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■できごと

資料編  ・新・原子炉等規制法の施行にあたって示されたスソ切り値
      ・「クリアランス制度に関する質問主意書」に対する政府の答弁書
      ・国分寺市が採択した「クリアランス反対の意見書
      ・「原子力2法案反対全国集会」での決議および海外からのメッセージ


●新・原子炉等規制法の施行にあたって示されたスソ切り値

05年12月1日、改悪された原子炉等規制法が施行されました。
省令に示されたスソ切り値(クリアランスレベル)は以下の通りです。

経済産業省令および文部科学省令に示されたクリアランスレベル

対象物

放射性物質の種類

放射能濃度(Bq/g)

一 特定原子炉設置者が原子炉を設置した工場等において生じた資材その他の物であって金属くず、コンクリートの破片類

二  使用者が使用施設等を設置した工場などにおいて生じた資材その他のもののうち、照射された核燃料物質及び材料を用いる使用施設(過去に照射された核燃料 物質及び材料を用いた使用施設を含む)において生じたものであって金属くず、コンクリートの破片類。ただし、以下の放射性物質に汚染された物を除く。
イ 照射された核燃料物質及び材料に含まれる放射性物質以外の放射性物質
ロ 照射された核燃料物質から核燃料物質その他の有用物質を分離するために、核燃料物質を化学的方法により処理した結果生じた放射性物質

*元の表では一のみに該当するものと、二のみに該当するもの、そして共通するものの三通りがあるが、この表ではまとめて右に示した。

3H

100

14C

1

36Cl

1

41Ca

100

46Cs

0.1

54Mn

0.1

55Fe

1000

59Fe

1

58Co

1

60Co

0.1

59Ni

100

63Ni

100

65Zn

0.1

89Sr

1000

90Sr

1

91Y

100

95Z

1

94Nb

0.1

95Nb

1

99Tc

1

103Ru

1

106Ru

0.1

108mAg

0.1

110mAg

0.1

114In

10

113Sn

1

119mSn

1000

123Sn

300

124Sb

1

125Sb

0.1

123mTe

1

125mTe

1000

127mTe

10

129mTe

10

129I

0.01

134Cs

0.1

137Cs

0.1

133Ba

0.1

141Ce

100

144Ce

10

148mPm

3

152Eu

0.1

154Eu

0.1

155Eu

1

153Gd

10

160Tb

1

181Hf

1

182Ta

0.1

239Pu

0.1

241Pu

10

241Am

0.1

***

●「クリアランス制度に関する質問主意書」に対する政府の答弁書

 05年10月11日、先に提出された質問主意書(10月5日付)に対する政府の答弁書が出ました。質問の主旨にきちんとかみ合わない答が随所に見られますが、全文を紹介させていただきます。

参議院議員近藤正道君提出放射性廃薬物のクリアランス制度に関する質問に対する答弁書

内閣参質一六三第七号
平成十七年十月十一日

内閣総理大臣 小泉 純一郎

参議院議長 扇千景殿

参議院議員近藤正道君提出
放射性廃棄物のクリアランス制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

一について
 総合資源エネルギー調査会原子力安全保安部会廃棄物安全小委員会報告書「原子力施設におけるクリアランス制度の整備について」(平成十六年九月十四日、 同年十二月十三日一部改訂)において、ガス冷却型の実用発電用原子炉の廃止措置に伴い発生する廃コンクリートの推定発生量が約三万六千トンであると報告さ れているところである。クリアランス制度は、このような原子力施設において用いた資材その他の物の合理的な処分及び資源の有効利用を可能とするため、平成 十七年五月十三日に成立した核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律(平成十七年法律第四十四号)において導入することと したものである。

二について
 平成十七年三月三十日の衆議院経済産業委員会の武田良太委員の質疑において行った「影響のないレベル」という答弁は、クリアランスレベルを算出する際の 線量の目安値である年間〇・〇一ミリシーベルトという値が健康に対する影響を無視できるレベルであるとの趣旨のものである。

三について
 御指摘の引用は、原子力安全委員会がクリアランスレベルを算出するための線量の目安値として年間○・〇一ミリシーベルトを設定した理由を述べたものである。

四について
 国際放射線防護委員会(以下「ICRP」という。)は、千九百九十年に出版した報告書(Publ.60)において、広島及び長崎の被ばく者に関する追跡 調査期間の延長、被ばく線量算定方式の変更、生涯リスク予測モデルの変更等により、名目致死確率係数の見直しを行っているが、年間〇・〇一ミリシーベルト というレベルについては、その後ICRPや国際原子力機関(以下「IAEA」という。)において見直されておらず、このレベルが現在でも、国際的に共通の ものであると認識している。

五について
原子力安全委員会は、平成十一年三月に、IAEAの技術文書のクリアランスレベルや評価方法を参考にして、我が国における自然環境や社会環境の実態及び生 活態様を考慮しつつ、クリアランスされた物から受ける個人被ばく線量が年間〇・〇一ミリシーベルト以下となるように、クリアランスレベルを算定し、トリチ ウムについては、クリアランスレベルを一グラム当たり二百ベクレルとした。
 その後、IAEAが新たな知見を取り入れてクリアランスレベルを見直したため、原子力安全委員会は再検討を行い、その結果、平成十六年十二月に、トリチウムのクリアランスレベルを一グラム当たり六十ベクレルとしたものである。
 なお、御指摘の「七ベクレル」という値については、承知していない。

六について
 原子力安全委員会は、クリアランスされた物が種々な形態で再利用又は埋設処分されることにより一般公衆が現実的に被ばくすると想定される評価経路ごとに 個人被ばく線量を評価し、最も高くなる評価経路でも個人被ばく線量が年間〇・〇一ミリシーベルト以下となるようにクリアランスレベルを算定したものであ る。

七について
 原子力事業者が定める放射能濃度の判定及び評価の方法については、国が定める技術基準に照らして妥当であることをあらかじめ国が審査して認可するととも に、測定及び評価の結果については、国が当該結果の記録を確認し、かつ、クリアランスの対象物について抜き取り測定を行うことにより確認することとしてお り、信頼性を確保することとしている。

八について
 改正後の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十号。以下「原子炉等規制法」という。)第七十二条の二の二にお いて、環境大臣は、廃棄物の適正な処理を確保するため特に必要があると認めるときは、原子炉等規制法第六十一条の二第一項又は第二項の規定の運用に関し文 部科学大臣、経済産業大臣又は国土交通大臣に意見を述べることができる旨規定されているところである。

九について
 クリアランスされた廃コンクリート等の再生利用については、クリアランス制度が社会に定着するまでの間、原子力事業者が、電力業界を中心に率先して進めることを予定しているものと承知している。
 また、一についてで述べたとおり、ガス冷却型の実用発電用原子炉の廃止措置に伴い発生する廃コンクリートの推定発生量は約三万六千トンであるとされてい るところであるが、平成十四年度における工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物の排出量は約五千五百三十 六万トンとなっていることから、各都道府県に設置されている最終処分場の容量に対し、当該推定発生量が与える影響はわずかなものであると思料する。

十について
 クリアランス制度が社会に定着したか否かについては、今後クリアランスされた物の安全性、クリアランス制度の実施状況等について、国民に対する積極的な 情報の提供及び理解の促進に努めながら、国が適切な時期に総合資源エネルギー調査会原子力安全保安部会等の公開の場において、広く意見を伺いつつ判断して いきたいと考えている。

十一について
 これまで、原子炉等規制法第二十三条の二第二項に規定する外国原子力船が我が国に入港した実績はなく、当面、我が国において、外国原子力船が解体される ことは想定し難いことから、外国原子力船へのクリアランス制度の適用について、検討会を設けて検討を行ったことはない。
 なお、アメリカ合衆国軍隊の原子力艦船において用いた資材等については、原子炉等規制法第二十三条の二第一項の規定において、軍艦は外国原子力船に含まれない旨が規定されていることから、原子炉等規制法に定めるクリアランス制度の対象とはならない。

十二について
 クリアランス制度については、再検討すべき問題があるとは考えておらず、今後、原子炉施設の廃止措置が本格化すること等にかんがみれば、速やかに導入することが必要であると考えている。

***

国分寺市が採択した「クリアランス反対の意見書」

 05年3月29日、東京都国分寺市がクリアランス制度導入に反対する意見書を全会一致で採択しました。住民の立場に立った議会の理性ある判断です。以下に全文を紹介します。

原子炉等規制法の改正による放射性廃棄物の再利用
及び一般・産業廃棄物への混入に反対する意見書

 政府は、原子炉等で使用されたコンクリートや金属などのうち、放射能が一定レベル以下のものは、放射性廃棄物として扱わないとするクリアランス制度の検討を進め、今通常国会に原子炉等規制法の改正案を提案している。

  クリアランス制度が実施されれば、原子炉の解体による廃材は産業廃棄物として処分されるとともに、放射能を帯びたコンクリート廃材やスクラップ金属が再利 用され、日常品として生活の場に出まわることになる。原子力安全委員会の検討によると、放射能を帯びた原発廃材をフライパンやスプーン、壁材等に再利用す ることが想定されている。

 さらに、クリアランス制度は、原発解体廃材だけでなく、病院や研究所など放射性同位元素利用施設にも適用可能としているため、今後の法整備により、これらの施設から排出される一般廃棄物にも放射能が混入することになる。

 その結果、乳幼児や胎児を含む市民や廃棄物処理にあたる労働者が被曝する。

 クリアランス制度が招くこれらの事態は、一般廃棄物の処理にあたる自治体や産業廃棄物の指導監督を行う自治体にとって、見過ごすことのできない問題である。

 クリアランスの制度化について政府は、国民に十分な説明をする責任があり、国民的合意が不可欠の条件である。現時点では、いずれも不十分であるといえる。

 よって、国分寺市議会は、クリアランス制度の導入を行わないよう強く要望するものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成17年3月29日

東京都国分寺市議会

おまえたちのことを
考えてくれたんだよ

いい市議会だねぇ‥

* 

* 

かぁちゃん!
立派な自治体もあるねぇ

***

「原子力2法案反対全国集会」での決議および海外からのメッセージ

 05年2月6日、「すそ切連」は「コストから原発を考えるプロジェクト」と「放射能の野放しも再処理費用負担も核管理社会もごめんだ!原子力2法案反対全国集会」を共催しました。

 当日は各地より100名ほどの参加を得て、法案の問題点と反対の取り組みの重要性が共有されました。以下に、集会での決議と海外から寄せられたメッセージを掲載させていただきます。

集会決議
 

 今国会に提出予定の原子力2法案は大きな問題を抱えている。

 原子炉等規制法「改正」案は、スソ切り処分(クリアランス制度)の導入と核物質防護対策の強化が主要な「改正」点とされている。

 低レベルの放射能の規制を外すスソ切り処分が導入されると、日用品にリサイクルされる原発廃材にその旨の表示さえされず、消費者は知らないままにごく低線量とはいえ被曝を強いられる。このようなことは到底容認できない。

  また、核物質防護対策では、不満を持つ従業員等を仮想敵とするなどの脅威を想定して防護措置を取ることを義務付け、核物質防護検査制度を創設する予定であ る。防護措置体系を知り得る従事者に守秘義務をかけることも予定されており、内部告発の抑止につながる恐れがある。守秘義務対象の情報には、核燃料輸送の 日程及びルートなども含まれ、防災体制の充実のために情報公開を求める市民や自治体の声は封殺されることになる。私たちがかねてから危惧してきた核管理社 会を具体化させるこのような規制強化は、民主主義の社会に相容れない。

 もう一つの法案は、バックエンド(後処理)事業の 制度措置に関する新法である。総合資源エネルギー調査会電気事業分科会が昨年8月末に示した中間報告をもとにしたもので、再処理工場廃止費用や超ウラン廃 棄物処分費用などこれまで措置されてこなかったバックエンド費用を新たに電気料金に上乗せして徴収し、積立先を電力会社の内部留保から指定法人の外部積立 方式に変更する。標準家庭で毎年約1000円の負担増と考えられている。六ケ所再処理工場の危険な本格操業への条件整備と位置づけられる新たな費用負担 を、私たちは受け入れることなどできない。

 本日、私たちは「放射能の野放しも再処理費用負担も核管理社会もごめんだ!原子力2法案反対全国集会」を開催し、改めて両法案に反対することを確認した。よって、次の要求を行う。
 

一.国は、今国会への原子炉等規制法「改正」案など原子力2法案の提出を取りやめ、制度設計をやり直すこと

二.国会は、原子力2法案が提出された場合は、問題点を徹底的に審議し、廃案にすること

以上、決議する。

2005年2月6日

「放射能の野放しも再処理費用負担も核管理社会もごめんだ!
原子力2法案反対全国集会」参加者一同

 

*   *   *   *   *

INTERNATIONAL SUPPORT for Conference to Stop Two Nuclear Bills in Japanese Legislature
原子力2 法案反対全国集会への海外からの賛同メッセージ(抜粋)

Your work to prevent deregulating nuclear waste is absolutely essential to the worldwide efforts! Thank you for taking on the challenge!
核廃棄物の規制を外す法案を阻止することは、世界の流れの中で非常に意義ある行動です。このことに挑んでくださって、有難うございます!

If countries around the world allow nuclear waste to be メlet goモ as if not radioactive, radioactive contamination will spread internationally.
もし核のごみが、放射性でないものとして「野放し」にされれば、放射能による汚染は国境を越えて拡がりかねません。

All living things, including humans- children, the elderly and those with reduced immunity- will be exposed to unverifiable, increased levels of radioactive contamination without their consent or notification. This is unethical.
子供たちやお年寄りなど、抵抗力が低い人間も含めた、すべての生きとし生けるものが、意見を問われず、勧告も無く、検証不可能なまま増え続ける放射能汚染によって被ばくします。これは道義に反しています。

This battle is especially important because the contamination can be long-lasting and irreversible. It will not be practical to recapture released radioactive wastes.
汚染は長期間無くならず、一度起きてしまうと取り返しがつかないので、この闘いは特に重要です。一度垂れ流された放射性廃棄物を回収するなど、現実的ではありません。

There is simply no justification for governments to allow known carcinogens at any level into the flow of daily commerce (or unregulated waste sites) .
いかなる政府も、どのようなレベルにせよ、一般の消費社会(もしくは規制されていない処分場)への発癌物質の流通を許可するべきではありません。

We are working to prevent the deregulation and dispersal of radioactive waste from the nuclear power and weapons industries into daily commerce and we stand with you to stop it in Japan.
私たちは、原子力発電や核兵器から出る放射性廃棄物が日常生活に流通しないよう、世界中で働きかけていきます。そして、集会にお集まりの皆さんと共に、この法案を阻止したいと思います。

SINCERELY,
親愛なる皆様へ

このメッセージには:
オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、台湾、ウクライナ、イギリス、アメ リカ から、平和問題、非暴力活動、環境問題、再生可能エネルギー、反原発、反核、異文化交流、核廃棄物問題、森林問題、医学、物理学、緑の党、女性団 体、食品の安全性 など 様々な分野で活動されている本当にたくさんの方が署名してくださっています。


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