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第8章 回避
起死回生の逆転必殺技について
エースを目指すに当たって、いわゆる「必殺技」にはついつい憧れてしまう。特にハンマーターンやひねり込みなど
起死回生の逆転技
はついつい練習してしまう(笑)
私もそのような必殺技には憧れるし、研究もする。しかし究極の必殺技とは、そのような派手なことをせずとも気が付くと敵を撃墜してしまうようなことではないだろうか?
いわゆるエースと言われる人たちはそれぞれ逆転技を持っている。しかし、彼らもそのような技は使わないに超したことはないと思っているはずだ。やはり
そのような技に頼るような状況に持っていかない
方が高等技術であると思える。
空戦とは総合力の戦いである。離陸する時点ですでに戦いは始まっており、少しでも自分を有利にしようとあらゆる方法をつくすものである。この時にものを言うのは敵の6に突く過程であり、6につかれてからなんとかするテクニックではない。
逆転技や必殺技も良いが、それにこだわりすぎるのも考え物であろう。修行中の身であるならば、その時間を「如何に有利な状況をつくりだすか」に費やすべきだ。
たまに敵に攻撃されている基地からわざわざ上がって「練習になる」と言っている人がいる。確かにその通り非常に効果的かつ厳しい練習になると思うが、空戦における状況は与えられるものではなく、自ら作り出して行けるものであるから、「有利な状況を作り出す}ことの練習にもっと労力を費やしても良いのではと思う私である(^^;)
#もちろんハンマーターンのような逆転必殺技はマスターしておくと精神的余裕が違うし、練習しておくにこしたことはないと思う(^^;)
Check 6ではもう遅い
「前1分後ろ9分」という言葉がある。後ろの見張りには9分の神経をさけということである。この言葉が示すとおり、自機の6時を警戒するのは空戦の基本といえる。
実際Arenaで戦っていると、6時を全く警戒していないと思われる初心者は少なくない。また、どうしても敵機を追いかけている時は6時の確認がおろそかになりがちである。
そしてやられた時点で気が付く。もっと6時を見張れば良かった。
しかしながら、戦闘空域全体を把握するという意味において、「check 6」はそれほど重要ではない
というより、6時後方を警戒して敵が食らいついているのを発見した時は
もう遅い
のである。
ブレーク、バレルロール、ハンマーターンなど、6時に付かれた場合の逆転の技はいくつかある。しかし、よほどの技量の差が無い限り、毎回必ず成功するとは限らない。高速機で高度があるならダイブして逃げるという手もあるが、相手も高速機なら逃げ切れるとも限らないし、仮に急降下性能の悪い零戦であっても距離が開くまでの間にダメージを受けることだってある。
事実、相手が自分と同じ技術レベルだとして、6時につかれた状態から脱出出来たり逆転出来る確率は1割未満であろう。
長嶋一茂の打率にも及ばない
ようではお話にもならない。
その1割の可能性のために6時を見張るのは無意味である。check 6するのは自機が敵に6時につかれる可能性のある機動を取った時だけでよい。
私は戦闘空域全体の把握が自分の生存率を高める最善の道であると信じている。そして、この場合の「check 6」とは「自機の6時を見張る」ことではなく、
自機の6時につく可能性のある敵機を見張る
ことであると信じている。そして、そのためには
・自機の6時につかれる可能性のある位置に敵をおかない
・いまそこにいる敵が、自機の6時につけるような機動をとらない
のが基本であろう。
仮に現在高度10kを300mphで直進中であるとしよう。この速度で飛行している機体に真後ろから追いついてくることは難しい。特に下方からは現在のWBの戦闘機群には不可能である。
次に6時後方であるが、これも既に後方距離10以内につけている機体がいないかぎり、新たに自機を追尾するのは無理である。
側方で言えば自機の後ろに付ける為には敵は旋回する必要がある。当然速度が落ちるので追従がむずかしい。
よってこの場合、自機に脅威を及ぼす可能性のある機体は、前方(ヘッドオンショット)、前上方、上方、後ろ上方だけとなる。後ろ上方も自機がこれだけスピードを出していればおいそれと追従はできない。
逆説的に言えば、自機が300mphで直進している限り、
後方と下方の警戒はしなくても良い
ことになる。
すなわち、前方と上方だけが警戒すべきエリアであり、そこに占位してくる敵機がいるとすればそれは自分に脅威を与えうる存在であり、
早急にその占位を阻止
(プレッシャーを与えて追い払うか、自機をその位置から遠ざけるか)しなければならない。
この例は機体が直進している場合であるが、自機が旋回した場合はそれだけで脅威度の分布が大きく変化する。後方に付けていた全ての敵機が新たに脅威になるだけではなく、旋回によって速度を失った分先ほどの前方にいた敵機も脅威の対象となる。
低空での挌闘戦やストールファイトが危険なのはこういった理由で、ただでさえ挌闘している時は周りが把握出来ないのに加えて、自機の旋回によって
どんどん脅威度の高い敵を増やしてしまう。
もちろんこの警戒は、状況が刻一刻と変化することに注意を配らなければならない。真正面前方距離50にいる敵機は当座の脅威にはなり得ないが、10秒後には自機の上方に占位してsplit-Sで捕捉出来る位置に来ているかもしれない。
また逆に言うと、ある程度距離があれば、6時につかれるまである程度の時間的猶予があるということであり、それを事前に察知して高度を取って防いだり、味方に無電を打って救助を要請することが可能ということである。
究極の占位
上の理論を更に推し進めると、「速度を失わない限り、真上以外の敵は脅威になりえない」となる。これから出る結論としては、究極の占位とは敵の真上に位置する事である。
相手の真上に位置してしまえば、どのような状況でも対応できるし、最悪でもその敵に撃墜される事はない。
相手から見れば真上の敵は銃撃出来ないし、どの方向に逃げても追従されてしまう。実に困ったものである。
自機の真上の空間は最大の
デンジャラスゾーン
であると心得た方がよいだろう。furballの中で真上に敵機がいるのに挌闘戦から抜けられない状況など、まさに死への一本道と言ってよい。そこで生き長らえるのは単に運が良かっただけで、真上の敵機はその気になればどのようにでも自分を料理出来るのだ。
もうすこしつきつめると、敵に真上につかれたらもう詰みの状況で、その状況を事前に防ぐのがキモとなる。
脅威度を計る部分でも述べたが、決して真上に敵を占位させないのが自機の安全を計る占位の基本と考えて間違い無い。
発展させると複雑になるが、基本は敵の真上に占位し、敵には真上につかせないのが基本である。
だから先ほどの「Check 6ではもう遅い」の理論を更に推し進めることもできる。
真上につかれたらもう遅い