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第5章 選敵及び接敵


選敵とは


 選敵は敵を発見して攻撃を開始する時に、

どの敵を攻撃するべきか

を判断するものである。

 戦闘機は基本的に一度に1機の敵しか相手にできない。発見した敵が1機だけならいざ知らず、複数いる場合はどの敵を攻撃するか意思決定をしなければならない。もちろん場合によっては攻撃せずに離脱という意思決定もありえる。


 私はこの「選敵」という概念が、生還するということに対して最も重要なポイントだと考える。

 ここまで出撃してから高度を取るまで、基本的に安全策を取ってきた。劣位の場合は基本的に戦わないというポリシーをもって対処してきたので、ここまで生存してくるのは比較的容易なはずである。

 しかし、撃墜を取る為にはある程度危険に身を投じて戦わなければならない。そして、敵も座して撃墜されるはずがない。当然反撃を受けるリスクも考えなければならない。

 私の経験では、自分が

撃墜の憂き目に遭う時の90%

は、この選敵を誤った時であると断言する。選敵の失敗がツケとして累積され、最終的にはニッチもサッチも行かない状況に追い込まれる。逆に正しく選敵できれば撃墜後生還出来る確率はぐっとUPする。

 なんども言うが空戦はつまるところミスとの戦いであるので、1個所のミスが最終的な死につながる。そして、犯してはならないミスのうち最大のものがこの「選敵のミス」なのである。




飛び込む前に一秒考えろ


 通常敵を発見した時はすぐに戦闘をしたいがために一気に突撃してしまうものである。ましてやこちらにエネルギー優位がある場合はなおさらである。

 しかし、ここはぐっとこらえて最低1秒を状況を再確認したい。その1秒が君の命を救う。

 重要なのは状況の把握である。現在どれだけの敵がfurballにいるか。上空に敵影は無いか、味方の状況はどうか、誰か攻撃されたりしていないか。位置はどうか、敵基地や味方基地からどの程度離れているか。いざというとき駆け込めるackはあるか。

 さまざまな要因を考えてから突撃をしかけても遅くはない。

 例えば敵1機が味方4機に追われている状況だとしよう。こんな状況だと突撃をかけても無駄である。

爆発させてもカケラしかもらえない

からだ(笑)

 その結果高度を失って、更に上空から新たな敵が現れたとしたら、撃墜は取れないうえにエネルギー不利で袋叩きにされ、

踏んだり蹴ったり

である。ここはぐっと我慢して上空待機&見張りをするのが正解であろう。万が一敵の援軍が来ても、もしかしたら低空の味方につられてしまい、上空の自分から見て「飛んで火に入る夏の虫」状態になるかもしれない。まぁ今のはひどい言い方だったが、要は味方を守る役目につくということである。


 また、基地との位置関係も重要である。基地は自らの生命線であり、いざというとき逃げ込める傘としてだけではなく、味方の援助を得やすいというポイントもある。

 把握しておくべきなのは基地との距離もさる事ながら、高度差と方向も非常に重要である。特に高速機では突撃をかけたあと、

離脱したら敵基地上空だった

というマヌケな事態になりかねない。この事態を防ぐ為に、わざわざ一度上空を向うまで通りぬけて、スプリットSをかけて戻ってくるように突撃をかける場合もある。


 とりあえず、1秒踏みとどまって観察することである。状況把握には「視認できる範囲の把握」と「視認できない部分の把握」があって、後者はちょっと高等技術なので後述するが、「視認できる範囲」は最低限把握しておくことである。そして考えることだ。




占位


 furballに到達したら、何も飛び込むだけが能ではない。なんでもかんでも突撃をかけてしまうパイロットは「トップガン」の

トム・クルーズ

だけで充分である(笑) 場合によっては飛び込まずに、ある空間に「占位」することが戦いを有効にすすめるファクターとなる場合もあるのだ。


 H2Hの状況においては、有利不利を決めるのは両機のエネルギー状態である。そのために両機はお互いに少しでも速度を増し、優位につこうと努力する。

 一方複数対複数の空戦ではそれだけでは語れない。相手は1機ではないし、味方も1機ではないからだ。

 空戦では基本的に一度に1機の敵しか相手にできない。しかし、攻撃をしかけなくても同時に複数の敵にプレッシャーを与えることができる。

 また自分がその位置にいるだけで、味方が優位に戦いを進めることができることもあるし、敵を局所的に分断出来ればその分戦いが楽になる。当然自分の身の安全にも大きく影響してくる。エースは常に自分の安全を確保しながら戦っているものだ。

 この様に、furballの中での位置どりによって戦局を優位に進める概念を私は「占位」と呼んでいる。


 部隊戦などで上手い連携を使う部隊は必ず誰かが占位を担当している。実際に戦闘に加わる機体とプレッシャーを与える機体とで役割分担がよくできている。時にはその役割が入れ替わることもあるし、占位機体が積極的に攻撃に参加することもある。結果的に攻撃機体ばかりが撃墜を多く稼ぐわけでもない。

 一部の機体が直接攻撃に参加しないことは

一見戦力ダウン

のように思えるが、実際には全員攻撃参加よりも効果的である場合が多い。これが「占位」の奥義である。

 また、戦闘に直接参加しないものだけが占位を考えるわけではない。furballの中心で激しく挌闘する機体も、自分の「占位」を考慮しながら戦うのが基本である。


 狭義で「1vs1で接敵する時の初期位置どり」の占位もあるが、やはり戦場は大きく見なければならない。現在戦っている敵機との相対関係だけではなく、furball全体を把握するというところに「占位」を考える極意がある。

 更に言うとfurballだけではなく、Arena全体での「占位」という概念もあるのだが、そこまでいくと戦略論になってしまうので、このへんにしておくことにする(^^;)




脅威度の高い敵をつくるな


 一般に攻撃する時は、自分に取って攻撃しやすい敵、あるいは撃墜しやすい敵を狙うものである。

 例えば、ケムケムになっている敵や、低空で速度エネルギーを失ってしまった機体は狙われやすい。その結果、味方が何機もその敵機に群がることになり

「死霊のはらわた」状態

となるのはご承知だろう(笑)

 事実、戦線から離脱しようとする敵機とか、低空で旋回しエネルギーを失っている機体は撃墜しやすいし、そのような

カモ度(ひでー言葉)


で状況を判断している人も多いだろう。

 しかし、その発想だけだと撃墜したあとどうなるか分かったものではない。このため、私は敵を「自分に対してどの程度の潜在的危険性を持っているか」を計る「脅威度」という概念を導入することをお勧めしたい。


 脅威度は主に彼我の、
によって、相対的に判断される。

 エネルギーに注意を払うのは当然である。当然自分より上空の敵には警戒するものである。ただし、エネルギーには速度要因も大きく関わってくるので、ここらへんを注意しなければならない。これについては後述する。

 機体特性の把握は特に重要である。相手がどの程度の速度を出せるか、どの速度域でどの程度の旋回性能か、また自機の機体特性はどうかというのを総合的に判断する必要がある。当然敵の機体のデータはなるべく理解しておいたほうが望ましい。

 相手の機種を特定するにはD30まで接近する必要があるが、機種の色を記憶することでdotの段階でも相手の機種を判別するのは可能である。例えば

白灰色に赤のP51D、緑に水色のSpit9、ひたすらグレーのFw190D9

などである。基本的にほとんどの敵機はdotの段階で完全に識別できる。これは是非マスターしたい。

 方向ベクトルは相手の意志を確認するのに役立つ。単純に「遠ざかる、近づく」だけではなく、その動き方、高度の取り方などから、敵パイロットの交戦の意志または狙っている相手を計ることが可能である。もちろん、その対象が自分に向いていなければ安全というわけではないが、危険を事前に察知しておくことにこしたことはない。

 最後に敵の技量であるが、メッセージなどから敵が誰だか大体判断出来る。メッセージに出ていなくても、エースはすでに漂うオーラが違うので、一目して危険か否かがわかるはずである。わからなくても、一度撃墜されてみれば、

そのうち嫌でもわかる

ようになるはずだ(^^;)




敵の戦力バランスを利用しろ


 例えば自分がgoldだとして、今眼下に赤が2機と紫が3機いたとしよう。これらの5機は完全にくんづほぐれつで挌闘戦を行っている。自分は高度優位にあり、選択する敵を選べる状況だとしよう。

 ここで攻撃すべき敵はどれだろうか。もちろん紫である。

別にうらみがあるわけじゃあない(笑)

単に戦力バランスの問題だ。敵の敵はやはり敵であり、戦っている赤と紫の戦力を拮抗させている限り、自機に向かってくる余裕は生まれないはずである。

 WBでは4つの国があり、自国以外は全て敵である。この状況は戦っている相手にとっても同じ事である。これは最大限利用した方が良い。

 上記の状況で赤を撃墜してしまうと、残った紫は全部自機に向かってくることになる。自分が単機だとするとけっこう悲惨な状況である。一度

敵10機がまとめてこちらに

向かっている状況になってしまい、酷い目にあった(^^;)

 一方紫を攻撃して、赤と紫のバランスを保っていれば、彼らは彼らで牽制しあって自分の方に戦力を割く余裕ができない。この状態を保ち続ければ自機は常に安全である。自分は高度優位を保ったまま、いつでも好きな機体から攻撃をしかけることができる。まさにfurballを掌の上で転がしているような心境になれよう(笑)




味方の位置は?



もういいかげん突撃せい!

と思っている人は多いだろうが、最後にもう一つだけ(^^;)

 味方が現在戦場のどの位置にいるかを、思い出してみて欲しい。思い出せる分だけでかまわない。ここで言う味方の位置とは、「その空域にいる味方の位置」では無く、「戦場全体に味方がどのように散らばっているか」である。その場にいる味方の位置状況確認なんて、するのが当然でそれ以前の問題だ。

 もちろん国全体の人数が多ければ把握しきれないだろうし、把握する必要もないが、可能な限りの情報はちょっと1秒割いて整理しておきたい。

 視覚情報からは自分の進撃ルート上で見かけた機体など、無線の情報からはrtb途中の機体や、再出撃したばかりの機体、また撃墜メッセージからも誰がどのへんにいるのかを判断することが出来る。

 仮にその情報が古いものだとしても、味方がどの位置に向かっているか予想するのは、敵の動きを予想するのよりもたやすいはずだ。


 特に「頼りになるやつ」の位置は把握しておくに限る(^^;) なんのためにするか? 言うまでもない、いざという時

助けてもらうため

である(^^;)

 あまり深く考えずに、これを実行してみて欲しい。ただし思うようにいかないこともあるし、過度の期待は禁物だ。基本的に自分の命は自分で守らなければならない。しかし、いざというときやっぱり頼りになるのは仲間だ。仲間を頼ることに何のためらいが必要であろう(^^;)

 そしてピンチになった時、さっきのことを思い出すとよい。きっと

ほんのちょっぴり希望の火がともる

に違いない(^^;)

#その1%の可能性があれば、人は戦えるものだ。




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