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第4章 索敵


相手が気づく前に気づけ


 坂井三郎先生が言うには、彼の撃墜のほとんどは相手が気づく前に敵を発見し、いわゆる

据え物斬り

としてとったものだという。また、挌闘戦に突入するような状況は自軍側の警戒が失敗した結果であり、できる限り避けるべきものだとも言及している。実際実戦では「左ひねり込み」のような技は一度も使われなかったということである。

 ヨーロッパ戦線においても、統計によると空中で撃墜されたパイロットの実に7割は、最後まで自分を撃墜した敵機の姿を見ることが無かったという。つまり空戦のほとんどは「ビックリアタック」で決まったのである。

 WBにおいてもこれは同じである。

 相手と挌闘戦を行うとしても互角ならその勝率は5割。自分の技量が勝っていれば当然勝率も上がるが、上のレベルの戦いになるとその差は拮抗し、勝率はせいぜい5%差がつく程度にすぎない。

 一方索敵で早いうちに敵を発見し、自分が有利な状況に持ち込めばその勝率はぐっと上がる。最後まで相手が気がつかなければ勝率は100%である。

 空戦においては挌闘戦の技術を磨くことは重要であるが、それだけがすべてではない。WW1の時の様に出撃してそこらをうろうろして、敵を見つけたら

やあやあわれこそは

と名乗りを上げて戦うような時代だったなら索敵を無視しても良かっただろう。何しろ機体を真っ赤に塗ったりしてまで目立とうとした時代である。

 しかし、少なくともWBにおいては近代空戦の世界に足を踏み入れている。気づかぬうちに名乗りもあげず撃たれたからといって文句を言えた筋合いではない。

 再度繰り返す。戦場ではなんでもありである。そして

索敵を制したものは空戦を制する。





戦場の空気をつかめ


 さて、索敵といっても「視点切り替えを激しく行って常に周りを見張る」ものだと思ったら

大間違い

である。もちろん周りをくまなく見張るのは重要なことであるが、それは全体の一部に過ぎない。

 重要なのは戦場の空気を感じ、敵味方の動きを読むことである。ある程度の経験を積むと、敵がどのあたりから出現するか自然にわかってくるものである。実際には交戦ポイントになりえる場所は広い戦場の中でもごく一部に過ぎない。そして、敵の出現する可能性の高い場所を判断できたなら、自機をその場所に対して優位な位置に持っていけばよい。

 単純に見張っているだけならレーダーにはかなわないし、また敵を発見したところで

自分の状況が劣位だったら何の意味もない。

せいぜいビックリアタックを回避できる程度である。ここは一つアクティブな索敵を心がけてみたい。


 飛行中に使用できる有益なコマンドの一つに「.rost」コマンドがある。基地の中で行った場合は現在アリーナを飛行中の人間のリストが表示されるが、飛行中にこれを実行した場合各国の人数が表示される。これに撃墜メッセージの出たタイミングや、既に位置のわかっている敵などの情報を加味すると、大体どれくらいの敵がどのへんから出撃し、現在高度がどのくらいかということが想像できる。

 時には計算が合わないこともある。下の乱戦に2機敵がいて、ついさっき撃墜された敵が1機いる。敵の総数が5機だったとすると、撃墜された1機はいま発進中として、あと2機はまだ所在がわからないわけである。しかし、2機の味方の援軍にかけつける可能性は高く、今ここで乱戦に入っていってしまうと駆けつけた2機に頭を抑えられてしまう確率が高いということが分かる。


 この他にも基地の配置や、爆撃作戦が進行中かどうかも重要な情報である。前線の位置を把握することにより、逆にこれに向かう敵に対して優位な位置に占位することができる。

 爆撃作戦を展開している敵の進撃ルート上空で待ち伏せするのも有効な作戦である。相手はただでさえ爆装して重くなっている上、上昇中でエネルギーも不足している。相手が嫌って爆弾を捨てれば、それだけで基地防衛の目的は充分果たしているわけで、防衛する敵基地の上空で迎え撃つより

よっぽど効率が良い。


 このようにして、索敵と戦況把握は常にリンクしている。見張って敵を発見したら攻撃ではあまりにも受動的すぎる。相手の出現位置を予想し、その位置に対して有利になるように占位し、その上で敵の出現を見張る。これが真の索敵の姿ではないだろうか。




据え物斬りの完成


 敵を発見して、相手がまだこちらに気づいていないような場合は、据え物斬りを狙うことになる。

 まず基本は

すかさず相手の死角に入る

ということである。相手の真上に占位すると意外と気づかれないものだ。それから斜め上方の位置も良い。いきなり接近することは難しいので何はともあれ死角に入ることにする。相手の上方に占位すれば万が一気づかれても優位な状態から戦闘に入れる。

 次に接近であるが、この場合は通常の接敵とは違う特殊な方法を取ることになる。相手の真後ろはかえって気づかれやすい。横方向斜め上あるいは後方斜め上から接近することになる。この位置は通常の視界切り替えだと見えない位置である。

 機体の急降下性能が良い場合は思い切って敵後方下にダイブし、一度敵の下面に潜ってしまうのも良いだろう。ダイブした勢いを利用して敵後方下から接近し、一気に突き上げる。これは高速機を使ったビックリアタックの

黄金パターン

である。


 いずれの場合にも注意しなければならないのは射撃である。十分な距離まで引き付けて一撃でしとめなければならない。実はここで十分に引き付けるというのは心理的にけっこう難しい。相手が気づく前にという気持ちが働きすぎて、引き付けの不足したまま射撃に入ってしまう傾向があり、その場合数発のpingで相手に気づかれてブレイクされてしまう。

 ここはじっと我慢しなければならない。相手は最後まで気づかないと信じて近づいてくことだ。仮に気づかれたとしてもすぐ真上に上昇すればエネルギー優位はこちらにある。不利になることはないと信じてぐっと近づく。

 充分引き付けて1発もハズレ弾を出さないくらいの気持ちで撃ち込む。ケチることなく思い切り撃ち込もう。この時、撃たれた相手には「バン、バン、、パパン」というような散発的な音ではなく、

ガガガガガガガガガガガガガドカーン

という激しい連続音になるはずである。

 そして目の前で激しい爆発がおきるはず。これが据え物斬りの醍醐味である(^-^)

 ただしこの時、くれぐれも

カマホリに注意

しなければいけないのは言うまでもない(笑)




報告をしよう


 戦場の空気を探る為に、.rostコマンド、撃墜メッセージ、マップ画面、あらゆるファクターを利用して状況を把握することは先に述べた。この中で特に重要なのは、味方が出してくれる無電である。

con 2reds low F3

というような敵位置報告は非常に有意義である。これらの情報は実際に偵察に行って視認しないと得られない情報だからである。

 この情報は空戦をする上で喉が出るほどほしい情報といえる。それは他の味方に対しても同様である。

 どんどんこの様な報告をしよう。たとえ見てくれる人がいなくても、報告をすることにより自分の戦場把握を整理するだけの価値はある。そして誰かがそのメッセージを見て連携を取ってくれるとすればこれほど助かることはない。

 また、誰かが発信した報告に関しても積極的にレスポンスをするようにしたい。

 まさに情報発信に呼応して味方が動いているという感じである。これくらいの会話がぽんぽんと出てくると気持ちが良い(笑)
 たまにあることだが、情報発信しても誰も反応してくれないことがある。みんな好き勝手に飛んでいて誰も聞いちゃいない。これは

非常に淋しい

ことである(^^;)


 積極的な情報発信がなされ、報告を飛び交うようになって、国全体がアクティブな空気になればしめたものである。それは国全体の連携意識の高まりでもあるのだ。




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