設定&裏話

『銀河急便』本編についている注などを収録しています。


●RVD……米WWFに所属のプロレスラー、ロブ・ヴァン・ダム(通称RVD)をモデルにした人物。ロブ・ヴァン・ダムは飄々としたキャラが人気の技巧派。ファイブスター・フロッグ・スプラッシュという名のコーナーポストからのダイビングボディプレスは、勢いがありすぎてRVD自身がバウンドしてしまい、しかけた本人までお腹をおさえて痛がるシーンすらある。思いきりのいい攻撃が気持ちいい。連合軍が解散してからはいまひとつ目立っていないのが残念。

●命綱……エイシャン・ブライドに装備された宇宙遊泳セットには姿勢制御システムももちろん組み込まれているが、宇宙法により船外活動時には命綱の着用が義務づけられている。宇宙船乗りで実際にその法を遵守しているのはどちらかというと少数派だが、トランス・ネビュラス・エクスプレスは中澤の強烈な指導で命綱をつけずに船外活動をすることは通常ない。辻は無軌道な性格(という設定)だが、中澤を怒らせるとこわいというのはよくわかっているので、ぎりぎりの線は遵守している。

●宇宙空間における音声……宇宙空間では音声を媒介する物質(たとえば空気)が存在しないので、音はしないということらしい。静寂の中で心臓がはちきれんばかりの緊張感を演出した『2001年宇宙の旅』の例のごとく、科学的に正確な描写で臨場感を盛り上げる手法はもちろん考え得るのだろうが、私はやはり景気良くドンパチ鳴りまくりのほうが好みなので、宇宙空間においてもオノマトペは使用させてもらっています。よろしくご承知おきのほどを。

●宇宙空間での拾得物……パリツァイ王国では、ひろったものを警察にとどける権利はあるが義務はない、という設定。ただし、こういうシチュエーションでは、のちのちトラブルに発展する可能性も大きいのでとどけておいたほうが無難は無難。もちろん宇宙空間においても、法的に拾得物は拾得物で、警察にとどければ落とし主から何割かの謝礼をもらうことができる、と法律では定められている。

●宇宙遊泳……危険ですから真似しないでください。

●エイシャン・ブライド……トランス・ネビュラス・エクスプレス(中澤の起業した会社)が所有するカーゴ・シップ。所属はパリツァイ星系パリツァイ3のフィフタス・ステーション。ただし専用のドックは持っていないので、入港するたびにレンタルスペースを借りている。船のローンもまだたくさん残っている。基本構造としては操縦ユニット、コンテナ、推進ユニットの三層からなり、所有するコンテナは二機。そのほかに必要に応じてレンタルや顧客持ち込みのコンテナを連結する。コンテナの数が増えると相対的に必要な燃料も増加するので、場合によってはアタッチメントの燃料タンクを増設することもある。操縦ユニットは独自の航行も可能だが、燃料が限られているのでごく短い距離しか航行できない。危険な宙域から脱出できる程度のもの、と考えてよい。航行能力はノーマル・ドライブ(通常航法)にのみ対応。オーヴァー・ドライブの能力はないので恒星間航行はしない。もっぱらパリツァイ4とその周辺のステーション、コロニー、衛星間などの輸送を担っている。星系内なら増設タンクをとりつけることで移動可能だが、料金が割高になってしまうので通常そういう注文は入らない。トランス・ネビュラス・エクスプレスには固定客がある程度ついていて定期便のような役割を主にこなしているが、それだけではペイしないので臨時客もつねにさがしている。営業活動はネットワークを通して中澤が船内から行っている。

●エイシャン・ブライドのシフト……惑星間など遠距離を移動する場合、エイシャンブライドはオーヴァー・ドライブの能力がないので、何日も時間をかけての移動となる。惑星の配置具合によってはオーヴァー・ドライブ装備の輸送屋に依頼する場合もあるが、オーヴァー・ドライブは重力の影響を受けやすいので通常航行で移動せざるを得ないケースもあり、この場合がそれに相当するわけである。当然三交代によるシフトをとらざるを得ず、ブリッジを預かる勤務者を準勤務状態のもうひとりがサポート、残るひとりが完全休憩タイムとなる。準勤務の場合は自由時間に近い状態で、ブリッジからの要請があれば勤務状態に移行、という形をとっている。作品の冒頭、矢口が眠りこけていて辻が何かを食べている状況は、一見矢口が準勤務状態のように見えるが実は逆で、矢口がさぼっているのである。中澤は矢口には甘いので見て見ぬフリ。もっとも辻は準勤務状態でもひとりで何かをやるのは退屈なので、たいていブリッジにいるから矢口もその状況に乗じて不足気味の休息をとっている、といったところ。さらにこのエピソードのケースのように非常事態が発生した場合はシフトがずれる場合もある。まして辻のように遊びざかり、眠りざかりの年齢となるとシフト時間に生活をあわせるのがめんどうになり、よく寝坊をして中澤に怒られたりする。

●エレヴェータ……エアロック前の踊り場はそのまま階下へのエレヴェータになっている。通り道なのでふだんは手すりは出ていないが、三つあるボタンのひとつが押されると記憶された形状に従い、転落防止の手すりが出現する。もちろんエレヴェータ自体がセンサーを備えているので、手すりに身体や荷物等を挟まれて事故になるようなことはない。

●作用と反作用……真ん中の人物が左側の人物をつきとばしているが、危険ですから真似しないでください。ふつうこういうことを宇宙空間で行うと、ビリヤードの玉がはじけるみたいに二人それぞれが力点を中心として正反対の方向にとばされてしまう。真ん中の人物はエアロック方向にとばされるので問題ないが、つきとばされたほうは……。まあ、姿勢制御システムで事なきを得た、とでもしておいてください。

●ストーンコールド……米WWFに所属のプロレスラー、ストーンコールド・スティーブ・オースチンをモデルにした人物。WWFのレスラーは定型句を持っていて事あるごとに口にするひとが多いようだが、このストーンコールド・スティーブ・オースチンは「WHAT?」がその定型句。TV東京で放映中のLIVE WIREを見ていると、相手に質問を発しておきながら「WHAT?」と遮る、というパターンで機関銃のようにまくし立てるシーンをよく見かける。ストーンコールドが「WHAT?」と発するのを予期した満場の観客が「WHAT?」と同期したり、時にはストーンコールドが出ていないシーンでも「WHAT?」の大合唱をくりかえすことがある。オースチンはレスラーとしてはトップクラスのひとりで、ザ・ロックやトリプルHらと抗争をくりひろげたり、ときには共闘したりしているようだ。テレ東のLIVE WIREがはじまった時点では、WWF正規軍の対抗勢力である“連合軍(原語ではアライアンス?)”のわがままで身勝手なリーダーとして、ならぶものなきヒールを演じていたが、連合軍解散後はどちらかというとベビーフェイスの立場に。連合軍以前は、あの魁偉な風貌にもかかわらずベビーフェイスとして活躍していたらしいので、アメリカ人にとっては必ずしも奇異なわけではなさそうだが、この物語では風貌どおりの悪役を演じていただいた。

●船外活動……背中のユニットに組み込まれている姿勢制御システムを使用している図。このまま加速しつづけるとエアロックを通りすぎてしまうが辻はこのあと強引に進行方向を変えた上で、腕力により制動をかける、という荒技で乗りきった、ということにしておいてください。もちろん危険ですから真似しないでください。腕が抜けたり物体をロストしてとんでもないことになったりしかねません。

●船内重力……この時点で重力はかなり戻っているので、御用ポリスはたいへんな重労働を強いられることとなる。ザコキャラの命運であろう。この程度のことになぜ注がついているのかと疑問をお持ちであろうが、私にもわからない。なぜこんなところに注がついてしまっているのだろう?

●辻の銃……パリツァイ王国では銃の携行が法律で認められている。特別なライセンスも不要。パリツァイに限らず辺境星域全般でこの傾向は強い。特に開拓初期における治安の悪さが起因する。パリツァイでは第三惑星及び周辺のステーションではかなり治安が整備されているので、慣例的に剥き身の銃を携行している姿はあまり見られない。従って都市部では矢口たちのようにホルスターをこれ見よがしに吊り下げているのは少数派。ただし第四惑星やその他の辺境居留地、またパリツァイ3でも未開拓地域などではまだまだ銃にものいわさなければならない状況は少なくない。殺傷力の高すぎる銃は法律的には不可で、辻の銃も標的から戦闘力を奪う程度の威力しかない、麻痺銃(パラライザー)である。もっとも、麻痺銃だからといって殺傷能力がまったくないとはいえず、レベルMAXでの射撃などではあたりどころによってはショック死などを励起する場合は多いにあり得る。ちなみに矢口の銃も辻のものと同型である。

●辻……モーニング娘。の辻希美をモデルにした女の子。トランス・ネビュラス・エクスプレスの一員で、主に操船関係を担当。一番年下でマスコット的存在だが、時に無軌道な行動をとるため中澤をつねに心配させている。食いしん坊。

●低重力下での移動……通常、エイシャンブライドに限らずすべての艦船は重力発生装置を装備する義務がある。どういう原理で重力がつくられているのかなど作者は考えていないが、物語の都合上、安価に発生させることができるとしておく。なぜ重力を発生させる義務があるのかというのは、細かい説明は別の機会に譲るが要するに“無重力は健康に悪い”という思いこみが作者には根強くこびりついているからである。しかし辻が船外活動で物体を回収した時点で、中澤は物体の重量が重力下ではネックになると判断したため、船内重力をいったんオフにした。辻がコクピットに物体を置いた時点でふたたび人工重力をオンにしたのだが、重力発生システムはオフにするときはほとんど時間がかからないが、オンにするときは充分に効きはじめるまでにながい時間を要するので、矢口が大あわてで走り出した時点ではまだかなり重力が低い状態。従って慣性の働きがかなり大きいので、走っている状態から急に停止するのは技術を要するし、いつも遊び気分の辻に至っては半ばわざと矢口に突進したフシがあるので、こういう事故は起こるべくして起こったといってもよいであろう。どーん。危険ですから、決して真似しないでください。

●トラクター・ビーム……牽引ビーム。ターゲットを設定して特殊なフィールドを生成し捕獲、牽引する。物騒な攻撃兵器ではなく、流出した物体を回収したり航路上にある障害物を取り除いたりするのに使う。

●中澤のお手玉……中澤の銃は矢口や辻のものとはちがって、比較的攻撃力の高い銃で、最低レベルにセットすれば麻痺銃(パラライザー)として使用できなくもないが、それでもかなり威力は大きい。中澤は容貌どおりふだんは非常に気が強く、攻撃的な性格といってしまっていいのだが、こういう暴力的な場面は苦手で、あまり頼りにならないといっていい。このシーンでも銃をとりだすときに手元をすべらせ、そのままお手玉をしながらあらぬかたへと去ってしまっているが、バイオレンスに加わるのを避けるためわざとこういう行為を行っているのかもしれない。もちろん辻や矢口の能力への信頼が根底に存在するための、フリであろう。ちなみに矢口がストーンコールドその他を一撃でのしてしまっている場面、軽量の矢口が、しかも低重力下でこのような芸当を軽々と行っているのはあきらかに不自然だが、まあヒットポイントが恐いほど的確、ということにしておいてください。

●中澤の年齢的体力……この物語中での“中澤”が何歳なのかは設定していない。行政的にはパリツァイ時間とUT(ユニヴァーサル・タイム=銀河共通時間)とにわけられるので、計算が面倒だからです。まあだいたい現実のモー娘。と同じくらい、と考えていただければ。というわけなので、この物語においても中澤は矢口や辻と比べると体力的にハンデがあるため、ふたりがちょこまかと走り出すだけで顔色が青くなる。という設定。あくまで設定。

●中澤……元モーニング娘。の中澤裕子をモデルにした女性。トランス・ ネビュラス・エクスプレス代表。積み荷や従業員(つまり矢口と辻)の管理などのほか、ネットワークをとおして営業活動も精力的にこなす。そのかたわら、求婚活動にも力を入れているともっぱらの噂が。

●中村隊長……いわずと知れた「必殺」シリーズの顔、藤田まこと演じる八丁堀同心中村主水(なかむらもんど)をモデルにした人物。八丁堀警備隊を率いて、主にパリツァイ3〜4の航路間をパトロールする。何やら着物のようなものを身につけているが、これは宇宙服である。宇宙服に見えなくても宇宙服なのである。宇宙服なんだってば。

●ハイパワーブラスター……高出力の熱線を放射する兵器。この緑色の戦闘艇はかつてイザラ・シダ星系での紛争末期に開発されたもので、ほとんど特攻兵器といってもいい代物。機体はエンジンと燃料タンク、操縦システムと二本の砲身からなり余分なものは一切ついていない。それでも積み込めるエネルギーのスペースは限られているので、連射するとすぐにエネルギーがつきてしまう。そうなれば恰好の射的の的なので、『緑の棺桶』と通称された。紛争が終結して未使用の機体が大量にだぶついたため、安価で裏ルートに出まわるようになったという経緯がある。シンジケートなどの非合法組織が手軽に武装するのによく用いられている。

●八丁堀ポリス……中村隊長麾下の八丁堀警備隊に所属するザコキャラ。別名、御用ポリス。宇宙空間を部隊にすると、ザコキャラにはヘルメットをかぶせてしまえばよいので大変楽だ。ヘルメットを提灯型にしたのはもちろん中村さんの部下だからである。腰にさげている銃はホルスターに入っているのではなく、専用のユニットに吸着されている。巨大で使いにくそうな銃だが、実際使いにくいだろうと思う。

●ビーコンの回収……宇宙空間でビーコンを発している物体を回収する義務はないが、慣例として回収するのが一般的。広大な宇宙空間では事故などでロストした物体を再回収するのが困難なことに起因する。ただし質量が存在する以上、燃料を余分に食うので実際には放置する例も少なくはない。中澤が悩んでいるのもトランス・ ネビュラス・エクスプレスが零細企業で燃料ひとかけらでも惜しいから。ちなみにこの後、トラクタービームによる捕獲場面がつづくが、停船はもちろん減速すら燃料が惜しいので当然通常速度で航行しながらのミッションである。高スピードで航行しながら捕獲作戦を展開するのは当然そうとうな困難が伴うわけで、成功した瞬間、中澤が「ホッとした」と傍白しているゆえんである。

●秀さん……「必殺」シリーズ後半のキーパーソンである“飾り職人の秀”をモデルにした人物。この状況では中村さんの部下のように見えてしまうが、秀さんは護送部隊の隊長である。このエピソードでは護送部隊は、タンクのような形の宇宙船二隻で構成されている。ちなみに秀さんに冷静に気遣われているRVDは、辻に受けた麻痺光線の影響が抜け切っていないためよれよれしているのだ。

●ふきだしの位置……レイアウトが理解しづらい位置になってしまってすみません。

●プリサリュス・トゥラサス……銀河連合中央にほど近い惑星ディクサスに棲息する齧歯類。人類が居住可能な環境には簡単に適応でき、性質もおとなしいので、かつては愛玩動物として広く流通した。もっとも中村さんの説明どおり麻薬密輸の隠れ蓑にもなり得るので、法整備が行き届いた政権下では非合法とされている場所もある。パリツァイでは法的には問題ないが、中澤たちのように運送業に従事している場合、この動物を所持しているとあらぬ疑いをかけられかねないのはまちがいない。なお学名もどきの名前を出しているが、作者がてきとうにでっちあげただけなのでラテン語がどうこうという類の批判はどうかご勘弁ください。

●矢口……モーニング娘。の矢口真里をモデルにした女の子。トランス・ネビュラス・エクスプレスの一員で、主に通信関係を担当している。といっても従業員三人の零細企業なので担当部署などあってなきに等しく、矢口はほとんどすべての業務をこなすことができるし、現実に操船以外の船内全般の管理をこなしている。

●ランデブー……ならんで停まっているように見えるが、速度を同調させているだけ。エイシャンブライドの通常航行速度で航行中です。宇宙空間において航行中にランデブーする際、いちいち停止していては燃料の大きな無駄だから。





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