz以上のCPUは消費電力が大きく、放熱方法や電源ををよく考える必要がある。
- マザーボード
- チップセットによってWindowsのアップデートが必要になるので、入手方法を確認しておくこと。また、同じチップセットでも、ベースクロックやCPUコア電圧の選択肢に違いがあるほか、メモリーの搭載条件も異なるので、事前に調べておいた方がよい。安全をねらうなら、Intelのチップセットの方が無難。ネットワークや音源、グラフィックス、ATA133のRAID、IEEE1394,SerialATAなどオンボード搭載が増えているが、特に必要でないものにまで欲張るとトラブルの元。
- メモリー
- できるだけ大容量のものを枚数少なく使うのが理想。2年もすれば買い換えることになるので、種類(DDRとかRDとか)にあまりこだわっても無駄。マザーボードとの相性もあり、メーカー製PCの場合汎用的なマザーボードを使っているメーカーでも、メモリータイミングはチューンされているので要注意。PC3300(DDR400)などまだ実績も少ないので、価格だけでなく品質にも注意しないといけないのが難しいところ。
- ディスプレイカード
- メーカーにもよるが、新製品に飛びつくと痛い目に遭う確率が高い。表示速度以外に、画質という重要なチェックポイントがあるのを忘れないこと。製品によって、3Dゲーム重視のものと、画質重視(特に高解像度)があるので、よく調査した方がよい。フルカラーを使いたい人は、リフレッシュレートがハイカラーより落ちる場合がある点確認すべき。進歩がかなり早い分野だから、無理して最新機能にこだわってもすぐ古くなる。下手に将来性を考えるより今一番必要な機能や性能で決める方がいいと思う。
- ハードディスクドライブ
- 一般に新しいものほど記録密度が高く、容量も大きく、速く、発熱も少ない。回転数よりも、特にディスク(プラッタ)1枚の容量を目安に、比較検討してみるとよい。台数が多いとトラブルの元になるので、少しくらい高価でも、大きなもので置き換えるとよい。また、アイドル時の消費電力や騒音にも注目。
SCSI かEIDEかという問題は、別コラムにあるので省略するが、CD-Rに書き込むドライブだけは、SCSIにした方が安心できる。外付けはコネクタやケーブルトラブルが多くなりがちなので、電源容量に不安がない限り内蔵する方が安心。また、外付けSCSIには純粋なSCSIドライブでなくIDEドライブをSCSIに見せかけてあるものもある。これらは能力の点で内蔵のIDE以下である点注意されたい。
個人的には以前からIBMを愛用してきたのだが、最近はMaxtorにいいドライブが増えている。流通も多くなってきているが、型番が複雑なせいか相変わらず古いものが堂々と出回っていたりするので要注意。
- 電源
- Pentum4やAthlonなど電源にシビアなCPUが多くなっている。CPU負荷によって急激な電力負荷の変動が発生するので、必要な電力を満たすだけでなく、負荷の変動に対する安定性が今まで以上に重要。問題は、その安定性に関する情報が非常に少ないこと。雑誌の記事などでも静音ばかりが話題になっていたりするし、電圧変動を調べていても、テスト方法がいい加減だったりするので、信用できる記事は意外に少ない。また、それなりのブランドでも、OEMの場合も多く、中には品質的に疑わしいものもあるので、よく情報を集めた方がよい。
○もし今使っている電源の品質が不安になったら、あくまでも目安ではあるが、動作中にデジタルテスター(\5,000くらいのもので十分)で電圧を測定しながら、CPUに負荷をかけてみると良い。12Vが100mV以上動くような電源は交換することをお勧めする。※注意:くれぐれもマザーボード上で測定したり、マザーボードの電圧モニタで判断しないように。電源ケーブルの電圧降下も反映されてしまうし、電圧モニタは数十mVの誤差がある。また、数十mV程度の電圧降下は一般的なので、あまり神経質になる必要はない。神経質な人は、このへんを買うと幸せになれるかも。
- モニター
- 少しくらい高くてもいいものを買っておくと見やすいので作業能率が全然違う。他のパーツと違って、長く使えるのでケチらないこと。同期周波数やドットピッチだけでなく、メーカーがまじめに調整しているか(ばらつきが少ないか)をチェック。入力切り替えを頻繁にする人は、ワンタッチで操作できるか確認しないと泣きを見る。
個人的なおすすめはNANAOとSONY。
- キーボード
- あまり使わないと思っている人も、それなりに自分にあった品質の高いものを入手することを勧める。メーカーの低価格PCに付属しているものは、コストを相当削ってあるものが多く、不安定でまともな入力を想定していないものすらある。このようなキーボードを使用していては、タイプが上達するはずもない。
また、キーボードに限っては新しいものがよいとは限らない。多少古くてもWindowsキーやその他マルチメディアキーがないくらいで、最新のWindowsとの互換性も問題なく、
むしろ古い方がコストがかかっていて品質が高かったりする。キーボードの選び方など詳しくは別コラム「キーボードを考える」を参照のこと。
- マウス
- 自分の手にあったもの、ボタンが押しやすいもの。安物を使い捨てるという考えもあるが、正規のMS-Mouseなどいいものを買っておくと2年間は使える。マウスパットもちゃんとしたものを買うと、使い勝手に大きく差が出る。
- タブレット
- WACOMの製品が普及率が高く、対応ソフトも多い。それでもソフトによっては問題が出ることもあるので、本格的な絵を描きたい人以外は使わないこと。
- プリンター
- プリンタポートタイプの場合、たいていはちゃんとしたドライバが付いてくるのでトラブルに見舞われる可能性は低い。画質や速度などの性能面だけで判断してよい。最近はUSBタイプも安定してきている様子。Windows98以降を使っているのなら、USBの方が使いやすいが、マザーボードのUSB
I/Fのトラブルに巻き込まれる危険はある。
- モデム・TA・ルーター
- 今から新たに買うならADSLにしたいところだが、実績がまだあまりないので、速度が出ないなどのトラブルは覚悟する必要がある。安全をねらう向きには、回線をISDNにしてTAやルーターにした方が実績がある。
ただし、ルーターを使うにはネットワーク知識がそれなりに必要なので、経験がないならTAとしても使用できるタイプにしておくとよい。
事情があり、アナログ回線を使うならよくモデムを吟味すること。同じ規格で同じ回線を使っても、速いものと遅いものがある。個人的にはUS-RoboticsのCOURIERがお気に入りだったりする。
- ネットワークカード
- まともなメーカー(3COMやIntel)でもPCIの100Baseで1万円を切ったりするので、長い間使えるものだし、これらのブランドにしておいた方がドライバの供給の点でも安心できる。もっとも最近はマザーボードに付いているから、別途カードが必要な人は少ないかもしれない。
- サウンドカード
- 最近ではDOSを使うこともまずないと思うので、互換性はあまり気にしなくてもよいが、ものによってはWindowsNTや2000で使えないものもあったりする。音質はピンきりなので、選択が難しいところ。マザーボード内蔵タイプも多いが、音質に期待するのはやめた方がいい。ノイズなどを気にする向きには、USBの外付けタイプの方がいいように思う。
- SCSIカード
- HDDを接続しないならAHA-2940AUがベスト。つなぐ機器の種類が多いだけに(特に最初の1枚は)メーカーのリファレンスになっているものを選ぶべきだが、Adaptecは他のメーカーと比べて価格が極端に高価である。互換性調査を厭わないなら、他のメーカも検討の余地あり。
WideやLVDの必然性はあまりないが、将来高速HDDをつなぐなら検討の余地あり。この場合、外付けコネクタはNarrow(50pin)の方が、外付け機器の接続に便利。なお、UltraSCSIで外付けと内蔵が混在するなら2枚差しやデュアルチャネルのカードを使うなど、内部と外部でバスを分けないと、ケーブルの長さの制限でトラブルに見舞われることが多くなる。高速デバイスにこだわらなければ一度買えば3年は使えるので、それなりに先のことも考えた方がよい。
- CD-ROM
- 8倍速以上なら回転速度より、シーク速度やインターフェイス速度(CPU負荷に効いてくる)の方が影響が大きい。12倍速以上では、CDの変心やバランスによって派手に振動することがある。CD-R/RWが高速化されているのでこれらで代用しても良いが、いずれにせよOSのインストール用に確実にBootできるドライブを確保しておくことを勧める。
- CD-R/RW
- 4倍速以上やオンザフライの書き込みをしたいなら、HDDの性能も重要なので合わせて検討する必要がある。ドライブがいくら早くても、失敗が多いようでは意味がない。速度だけでなくドライブの品質に注意。
- リムーバブルメディア
- 最近は画像を扱うことも多いだけに、何かないと困る。普及率の点でMO が無難な選択かもしれないが、埃などのトラブルには要注意。他のメディアもドングリの背比べ状態なので、適当に妥協して決めるしかない。個人的に作ったデータを貯めるだけなら、CD-Rもよい。
- テープドライブ
- まじめに使うPCなら、是非買っておくのを勧める。ただし、システム全体が1本に収まらないと外出時や夜間に行うという手が使えないので意味がない。バックアップソフトはWindows98以降であれば、標準で添付されるので問題ない。
TravanやDATが一般的だが、新品ドライブは相当高価である。業務用ならそれもやむを得ないが、家庭用であれば中古品(非圧縮12GByteのDDS3であれば2〜3万円で入手できる。)にしておくとコストが抑えられる。
外付けのHDDに待避する手も使えるが、振動に弱く、それなりにかさばるので媒体の保管が難しい。
- スキャナー
- まず接続方法を確認する必要がある。古いものではプリンタポート接続が多く、最近ではUSBポートが主流。性能を重視する向きにはSCSIタイプもある。個人的には、SCSIタイプを使用しているが、マザーボードやSCSIカードによってはトラブルが出ることもあるらしい。スキャナメーカーの推奨するSCSIカードを実績のあるマザーボードと組み合わせるのが安心。また、USBなどでは、転送速度が10MBit/sに制限されるので、高解像度で取り込もうとすると、インターフェイスの速度がボトルネックになってしまう。USB2.0など、高速な規格に対応していない限り、あまりお勧めできない。
matty@gol.com , (c) Copyright 1997-2004 Yoshihisa Inagaki All rights reserved.