トルファン/中国 0407
ベゼクリク千仏洞
トルファン行きのバスは、10:30頃出発したが市街を抜けるのに時間がかかった。舗装はいたる所で傷んでおり、 バスは車体をガタガタゆすりながら時速60Kmくらいで走った。車内は暖房がはいっておらず少々寒い。外は大半が平坦な小石の砂漠である。
ベゼクリク千仏洞
砂塵が舞っているためであろう、遠くまでみとおせないので、まるで360度が地平線である。
ベゼクリク千仏洞
大変平坦であるので、日本人の感覚からすると、人工的にならして小石を敷き詰めたかのようである。バスが止まると数人が用を足すために、 めいめい砂漠に散らばる。風は一定方向から強く吹き付けるので、小便が遠く飛んで砂地を濡らした。
ベゼクリク千仏洞
途中風力発電のプロペラの塔が、規則正しく並んでいるのが見えた。
何も無く平坦に広がっていることが、私には心を白紙にして行くような力を感じ、又何か心が透明になって行く様な気がした。抽象の世界に入り込んで行くかのようであった。
高昌故城
翌日、同室になったフランス人の旅行者とタクシーをチャーターして、郊外の観光地を廻った。ルートは、ベゼクリク千仏洞、高昌故城、アスタナ古墳群、火焔山の4か所、3時間で一人55元であった。
高昌故城
車はフォルクスワーゲンで、あの舗装の悪い道を、空いているときは、時速140Kmくらいで砂漠の一本道を飛ばすが、 来るときに乗ったあのオンボロバスの、腸まで響いて来る様な車体の振動に比べると、様々な点において乗用車の性能がいかに優れているかを実感した。
高昌故城
ベゼクリク千仏洞もあの敦煌、莫高窟と同じように、谷からそそり立つ崖の中腹に造られたものである。千仏洞の造形もさることながら、 その砂漠の中のロケーションがとても感動的であった。
高昌故城
非常に過酷な自然と、川によってわずかに人の生が保証されたその地での、その人間の創造物は砂に埋もれ、破壊された生の姿を、 そのまま見せてくれていた。それらの対比が、とても強く心に訴えて来るものがあった。
高昌故城
それは、我々が行ったときは、ほとんど観光客もおらず、又全くと言っていいほど観光化されていないために、 それらの物が生のままに僕の心に響いて来からであろう。
それはトルファンすべてに言える事であるが、すべてが素朴であり、やっと生の人間や風土に出会えたような気がしている。ベゼクリクの風景は、ずっと忘れな いであろう。
高昌故城
高昌故城の延々と続く朽ちかけた廃虚を見たとき、都市の基本的なことは、その時代から多分何ら変わっていないのであろうと思った。 しかし現代の都市は、このように廃虚となっても、雄大な姿を後世に残すであろうか。
火焔山は砂塵に霞みはっきり見えず残念だったが、この平坦で何もない砂漠の中に、突如として表れる、この何も生えていない巨大な砂山は、まして夏には日の光を浴び、赤く燃えるようだというが、 それだけで何か神が宿りそうであり、人の心を引き付けずにはおかない力があると思った。
火焔山
バスチケット
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