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敦煌/中国 0412
莫高窟

列車もバスも、砂漠の中を走る。360度見渡すかぎり砂漠である。バスは、砂塵がひどく、一時は視界が大変悪くなり、 ノロノロ走っていたのが止まりかけた。太陽は砂塵の為、昼間見る月のようである。樹木が見えはじめると、そこが敦煌であった。街も砂塵が舞っており、コンタクトの私には、目が痛くつらかった。
敦煌/砂漠

次の日は、昨夜の砂塵は嘘のように、快晴に近く、温かかった。街は大変小さく、これが本当に敦煌かと思ってしまう。街の様子からは、 かつての歴史を感じさせるものは、全く何もないと言っていいだろう。他の街と異なる点は、小さな街のすぐ外には砂漠が広がっていることである。
鳴砂山より敦煌の街を望む

久しく前からこの街は、莫高窟を訪れる人たちによって、成り立つ街に変わったのであろう。
莫高窟入口の門
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期待の莫高窟は砂漠の1本道を、バスで30分ほど行ったところにある。それは、砂漠が裂けて、底に川が流れている、 切り立った崖状のところにあった。期待していたほどには、インパクトは強いものではなかった。カメラやバックなどは、預けさせられ、入口の所で何やら聞かれ、しばらく待たされた後、中に入った。
莫高窟
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ガイドが付き、扉を一つ一つ開いては説明し、又閉めて行く。
保存状態が良いとは言っても、鮮やかな綺麗さではない。何故この様なものを、1000年以上もの間、多額の費用を投じ、造り続けてきたのかと思うと、その人間のエネルギーの大きさに驚いた。
莫高窟
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永遠に変わらない、理想の世界を、現実とは別の、心の中に描こうとする、人間の性であろうか。そして人間は、その理想の為には、 現実を生き抜く以上のエネルーを出せるようである。又見る者には、知らずとそのエネルギーが伝わり、人をこの地へと引き寄せる力となっているのであろう。
莫高窟
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見る者の、その印象は人によって様々であろうが、先人が描こうとした仏の世界というか、理想の世界に捧げたエネルギーの大きさは、 多分皆、共通に感じ取り、帰るのであろう。いかに精神世界が、重要視されていたかが伺え知れる。そのことは、住環境が、過酷になればなるほど、その傾向が強くなるように感じる。
莫高窟

例えばイスラム世界である。いや、住環境というような自然からの影響だけでなく、そこから派生する、人間社会のある無情で悲惨な面が、 仏の世界に向かわせる大きな力となったのであろう。
莫高窟背後の様子
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貸自転車で、鳴沙山、月牙泉に行く。そこで初めてラクダに乗ったが、全く乗り心地は悪いものである。
鳴砂山の頂上で、ドイツ人の3人連れと、日本人2人と偶然出会った。その日本人2人は、共にパキスタンにゆくつもりでいたが、僕が、どうもカシュガルで何か問題が起き、 外国人は入れなくなったらしいと、今そのドイツ人から聞いた話をしてやると、考え込んでしまった。
莫高窟背後の砂漠
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カシュガルに行くつもりで飛行機に乗り込んだが、飛び立つ前に降ろされてしまった、そのドイツ人連れ、そしてカシュガル経由で、 パキスタンに行くつもりであった我々3人が、偶然頂上で出会い、共にこれから先どうしたものかと考えているのが妙におかしかった。
その頂上は、砂漠に沈む夕日が綺麗だと聞いていたので登ったのであるが、日が沈むまでそこに居たが、夕焼けにはならず、だいぶ冷えてきたので帰ることにした。街で夕食を共にして、 その2人とは別れた。
鳴砂山の頂上にて
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ホテルのカード
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拝観チケット
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スケッチ/莫高窟