Windows98での検証環境も作っておこうと考えて、SystemCommanderをインストールしているDOS領域(一応Windows98がインストールしてある)でWindows98が動くようにしておこうと考えた。何でもないことのはずが、落とし穴がいっぱいあったので紹介しておく。
いくらがんばっても、NDIS.VXDが起動時に保護エラーで落ちる。今時あまり関係ないと思ったが、念のためにIRQのあたっているSCSIカードも動かしてみたが、ダメ。ASUSのサポートなどをあさってみてもいい情報がない。検索エンジンで色々調べたところ、Windows98SEに上げれば動作するとかの情報はあったのだが、動作しない理由も、素のWindows98を動かすための情報もなかなか見つからない。唯一あたったのが、Intelで検索した以下のような索引情報。
IPI テクニカル情報 2002[2002/6/27] (6 kb) |
05/31/2002 古い Windows(Win95,98) で CPU 周波数が 2.20GHz 以上で使用すると問題が あります。 Microsoft* Windows* 95 or Windows* 98 (リテール版)を使用する場合 PC の CPU |
この情報を見ようとしたが、チャネルプロバイダに加入していないと入れないので、肝心な対応方法がわからない。ただ、Windows98SEの不具合パッチとして、243199JPN8.EXEというファイルがMicrosoftから配布されていたから、この中に入っているNDIS.VXDを取り出して交換してみたところ、何とすんなり起動するではないか。なぜこんな明らかなOSの問題に対して、まともな情報がIntelの閉鎖空間にしかないのかどうも解せない。
後日英語で調べてみた。「NDIS Protection Error」でIntelのサイトを調べたところ、いっぱい情報が出てくる。とりあえず代表的なのは以下のURL。
http://www.intel.com/support/motherboards/desktop/sb/1067098613750732-prd485.htm
でその中の記載には、「Microsoft support article Q212108」を見よとあって、これを米Microsoftで調べたら、やはりCPUの動作周波数の問題で、パッチがあるからサポートに連絡しろとある。まあ古いものだから致し方ないとしても、CPUの動作周波数という一般的なことが原因で障害が出るのに、なぜ英語の情報しかないのだろうか?
http://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;en-us;Q312108
これも苦労した。ASUSからCDで配布されているINFファイルのインストーラーがWindows98SE以降にしか対応していないのである。IntelのWebサイトから、対応したものをもらってきたのだが、これを実行してもうまく動作しない。添付された英語ドキュメントを読んで、INFファイルたちを別フォルダに展開し、そこから一つ一つのデバイスを更新して行くという、根気のいる作業を実施する羽目になった。それも、一筋縄ではない。重要と思われるデバイスを名指しで更新していったところ、うまく更新できないものが残ってしまう。マニュアルに記載されていないようなマザーボードリソースのようなデバイスまで一々更新して、初めて全てののデバイスの更新ができるようになる。
CPU外部周波数を133MHz未満に設定することで、CPU:Memoryの周波数比を3:4に設定できることが判明した。CPU外部周波数132MHzでこの設定を使えば、メモリーを352MHzで駆動することができる。
さっそく試してみたところ、Windowsの起動には問題なく、PCMark2002での測定結果は、Memoryが5645と、定格駆動の5016よりかなり大きな値となった。参考までに、CPUの動作周波数が若干下がって2.51GHzとなるため、CPUの測定値は定格より若干劣る6118となる。ややこしくなってきたので、以下の表にまとめる。
動作の種類 | CPU | FSB | Memory | 電圧 | PCMark2002 | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
外部 | 内部 | CPU | Mem | CPU | Mem | HDD | ||||
定格動作 | 133MHz | 2.53GHz | 533MHz | 266MHz | 1.5V | 2.6V | 6229 | 5016 | 1038 | 正常動作 |
CPUクロックアップ1 | 150MHz | 2.85GHz | 600MHz | 300MHz | 1.6V | 2.7V | 6941 | 5534 | 1047 | |
CPUクロックアップ2 | 153MHz | 2.91GHz | 612MHz | 306MHz | 1.7V | 2.7V | 未測定 | |||
Memoryクロックアップ1 | 132MHz | 2.51GHz | 528MHz | 352MHz | 1.5V | 2.7V | 6118 | 5645 | 1057 | Memtest-86 エラー多発 |
Memoryクロックアップ2 | 130MHz | 2.47GHz | 520MHz | 347MHz | 1.5V | 2.7V | 未測定 | |||
Memoryクロックアップ3 | 128MHz | 2.43GHz | 512MHz | 341MHz | 1.5V | 2.7V | 5970 | 5467 | 1066 | 正常動作 |
Memory定格動作 | 125MHz | 2.37GHz | 500MHz | 333MHz | 1.5V | 2.6V | 5813 | 5406 | 1061 |
キャッシュの高速化によるものか、HDDまでがCPUのクロックアップより速くなっているあたりが面白い。ただ、この設定だと普通にWindowsを使えるにもかかわらず、どうもチップセットのメモリードライブ能力の限界なのか、memtest-86では大量にエラーが出て、memtestもまともに動かない。この現象は、メモリーのCASを2T→2.5Tに上げても解消しないので、メモリーの電圧をさらに上げてみたのだが、かえって悪くなる様子。
そこで、CPU外部周波数を125MHzに下げてメモリーを定格動作させてみたところ、Memtest-86,Memtestいずれも全くエラーがない。やはり、メモリー自体の不良でもなさそうだ。いずれにせよ、ここまでCPUの外部周波数を下げたのでは、多少メモリーが速くなったといってもそれが帳消しになってしまう。この中間に妥協点を見つけられるかと思って、130MHzで試してみたが、エラーの数は減ったものの数千のレベルでエラーになる。ちゃんとmemtestが終わるのは128MHz、Memtest-86でエラーが消えるのは127MHzであった。
それならば逆の発想で、CPU:Memoryの周波数比を1:1にしたままで、CPUの駆動周波数をどこまで上げられるのか試してみよう。ただし、壊してしまうわけにはいかないから、電圧を上げるのは通常のマザーボード制限1.70Vまでと決めて挑戦してみた。ところが、わずか3MHz上げただけの153MHz(CPUの内部クロックで2.91GHz)を超えると、memtestでエラーが出るようになってきた。メモリーの方はクロックがまだ300MHzを超えたばかりで、まだまだ余裕があるはずだから、どちらかというとチップセットの限界がこのへんなのかもしれない。結局のところ、常用するにはCPUのコアクロックが1.6Vで使える150MHzあたりが妥当な線だろう。
クロックアップがきっかけで、特にCPUとメモリーが正しく動いていることをできるだけ速く確実に知る方法が必要だと感じた。一々Windowsを起動して、3DMark2001SEなどのベンチマークを起動して耐久テストするのは時間がかかりすぎる。そんな訳で以下の2種のソフトを使ったところ、かなり便利だったので参考にされたい。
最初に見つけてきたのがこれ。DOSすら必要とせず、FDからいきなり起動し、そのままテスト開始となるので手間がかからず便利だ。基本的なテストを全部実行すると20分くらいかかるが、ダメなときは速いうちからエラーを出すので、全部実行するのはいけそうなときだけだ。キャッシュ利用の有無や、テストする単位、CPUの命令の種類など、多くのパターンのテストが含まれていて、特に私の環境では#5のBlockMoveテストで大量のエラーをはき出すことが多かった。また、ちゃんと使える状態でも、なぜか640KByte以下のコンベンショナルメモリーで20〜50程度のエラーを出すことがある。それでも下記のMemtestは通るので、このソフトが厳しすぎるのか、それともコンベンショナルメモリーのテスト方法に難があるのかよくわからない。
こちらはDOSで動作する。メモリーマネージャ(EMM386.EXEなど)がいると動かないので、起動時にコンフィグレーションファイルをスキップするか、これらのファイルを削除した起動環境を作っておいてやる必要がある。テストは用意された単純なパターンの読み書きの繰り返しで、画面構成もコンソールスタイルでシンプル。起動したときにメモリーをチェックして容量を決めるのだが、エラーがある環境ではそのチェック自体を失敗してメモリー容量を誤認することが多かったりする。どちらかというと、Memtest-86でエラーが少なく大体いけそうな場合に、こちらで再確認するような使い方が便利だった。
電源にPentium4用の+12Vがないこと、バックパネルの形状が適合しないことなどが気になっていて、ケースと電源を更新しようと考えた。安物の電源が付いたケースを買うと後々不要な電源の処分に困るから、まともな電源を搭載しているケース、あるいは電源を搭載していないものを買いたいと思う。
電源は雑誌やWebで情報を収集し、ある程度あたりをつけた。静かなこと、そして電圧の安定度が程々によいことである。静かなことを優先すると、DELTAやAOpenのFSPシリーズ、多少喧しくてもということで、SeasonicやTORICAの製品あたりであろうか。電圧の安定性は、情報が少なく困ったが今挙げた製品はまあ程々に良さそうだ。
なぜケースが問題かというと、電源が付属しているからである。でたらめな電源なら、エコロジーの観点から付いていない方がありがたい。とは言っても、メーカーは電源付きで出荷しているわけで、日本橋を歩き回っても、電源なしの製品はとても高価な製品か、訳のわからない粗悪品ばかりで、あまりにも選択の余地がない。それなら、残る選択肢は、まともな電源が付いたケースを探すことだ。
まともな電源が付いたケースもかなり限られる。AOPENのケースには自社ブランドの電源が付いているが、何せケースの作りが今ひとつだ。ケースがでたらめでは本末転倒なので外すと、残るはOwltecかTORICAの製品ぐらいだろうか。OwltecはSeasonicやDELTA、そしてTORICAは自社TORICAブランドの「静」を付けて出荷している。静かなDELTA製の電源付きを探して歩き回ったが、300W付きはあっても、350W付きはなかなか無い。あったと思ったら巨大なサーバーケースだったりする。Seasonic付きは割とあるのだが、何となく喧しいというイメージがあって、ちょっと引けてしまう。結局のところ\12,800という安さに負けて、TORICAの「静」が付いたCS320-601というのを買ってきた。ケースはしっかりしているが、電源はちょっと不信感がある。それでも一応ブランドだから、ダメなら買い換えればいいとの判断だ。5インチベイが3つ、3.5インチベイが2つ、HDD用の3.5インチシャドウベイが2つという、まあ普通のケースだ。前面と、背面に各1つの大型のファンが取り付けてある。
ADDA AD0812DX-A70GL DC 12V 0.09A HYPRO BEARING |
当然買ってきたらケースを交換するイベントが待っている。古いケースに取り付けてあった機器を全て取り外して、新しいケースに取り付ける。配線作業も一部を除いてほとんどやり直しだ。それでもパネルのコネクタ接続にマニュアルが必要なくらいで、あとは機械的な作業である。ここで呆然とする事態が発生した。マザーボード上のコネクタに接続するのが当然だと思っていたケースファンは、実は旧態依然とした4ピンのHDDなどと同じコネクタになっている。今時これはないんじゃないのと思ったけれど、メーカーカタログではHYPRO BEARING採用の静音ファン(1600rpm14dBA)とのことなので、まあマザーボードで回転数管理できないのは目をつぶろう。なお、ケースの加工精度は高く強度も十分で、でたらめなケースが多いこの価格帯の中では良い部類であろう。デザイン的にはちょっとありきたりではあるが。
配線も終わって電源を入れる。HDDのLED接続を逆にしたりするちょっとしたトラブルはあったけれど、作業を始めてから1時間ほどでうまく動くようになった。ケースの鳴きもなく、ケースファンや電源ファンの騒音もさほどではない。ただ、ケースの横に通気用の穴があって、こちらからCPUやHDD、ビデオカードの騒音が漏れてくる。耐えられなくはないが、何らかの対策は必要だろう。※結局耐えられなかったので、静音対策を実施した。(追記Oct.20.2002)
肝心の電源品質の方であるが、正直言って外した。以前使っていたSILENCER235ATXは確かにブランド品で、230Wという低い定格出力でもPentium4の大電流に耐えるという品質も極上のものであったが、235Wと320Wでは2ランクぐらいの格差がある。電源ケーブルもATX12Vの規格対応で、12Vに関しては接触抵抗も少なく条件は格段に良いはずだ。なのにこのPW-320NFはマザーボード上での12Vの電圧変動が以前より多い。ちょっとCPUに負荷がかかっただけで、簡単に0.3〜0.4V程電圧が下がってしまうというていたらくだ。まともなブランドとして売ろうとするなら、静音をアピールするのもいいが、基本的な負荷変動への強さは必須条件である。どこの下請けに作らせているのか知らないが、もうちょっと品質面の管理をしていただきたい。
※マザーボードでのモニター電圧は不安定であるとの指摘もあったので、電源から出ている未使用12Vケーブル上でデジタルテスターにて計測したところ、CPU負荷がかかると簡単に0.15V程度の電圧降下が起こることが確認できた。これに加えて電源からマザーボードまでの電圧降下を考慮すれば、マザーボードでの計測結果は決してでたらめではないと思われる。(追記Oct.17.2002)
結局電圧変動に不信感を持って、電源を買い換えることにしてしまった。今回はWebを中心に調査を進め、辿り着いたのがAntecである。他のメーカに比べて若干高価な感はあるも、今回購入したTrue430など、出力電力を考慮すれば\12,480はさほど高価とは思われない。
正直なところ驚いた。多少負荷がかかろうが12Vの周辺機器用コネクタに接続したデジタルテスターは0.01Vの位が時々1振れるだけで測定誤差の範囲であり、0.1Vの位まで振れたPW-320NFとの違いは歴然としている。また、マザーボードでのモニター電圧もCPUのコア電圧(マザーボードで発生している)が負荷によって若干上下する以外、測定誤差(数十mV)程度にしか動かない。
この電源は温度がかなり高くならないとファンの回転数が上がらないような仕組みになっているようで、静音性はかなり高い。後述するが、ケースファンまで静かになり、残ったHDDとCPUファンの音が気になって仕方がない状態だ。もちろん電源やケースのファンの回転数が落ちるので、マザーボードの温度は上がり気味になる。それでも30℃台の半ばだから、まあ稼働環境としてはさほど悪くはないだろう。これを気にする向きには、ケースファンのコントロール機能を使わなければいいわけで、静粛性と冷却能力の選択肢の幅が広がる分ありがたいことだ。
このTruePowerシリーズ特有の機能として、ケースファンをコントロールする機能がある。ケースファン専用の4ピンコネクタが用意されており、これに接続すれば、電源がケースファンの速度もコントロールしてくれる。電源が冷えている状態で約5Vに調整されており、これが電源の温度が上がるにつれ12Vまで上がっていく仕組みのようだ。
電源を変えたから、今まで以上にクロックアップの耐性も上がるかと若干の期待をして取り組んでみた。
前回試みたメモリーのクロックアップは、電源交換後も芳しくなかった。しかしながら、CPUの方は今までMemtestでエラーが出て使えなかったCPU外部周波数155MHzがそれなりに使えるようになった。しかも今までよりも少ない昇圧でも動作する。また、150MHzでは定格電圧でも十分動作することが判明した。電圧が安定すれば、クロックアップ時の動作も安定するということだろう。
クロックアップ の種類 |
CPU | FSB | Memory | 電 源 |
電圧 | PCMark2002 | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
外部 | 内部 | CPU | Mem | CPU | Mem | HDD | |||||
CPU定格 | 133MHz | 2.53GHz | 533MHz | 266MHz | S | 1.5V | 2.6V | 6229 | 5016 | 1038 | 正常動作 |
CPU1 | 150MHz | 2.85GHz | 600MHz | 300MHz | S | 1.6V | 2.7V | 6941 | 5534 | 1047 | |
CPU2 | 153MHz | 2.91GHz | 612MHz | 306MHz | S | 1.7V | 2.7V | 未測定 | |||
CPU3 | 150MHz | 2.85GHz | 600MHz | 300MHz | A | 1.5V | 2.6V | ||||
CPU4 | 155MHz | 2.95GHz | 622MHz | 310MHz | A | 1.65V | 2.6V | 7174 | 5729 | 1065 | 高負荷は無理 |
Memory1 | 132MHz | 2.51GHz | 528MHz | 352MHz | S | 1.5V | 2.7V | 6118 | 5645 | 1057 | Memtest-86 エラー多発 |
Memory2 | 130MHz | 2.47GHz | 520MHz | 347MHz | S | 1.5V | 2.7V | 未測定 | |||
Memory3 | 128MHz | 2.43GHz | 512MHz | 341MHz | S | 1.5V | 2.7V | 5970 | 5467 | 1066 | 正常動作 |
Memory定格 | 125MHz | 2.37GHz | 500MHz | 333MHz | S | 1.5V | 2.6V | 5813 | 5406 | 1061 |
前回の表に「電源」項目を加え、今回得られた結果をCPU3-4として追記している。CPU4の場合、Memtest-86でのエラーも最も厳しい#5のBlockMoveで数個出るだけなので、実用上は支障ないかと思ったが、連続して負荷をかけると固まる。CPU外部周波数を157MHzにしてみたらMemtest-86自体が起動しなかったから、かなり限界に近い状態なのだろう。
先日交換したCS320-60Fであるが、「ケースの横に通気用の穴があって、こちらからCPUやHDD、ビデオカードの騒音が漏れてくる。」と記載したが、特にHDDのスピンドル音が耳障りである。ケース自体のものはいいので交換するのは悔しいから、それなりに防音対策を実施してみることにした。今回問題にしているスピンドル音は、以前のケースでは取り立てて気にならなかったことからも、側面の穴さえ塞げば十分実用になるであろう。高音が中心なので、ゴムやウレタンなどの柔らかいものを貼り付けるのが効果がありそうだ。
そんな訳で梅田のヨドバシカメラで調達してきたのが、ゼトロ(XERORO)吸音シートという汎用品。(右写真)約250mm×400mmで厚みは5mmほどのゴム系素材を発泡したもので、素材自体にも若干粘着性がある。これを不織布で覆い、裏面に粘着材を塗布したものである。価格は\1,280とそれなりだが、効果はありそうだ。
こんな感じで穴が空いている。 | 裏面から穴のある部分に貼る。 |
半分にハサミで切って、ケースからはみ出す部分を切り取り、左記のように施工。反対側も同様。閉じて稼働させてみたところ、遮音効果はなかなかのもので、音量は半分かそれ以下になっているだろう。これなら落ち着いてPCを使えそうだ。弊害として、ケースの吸気口が前面だけになってしまい、空気の流れが悪くなるが、現在のマザーボード上の温度は34℃、吸気ファンもあることだし、特に気にするほどでもないだろう。
先月半ばに買ったFireball3がどうも不調である。ディスクにエラーが出るとかそんな問題ではなく、スピンドル音が日に日に大きくなってくる。先週実施した静音対策も、もはや効かなくなってきた。高音が鳴り続けるので、耐えられない。このままでは生活に差し支えるので、引退してもらうことにした。
スピンドル音に耐えられなくなったFireball3の代替として買ってきたのがこれ。静かなドライブを選ぶならSeagate Barracuda ATA Vという手もあったのだが、発熱が多そうなのと、プラッタ容量が60GByteになった割には、Barracuda ATA IVより速くなってなさそうなので、どうも興味が湧かない。Maxtorには引退させたFireball3の7,200rpm版であるDiamondMax Plus8 6E040L0というモデルもあって、これだと\9,100ほどで出回っているから費用的に助かるのだが、何せ40GByteなんてたくさん買っても後々困るような気もするし、何より前回痛い目にあっているFireball3と同じ筐体では、またスピンドル音が出るのではとの恐怖心から手を出せなかった。唯一最後まで迷ったのが、IBM Deskstar180GXPである。このドライブは60GBプラッタでもかなり高速化されているとの情報があり、流体軸受けも採用されて静音化も進んでいそうだ。それでも手を出さなかったのは、IBMがディスク部門を日立に売却してしまうとのことで、政治的なちょっとした反発みたいなものと、何より買おうと思っている60GByteのモデルだけ、上位モデルよりシークが遅かったり、どうも手を抜いているのが気になったからだ。ただ、今回選んだDiamondMax Plus9にも問題がある。プラッタ容量80GByteといいながら、どうも初期に出荷したものはプラッタ容量が60GByteらしいのだ。それではDeskstar180GXPより遅いのが目に見えている。それでも、買った店にはプラッタ容量80GByteと書いてあったし、60GByteをつかんでしまったらあきらめようと考えて、ちょっと勝負してみた。
買ってきてさっそく取り付ける。前のドライブからシステムコマンダーを使って単純コピーだ。Windows2000が起動してまず試してみたのがHDBench。ディスクのスピードが見たい。
「あぅっ!ハズレた・・・・」(ToT)
転送速度は45MByte/s程度、これではFireball3と変わらないじゃないか。
Fireball3の例もあるので、しばらく様子を見ないと何とも言えないが、今のところスピンドル音は静かそうだ。ケースやCPUのファンが喧しく感じられる。問題はシーク音の方で、Fireball3と違ってまじめにヘッドを動かしているせいもあるのだろうが、ケース全体に響く低音でドクドクと動く。参考までに、Maxtorのデータシートでは、「アイドル時2.5ベル、シーク時3.5ベル」と書いてあって、シークはそれほど静かな設計にはなっていない。ちゃんと仕事をしてますって主張しているかのようでほほえましくもある。なお、このシーク音についてはIntel(R) Application Acceleratorなどのツールで調節することができ、アクセス速度を犠牲にすれば静かにすることも可能だ。
たかがファンで項目が立つなんて・・・・。いい加減落ち着いてきてネタが無くなってきているのは事実なのだけど、資金も苦しくなってきたし、お金をあまりかけずに静音化対策で遊んでいるのである。話を本題に戻すと、電源をAntecのTrue430に交換したときに、この電源にはファン専用コネクタがあってこれにケースファンを接続すると電源がファンの温度を管理してくれる旨説明した。確かに発想はいいのだが、私の環境では問題があった。元々低速回転のファンなので、あまりに回転が落ちすぎてしまいケース内に熱がこもってしまう。マザーボードやCPUの温度が上がるのだが、True430はちょっとやそっとではファンの回転数を上げない(とメーカも言っている)奴なので、いっこうにケースファンの回転が上がらない。それなら、ファンを12Vに接続したらどうかというと、今度はHDDが静かになり、ケースに静音化対策を実施したせいもあり、今度は前面ファンの音が気になる。
そこで考えた対策が、ケース前面ファンの交換だ。現在のファンがかなりの低速回転なので、これをある程度回転数があるものに変えてやれば、電源からのケースファンコントロールをそのまま使えるというのが一案。それから低速回転でももっと品質の高いものにして、12Vで駆動してやるというのがもう一案。結局マザーボードからファンをモニタできる方がありがたいこともあって、後者の案を採用した。買ってきたのはNidec(日本電産)のD08A-12PS3-01Aという型番のファン。回転数は1600rpm騒音15dBの静音タイプになる。元々付いていた、ADDAのAD0812DX-A70GLと交換してみたところ、回転数も、騒音もスペック的には同じなのだけれど、加工精度の違いなのかケースの振動が減り、より静かになった。ケース後面のファンはTrue430のファン用コネクタに接続し、軽く回しておくだけにする。この状態で、ケース内の温度も安定し、CPUファンの回転数もあまり上がらなくなったので、エアーフローを計算したわけでもないのだけれど、結果的にうまくいっているようだ。
静音化も佳境に入ってきた。まず手をつけたのがビデオカード。素直に考えたら、ファンレスのカードを買えばいいのだけれど、でたらめなメーカのを買うと画質が悪くなってしまうし、だからといってまともなメーカのものは高い。特にCANOPUS性は高値に張り付いているようで、ファンレス化のために買うのはちょっと躊躇してしまう。
SPECTRA F11に取り付いているファンをチップ用に販売されているヒートシンクに交換すれば、それでことがたりそうなものだが、どうもこの手のヒートシンクは割高で、ちょっとしたものが数百円から千円以上もする。あまり放熱効果も高くなさそうで、ファンを置き換えるにはちょっと頼りない。グラフィックカード用も売っているが、あまりにも高価だ。それならということで買ってきたのが、ZALMAN TECHのノースブリッジ用ヒートシンクZM-NB32J(税別\800)である。SPECTRA F11のGeForce2MXの周囲には、ファン取り付け用だけでなく元々大きなヒートシンクをつけるつもりだったのか、取り付け用の穴がある。これを利用してノースブリッジ用のヒートシンクを取りつけようというわけだ。
一番苦労したのがファンの取り外し。ファンの振動でネジが弛むのを防止するために弛み止めが塗布されている。これを甘く見て強引に回そうとすると、小さなネジなので簡単になめてしまう。結局2本のうち、1本は強引に外せたが、もう一本は途中で断念してネジを切断しなければならなかった。
取り付けはいたって簡単。付属しているネジと接続用の金具を利用して、空いている穴にあわせてはめ込むだけでよい。もちろんヒートシンクとチップには付属のシリコングリスを薄く塗っておく。穴の大きさが取り付け用のビスにはちょっと小さかったので、3mmのドリルの歯を利用して少し広げる必要はあったが、まあこの程度はよくあることだ。取りつけてみると、予想していた通りAGPの隣のPCIスロットは使用不能になるが、元々マザーボードからの拡張出力ソケットを取りつけているところなので、大勢に影響はない。動作させてみたところ、3DMark2001SEなどを使うとそれなりに熱くはなるが、手で触れられないほどでもなく、ゲーム類を数時間動かしても落ちることもない。おおむね良好だと言えるだろう。
安物の8cmファンが搭載可能なCPUクーラーを買って、ファンだけ交換しようとも考えたのだが、ヒートシンクの品質が悪いと、結局風量が必要になってしまう。捨ててしまう8cmファンも無駄だ。それならと奮発したのがこのモデル、ファンの動作音が12dBという優れものだ。オリジナルのCEP4789AL-SFという7cmファン搭載モデルに8cmのファンを搭載するアダプタをかまして、PAPSTの12DBという静音8cmファンを取りつけただけ、それでPentium4の2.8GHz以上が使えるというのだから、それなりにヒートシンクの性能がいいのだろう。ファンの回転数が1400rpmだから、高性能なヒートシンクと超静音ケースファンの組み合わせといった方がわかりやすいかもしれない。大型のヒートシンクによくあることだが、マザーボードに取りつけてあるリテンションベースを取り外してその取りつけ穴にバックプレートを入れ直付けする。当然マザーボードを一度取り外す必要がある点は要注意だ。
CPUを買うと付いてくるIntel純正ヒートシンク。 形状は単純で、性能は今ひとつ。 |
筆者がこのモデルを買った理由が、汎用の8cmファンを取りつけ可能なことである。付属しているPAPSTのファンはちょっと回転数も低すぎ、少し心許ない。これをケースファンに使い、Nidecの1600rpmのファンを取りつけることで、ある程度風量も確保しようと考えた。
筆者は安易に考えていたのだが、よく考えてみればあの重いCPUクーラーを取り付けるための器具である。ちょっとやそっとでは外れないよう強固に固定してあるから、気合いが必要である。P4B533-Eに取り付いているものは、リテンションベースの足に白色のピンを打ち込む形でボードに固定していた。当然このピンを外さないと、びくともしない。ピンもゆっくり回しながら、緩めていく必要がある。焦るとピンを壊してしまいそうだ。
マザーボードを取り外して取り付ける必要がある点は前述した通りだが、この際ヒートシンクまで完全に装着してしまう必要がある。バックプレートをマザーボードの下に入れただけでマザーボードを固定してしまうと、構造上ヒートシンクの取り付けが非常に困難になる。筆者自身この状態で、ファンの部分が斜めになってしまい、泣く泣く再作業を余儀なくされた。ファン径の変換アダプタを固定しているネジが微妙かつ均等にヒートシンクに食い込まないとバランスが悪くなる場合があるようだ。それにしても、なぜマニュアルすらないのだろう。マニア向けの製品とは言え、ちょっとお粗末すぎないか?
P4B533-Eに取り付けたところ。 | パットの付いたベースとファン取り付け金具で、ヒートシンクを挟み込む。 | ここのネジが、微妙にシンクに食い込まないといけない。 |
普通のCPUクーラーの2〜3倍の価格の製品である。それなりに性能が良くなくては困るのだが、冷却性能と動作音の低さを両立している点は特筆できる。筆者の場合はNidecの1600rpmのファンに換装しているが、CPU負荷が高い状態を継続しても、CPU温度は最高で47℃、Intel純正よりも冷えている。騒音もファンの性能に依存するが、ケース内なので15dB程度では無音に近い状態だ。また、形状は大きいものの、マザーボードをたわませるような心配もなく、確実に強い力で密着できる点も、装着の手間がかかる反面安心感がもてる。ただ、なにぶんにもコストがかかりすぎる。取り付けも難しい。説明書すら入っていないのは大きな問題だ。性能第一でコストはあまり気にしない、交換の手間も厭わないと言うマニアにはいいかもしれないが、使いやすさとコストの点でもう一工夫ほしいと思う。
CPUクーラーSNE4789-12DBのファンをNidec(日本電産)のD08A-12PS3-01A(1600rpm)に交換したことは前述した通りだが、このファンでもCPUがフルパワーの時の冷却能力にはちょっと不満がある。Intel純正より冷えているとはいえ、もうちょっと回転数を上げて温度を抑えたい。ASUSのマザーボードに付いているQ-Fanの機能を使えば、負荷が低いときに回転数を10/15に抑えることができるので、冷却と静音の両立が可能だと考えたわけだ。
筆者が考えた理想のファン回転数コントロールはQ-Fanの能力を最大限に活用するなら、低負荷時に1500〜1600rpm程度で静音性を確保し、高負荷時にその1.5倍の2300rpm程度で冷却能力を確保するというものだ。マザーボードのコネクタに接続した場合、若干電圧の低下もあるので、余裕を見て2400〜2500rpm程度の方がいいだろう。結果、選んできたのが流体軸受けで有名なパナフローFBA0812M、定格2450rpmの製品だ。
ここで問題に直面してしまった。なぜかQ-Fanがうまく動作しないのだ。2200rpmあたりで回転し、静音性が台無しになってしまう。Webで情報を探し回ったところ、同社の他のマザーボードの事例などから類推し、どうも2200rpm以下にならないように制限をかけているようだ。これではさすがに通常動作時の騒音が気になる。
それならばとソフトを使ってファンをコントロールすることを考えた。見つけてきたのがSpeed Fanというソフトウェア。しかし、うまくコントロールできない。回転数の表示がでたらめになるかと思えば、急に止まってしまったりする。やはりマザーボード上のファンコントロール機能は低速ファンをうまくコントロールするだけの能力がないようだ。ASUSがQ-Fanで回転数を下げすぎないようにしたのはこのへんに理由があるのかもしれない。
ファンコントローラーを使わないシンプルな機器での最適なファン構成を考えていたのだが、Q-Fanでのコントロールの限界に直面して、にっちもさっちもいかなくなってしまった。やはりここは性能の高いファンコントローラーでどこまで静音性と冷却性を両立できるか試しておきたい。どちらかというと、意地のようなものかもしれないが・・・。ファンの速度をコントロールするための機器は各社から発売されているが、温度が上がった場合に自動的に回転数を上げることができる製品は案外少ない。そんな中でも最もコントロール性能が高そうなシステムテクノロジーのST-24を購入することにした。
全ての配線を行ってから、後からベイに挿入する必要がある | 取り付けたあとは配線不能 |
手に入れたところでさっそく使ってみようとしたのだが、配線にかなり苦労した。この装置は3.5インチドライブに取り付けるようになっているのだが、取り付けコネクタが奥の方にあるので、取り付けてから配線することができない。だからといって、ファンやサーミスタからの線の長さは限りがあるため、ケースにごく近いところでの配線作業が必要である。筆者の場合、ケースを立てた状態で、3.5インチドライブベイを取り外し、その上にST-24を置いて配線するという変な動作を余儀なくされたうえ、多数の細い線が出たST-24を配線が外れないように3.5インチベイに背面から挿入、さらに3.5インチドライブベイを取り付けるという妙な取り付け方をすることになった。
また、CPUの温度検出用サーミスタの取り付けも、案外難題だ。適当なテープで留めるだけなら簡単だが、相手は熱くなるフィンである。耐熱性のあるテープを付属するくらいの配慮があればうれしいのだが。
PCの自作用パーツは色々あるが、取り付けてからの配線が可能なのは常識である。最も良いのは基板サイズを拡大して、FDDのドライブと同じ位置で配線できるようにすることだろう。しかし、コストの問題もあろうから、せめて回転数モニタ用以外の全ての線について基板上にコネクタを付けるのではなく、10cm程度の線を引き出してコネクタを取り付ける程度の配慮をお願いしたい。なお、ケースファンが遠いことを想定してか、ファン用の延長ケーブルが1本だけ付属しているので、この点だけは救いである。
FDDの下に取り付けた状態。十分照明を当てても飛ぶほどLEDの光は強烈。 |
さすがに専用機だけのことはある。マザーボードでは制御が不安定になるような1500rpm以下の回転数でも安定してファンが動作し、むしろマザーボード側の回転数モニターの方が低速すぎて測定できなくなるくらいである。(通常670rpm以下だと検出できないようだ)
付属するサーミスタをCPUの放熱フィンに取り付けることで、過熱を検出しファンをフル回転させることができる。フル回転させる温度もコントロール可能なので、使用するCPUの温度限界などにあわせて適切に設定すれば、通常使用時の静音化と、CPUフル稼働時の冷却能力の確保を両立することができる。フル稼働状態で設定温度より数度下がれば通常回転に戻るという仕様だ。惜しいのは、この温度が一つだけなことで、上限と下限の設定があって、この温度間で緩やかに回転数が上がっていくようにできるなら、より静音化に効果があると思うのだが、これって贅沢なんだろうか?
ST-24には下限設定という機能がある。ファン速度のコントロールつまみを最低にした場合でも、ある程度のファンの回転数を確保したい場合に、この機能を使えば、定格の50%まで出力をかさ上げすることができる。前述のようにマザーボードの回転数モニターの問題で、あまり回転数が落ちすぎるとモニターできなくなるという問題があるが、ファンも回転しST-24のコントロールが失われているわけではない。ただ定格の50%と言うところがちょっと問題で、元々低速回転のファンの場合、50%かさ上げしても遅すぎる場合がある。筆者の例で説明すると、ケースファンのフル回転が1400rpm、下限を700〜800rpm程度にしたいところだが、下限設定をいっぱいに上げてもファンの回転は500〜600rpmであろうか(モニターが動作しない範囲なので推測)、やむなく通常の速度コントロールつまみも併用しているが、下限は決めたら動かしたくないものだ、もう少し制御範囲がほしい。
ファンの速度をコントロールするという、たったそれだけのことに5千円もの出費は確かに痛い。この程度の機能は将来的にはマザーボードで自在に設定できて然るべきものだと考える。それでも、今はこの製品しかない。この製品が売れることで、マザーボードメーカーもファンのコントロール機能の重要性を認識し、開発に力を入れるに違いないし、現にファンのコントロール機能を売り物にしているマザーボードメーカーも現れつつある。押さえるべき特許などは確実に押さえたうえで、マザーボードメーカとも良好な関係を保ち、ファンコントロール能力のレベルアップに貢献していただけたらうれしいのだが。