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11月30日 

選書のため、新宿のジュンク堂へ。
このお店はナイス。駐車場もあるし(しかも甲州街道からすぐ)、
品揃えもよいし。

趣味は?と聞かれる場面に遭遇したことはないけれど、もし聞かれ
たとしても「読書です」とはおそらく答えないと思う。
だいたい、趣味という言葉が嫌い。
趣味がいいね、とか、多趣味ですね、とか、「趣味」が発する気配
がどうもいや。
なんだけれども、でもあえて趣味という言葉を使って表現すると、
趣味で読書をする時間が限りなく減っている。
仕事で月に6冊紹介しようとすると、下読みだけで15冊くらいは
目を通さなくちゃならない。
読者のニーズに沿うものを選んで。新刊で。
まちがっても村上春樹や江國香織ではなく、小説でもないほうが望
ましい。
こうなったら、好きで読む、というところを越えざるを得ない。

いつも仕事に自分の生き方まで決められているように思うのだけれ
ど、そういう時期だと思ってがんばろう。
と言いつつ、もちろんちゃっかり自分用の本も買った。

意味がなければスイングはない 村上春樹 文藝春秋

ステレオサウンドで連載が始まったときに、ある人がメールをくれ
て、何回かは買い、何回かは立ち読みしたんだけど、いずれにせよ
あの本は重くて、しかもステレオになんてまったく興味がないので
単行本待ちしていたのだった。

ほめことばの事典 榛谷泰明編 白水社

「幸福になろう」が帯の言葉。幸福になるかどうかはわからないけ
れど、これは古今東西の小説にちりばめられたほめ言葉を拾い上げ
た労作。すごいことをやる人がいるんだなあ。
こういう本を出そうと考える人がいるのもすごい。

執筆前夜 CW編集部編 新風舎

プロの作家の舞台裏。
作家的には、気になる人はあまりいなかったのだけれど、作家が書
くことを語るのを読むのが好きなんだよな。

 

11月28日 

東京奇譚集 村上春樹 新潮社

ああ、これがわたしの好きな春樹さんだ、と思った。
ひさしぶりに。
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドも、ねじまき鳥クロ
ニクルもいいけれど、わたしが彼の小説で好きなのは、こういう
しっとり系。

『彼女の中にある何かが、彼の心を取りとめもなく、執拗にそそっ
た。』・・・日々移動する腎臓のかたちをした石より

人を好きになるときの、さわさわとした心の動きがとてもうまく表
現できていてすごくうまいと思う。
そしてわたしは、彼女を好きになる彼にも、彼の思いを全面的に受
け入れることのできない彼女にも感情移入できてしまう。

わたしの心の中でもっとも敏感なのは、切なさという感情だと思
う。だから村上龍より春樹、ヘミングウェイよりカポーティ、三
島由紀夫よりも太宰治が好きなんだろう。

 

11月27日 

ゲーテ special issue 幻冬舎 2冊

世代男性と食事をしているときに、「幻冬舎が新しい雑誌を出したんだ
よね」と言いながら見せたらば、面白そうに読むので、プレゼントした。
他誌の宣伝をしてしまうわたしってどうなの。
しかもまだ読んでいなかったからまた買った・・・。

文藝春秋 12月号

「奪われる日本」を熟読。
郵政民営化法案は、アメリカの言いなりになっているだけなのだ
そうな。このまま言いなりになりつづけ、たとえば健康保険もが
アメリカ並みになったなら、お金がないと病院にすら通えない事
態になるのだそうな。そうかあ、そうなんだ、ふうん・・・と納
得してみても、やっぱり「そうかな?」と思ってしまう。
厳密にシミュレーションすればするほど、わかりにくくなるとこ
ろが問題なんだな。
でもまあ先の選挙で、郵政民営化法案に反対した人たちは、本当
に命がけで反対したし、それは彼らの政治信条に則った行為だっ
たんだな、と。
夫に「読んで感想を聞かせて」と言ったけれど、返事なし。

なるほどと思ったのは「村上世彰と三木谷 略奪者の時代」。
彼らに好意を持っているし、ナベツネさんたちの言動にはうんざ
りだけど、たしかに彼らの時間軸はあまりに短いかもね。
わたしも忙しい時は「今」しか考えていなくて、先のスケジュー
ルを手帳に書き記す時間すらなくなってしまう。
重要なことは、頭の中に入っているし、入っていない分は忘れて
も問題なし、それくらいの感覚でいないとこなしきれない。
だからほりえもんの「10年後なんて想像もしない」という言葉は
よくわかるし、走りつづけていれば自ずと道は開ける、とも思う
んだけれど、でも企業経営者としては、やっぱりもうちょっとい
ろんな視点を持ったほうがいいのではないかなと思った。

中央公論 12月号

こちらは「非婚社会がやってくる」が読みたくて。
山田昌弘氏の記事がとても面白かった。
これまで非婚(少子化)の原因は女性にあると言われてきたけれ
ど、仕事にやりがいを感じる女性はさほど多くない。むしろ専業
主婦志向は高まっている。
なのになぜ非婚は進むのか。それはつまり若年男性が稼げなくな
ってきているから。でもその事実を発表しようとするとさまざま
な方面から圧力がかかるらしい。政府や自治体は、女性の社会進
出を援助する、というほうが方策が取りやすい。
なるほどね。

そういえば、先の文藝春秋に、「少子高齢化大論争」という座談
会があった。
八代尚弘氏の名前を、ずいぶん昔、社会学をちょっとだけ勉強し
ていた時代に記憶していて、その頃はわりと好意をもちつつ彼の
論文を読んだ気がするのだけれど、学者が年を取るってこういう
ことなんだな、と思った。彼の意見は、ちっともリアルじゃない。

クーリエジャポン 創刊号 

編集長もかっこいいし?というわけで、買ってみたけれども、講
談社って社内留学制度があるんだ。それでフランスに行けるんだ、
ということに一番インパクトがあった。
基本的にこういう造りそのものに興味がない。

100億稼ぐ株成功術 堀江貴文監修 ライブドア証券著 
ゴマブックス

ほりえもん節炸裂。そこだけ読んだ。ほかに株関係のムックを2
冊も購入。夫がなぜかそわそわと、れんちゃん、株やるの? 資
金はどれくらい? と聞いてきた。ないしょ!

水曜の朝、午前三時 蓮見圭一 新潮社

未読。面白ければ、担当している書評欄の選書リストに載せよう
かな、くらいな気持ちで。でもその程度の甘い気持ちだとなかな
か読みすすめられないんだよなー。

STYLE ケイト・スペード ブックマン社

ケイト・スペードはなんとなく好き。筆箱は、ここのピンクのを
使ってる。手帳でも本命だったけど、土壇場でヴィトンにスウィ
ッチ。申し訳ないので本を買ってみた。
しかし帯の言葉が奥菜恵だった。いいけどね。

 

11月6日

美智子皇后と雅子妃 福田和也 文春新書

週末、書評欄の選書のためブックファースト渋谷店をうろうろ。
まずは売れ筋チェック。
ここの書店がすきなのは、いろんな人が入ってくること。
わりと男性比率も高い(気がする)。
自分が本好きなので、書店にいっぱい人が集まっているのをみる
のはとてもうれしい。
でも、選書作業に関して言うなら、ここだけでは終われない。
あら?と思えるような面白い本にはめぐり合えないんだよな。
でも最近ABCにも不満。あの騒動以降、あそこはわたしは面
白くなくなった気がする。

そして、こちらは書評には向かないけれど、興味があり購入。
真っ先に読んだ。

皇太子さんは、ご成婚の頃ちょっと頼もしく思えたけれど、以降
なにやってんでしょ、と思っていた。壁はいっぱいあるでしょう。
それはそう。でも何かにこだわりすぎると本質を見失う・・・そんな
印象を持っていた。
雅子妃に関しては、わたしはもう少し厳しい意見を持っている。

そしてこの本。
福田さんは、基本的には皇太子さんが好きなんだな。
なんというか、友だちのことは悪く書けない、というような温かさ
というか親密さというか、を感じた。
でもそういう何らかの立場がないと、この種の本は読んでもつまら
ないからそれはよかった。

そして彼の文章ではなく、ここに掲載されていた紀宮さんのお言葉
に、深く感動した。娘とはありがたいものだな、とも。
彼女が見てきた美智子妃の気高さ、崇高さ。
決して癒されることはないほどの傷みを受けたとしても、人への信
頼感は失わないでいること。
失わないでいられることが彼女の崇高さであり、それはだから誰も
ができることではないけれど、でもね。

わたしがなかなか立ち直れないでいるのは、どこに希望を見出して
いいのかがわからないから。
でも何かを信じているしかないんだな。
「何か」がわからなくてもがきつづけているのだけれど、でも信
じるしかないんだな。

立ち飲みの店に通っていた頃からだから・・・もうかれこれ4ヶ
月? 本当にばかだとおもう。どうしようもないほどのだめっぷ
りに自分でもあきれる。
でもまあとりあえず日常生活をまともに過ごしつつ、悩んでいる
ので時間がかかっても仕方ないよね、と思うことにする。
思うことにして、早くゲラの戻しをやろう。あと13ページ。

 

11月5日

国境の南 太陽の西 村上春樹 講談社

小さな波は何度もやってくる。
わたしが守ろうとしているものはなんだろう。
わたしが信じていたいものはなんだろう。
こんなに毎日泣いていても、夫の前では泣けない。

そして大好きな小説を読んでみた。
好きな音楽は何度も繰り返し聴くのに、小説はどんなに好きでも2
度読むことはほとんどない。

このところ、人を好きになるってどういうことなのかな、と思春期
のようなことをときどき考える。
本当に、どうしようもなく馬鹿で情けない。
でもわたしはそういうことを考えるのが好きだからこの小説が好き
なのかもしれない。

あるひとりの他人の中に、自分の居場所を見つけること。
いつでも来ていいよ、と受け入れてもらえること。

「永遠」も「確実」も存在しない世界の中で、それって可能なのか
しら?

 

10月16日

疲れすぎて眠れぬ夜のために 内田樹 角川書店

ずいぶん昔に、ある人から「内田樹が面白い」とを聞いて買ったの
だけれど、なんとなく、すぐに読めなかった。

今ごろ手が伸びたのは、私が弱っているから?
焼き鳥屋のカウンターで、熱心に読みふけっていたらご主人に覗き
込まれた。別にわたし、弱っているわけじゃないんです。たまたま
家にあって・・・と言い訳したくなるようなタイトルだけれど、そ
こまで焼き鳥屋のおじさんに説明する必要もなく。

それでそう、ひとつなるほどな、と思ったのは、「このまま一生結
婚しないかもしれないからマンションを買おう」と決意してマンシ
ョンを買ったら、その人は一生結婚しなくなる可能性が高い、とい
う話。
自分の選択が正しかったと信じたくて無意識のうちに結婚すること
を避けてしまうらしい。本人が無意識に下す決断も実は意識の支配
下にあるってことね。でもたしかに「ぜったい結婚したい」と言っ
ていた友達は、やっぱり結婚したもんな。

健全な肉体に狂気は宿る〜生きづらさの正体
内田樹 春日武彦 角川書店

もともとは、担当している書評ページの選書のために、手にした
一冊。選書のための下読みはかなりなスピードで読み飛ばすんだ
けどこれはじっくり読んだ。

敬語を使わないで、ため口ならば自分らしいのか。
人と違うことをすれば個性があるのか。
自分で意識する自分の個性を「特別だ」と思いたい人はいっぱいい
るだろうけれど、それはちっとも特別じゃない。
そして、自分のことを「なんて普通なんだろう」といじいじする人
にも個性はある。
両者には大して違いがないんだろうな。

週末、友達に新宿2丁目のバーに連れて行ってもらった。
あのね、ここでしか、本当の自分になれないんじゃなくて、会社で
しっかりと仕事をこなしている自分も、本当の自分なんだよ。
言い出せなくても、いいんだよ。

ベター・ハーフ 唯川 恵 
集英社文庫

帯がですね、すごいの。
「どうして 結婚なんか したのだろう」

結婚している人なら男でも女でもきっと1度は抱く思い。
この主人公たちも私と同世代?
林真理子のアッコちゃんといい、小説の題材になりやすい時代を
花のように、蝶のように、過ごした世代なのかしら。

大学生のとき、母の知り合いが経営する不動産会社でバイトをし
た。お金に困っていたわけではなく、「うちにこない?」と社長
に請われて。日給1万円だったけれど、それが高いのか安いのか
もわかっていなかった。
実際、仕事なんて何もなくて、わたしはただの社長の話し相手。
外回りをするとき、自動車電話のついた車に社長と2人で乗り込ん
で、ぐるぐると都内を回る。社長が商談に行っている間、わたし
は車の中で待っていた。お昼は社長の行きつけの寿司屋。
伊勢丹で靴を買ってもらったこともあったっけなあ。
「お母さんには内緒だよ」と言われたから、母には報告しなかっ
た。
しかし。
何も起きなかった。
この前その会社の前を通り過ぎるときにふと思った。
社長は私を狙っていたのかしら?
女子大生の愛人ブームだったよなあ。
でもわたしは、何の疑いもなく、にこにこと社長のお付きをして
いたんだよなあ。
鈍感ですみませんでしたねえ。ほんとうにねえ。
今なら超オッケーですよ。
ってことはないけれども。

えっとそれでなんだっけ。
そう、結婚。
お互いにちょっと秘密があったり、完全に好きとは言えなかった
り、ずるかったり。
でもまあこんなものかな、と思って結婚する。

この前取材をしていたら、ある女性が「わたしね、絶対この人を
落とそう!と思って必死だったんですよ」と夫との出会いを熱く
語った。
いかに尽くしたか。いかに追い詰めたか。

わたしは、ただ一緒にいたいだけだったなあ。
何も考えていなかったなあ。

とてもうまい小説だけど、果てしなくブルーになった。

 

9月24日

シュレーディンガーの猫 小倉千加子 いそっぷ社

山本文緒さんとの対談が収録されていることを知り、読んでみた
が、対談自体は古いものだった。
しかしまあなかなかに面白い本で、あれこれ考えさせられた。
ただ、今の学生、今の若い人の考え方という面では、ものすごい
決め付けがあって、自分なりの解釈が難しい。

「世代」という切り口は、面白いとは思う。
「世代じゃなくて個だ」という意見もあるだろうけれど、わたし
は、世代というのも確かにある気はする。
それはたとえば、30年前と今の「できちゃった結婚」率を比べて
も、世の中の「専業主婦率」を比べても違いはあるという意味で。

でもちょっとこの人は断定的すぎるんじゃないかなーと思った。
あまりに説得力のある文章なので、逆に「これだけが真実だと思
わないようにしなきゃ」と自分に言い聞かせた。

人のセックスを笑うな 山崎ナオコ−ラ 
河出書房新社

39歳のユリがなんとはなしにおばさんくさいことが、
いやだった。
でも小説としてはよいんじゃないかな。
でも、「思わず嫉妬したくなるほどの才能」という康夫ちゃんの
言葉には、そーなの? と思った。
まあ普通なんじゃないかしら。これは。

みんなの秘密 林真理子 講談社文庫

初夜 林真理子 文春文庫

怪談 林真理子 文春文庫

死ぬほど好き 林真理子 集英社文庫

ええ、すべて恋愛関係です。
不倫が中心です。
わたしは何かを学ぼうとしているのか?と自分に突っ込んでみる
けれどそういうつもりはない。
活字に溺れたいとき、私にとって林真理子は最適だった。
しかし、ここにあるのは「愛」じゃない。

アッコちゃんの時代 林真理子 新潮社

こちらは新刊。バブルの時代、金と力を持つ男たちを次々と虜に
し、伝説となった女がいた。
のだそうです。
わたしと同世代?

私もこのところなんとはなしに「金と力を持つ男」という人種が
どういうものかわかりつつあるんだけど、まあ要するに、英雄色
を好むってかんじ?
いいよね。いいと思います。それは自由にやってください。
女はいろいろ買ってもらったりご馳走してもらったりして楽しく
過ごせばいいんだと思います。

人間関係にも旬はある。
家族にも夫婦にも友達同士にも。
旬は思い切り楽しめばいいと思う。
男女の場合は、旬をすぎれば終わってしまう。
深く愛し合うって、どういうことなんだろうね。

愛するということ 小池真理子 幻冬舎

そしてもうひとりの真理子。
彼女のほうが文章は硬質。
人を好きになること。愛するということ。愛を失うこと。
今の私は、考えすぎているんだとは思うけれど、でもまだもう少
しこの状態から抜け出せそうにない。

あなたのそばで 野中柊 文藝春秋

そして思わぬヒットがこれ。
「運命のひと」なんて、かなり好きな部類。
こういう静かで、なんとなく割り切れない世界と言うのが好き。

私は結婚している状態が好きだ。
好きな男の人と一緒に暮らすって、なんて素敵なんだろうと思う。
結婚していなくても一緒に暮らすことは可能だけれど、やっぱり
結婚していたい。

その一方で、結婚しているからといってお互い、ほかの異性に目
を向けませんという約束をした状態だとは思わない。
デートOK、恋心OK。
配偶者のもとに戻ってもOK、戻らなくてもOK。

でも、やっぱり人を好きになるとその人の妻になることが一番好
きだ。

 

8月28日

儲け方入門 堀江貴文 PHP研究所

「僕は死なない」 堀江貴文 
ライブドア パブリッシング

本棚を見ていたら、これについて書いていないことに気付いた。
ほんと、好きだよなあ。ほりえもん、じゃなくて、ほりえ本。
しかし、ここに感想を書くために、もう一度読み直すほどひまで
もなく。

儲け方入門、は、面目躍如という感じで、やっぱりこの人はそう
いう話を書くのが一番面白いと思う。

Arne 10号

大橋歩さんが出している雑誌。なかなか面白いとは思うのだけど、
これまでなんとなく手が伸びず。
しかしこの号には、「村上春樹さんのおうちへ伺いました」とあ
るんだもの、買ってしまうよね。恐らく初公開の春樹氏の家。
やっぱ、わたしってファンなんだ。
そうでなくちゃ、これを見て喜ばないだろうなあ・・・。
まあでもいい感じで暮らしているようだった。

アンリミテッド:コム デ ギャルソン 平凡社

これはとても面白かった。
しかし5500円もします。
私は経費で買わせてもらったけれど、こういう本を経費で買える
幸せをしみじみ思うほどにいい本だった。

「結果的には、それが次の物作りをするための刺激になりました。
ああそうですか、わかりました、皆さんの思うきれいなものを作
りましょう、とはまさか思いませんから。なんでわからないんで
すかと、むしろ居直りました。」

そして、彼女は自分の路線を貫く。

コム デ ギャルソンが、企業としても優れているという話が随所
に出てくる。川久保玲自身も、「経営とデザインは一緒にしたほ
うがいいんです」と言っている。
ただ好きなものを好きなように作っているわけではないことに感
心した。アート、とも表現できるほどのものを作るクリエイター
でありながら、きちんとビジネスとして成立させている。
ほんと、すばらしいことだ。

どうして、ビジネスとして成立させなくてはいけないか。
それは続けられないから。
いい素材を使う。店舗を作る。給料を払う。
どれもお金がなくては成り立たない。
それを続けていくためには儲からなくてはならない。

世の中にはもちろん儲からない仕事もたくさんあるだろうし、儲
けること以上の価値がある仕事もあるだろう。
それでもやはり、最低限の生活が成立しないと続かない。

自分が夢中になれることがしたい、ってたまに聞くけれど、稼ぐ
ことの重要性をもう少し考えないと、生きがいとかやりがいとか
そんなことばかり考えていたらニートは増える一方なのではない
かな。
引きこもりの息子が両親を殺害してしまう事件があったけれど、
彼はその後どうやって生活するつもりだったのか、と思う。

「好き」を仕事に・・・というのをひところ主婦系雑誌がもては
やした。私も少し憧れたりもしたけれど、でも、仕事の本質は、
「好き」ではなく、稼ぐこと、だと思うんだ。
それがたとえ夫の稼ぎのある主婦であったとしても。

とぜんぜん違う方向に話はそれてしまったのだった。

 

8月

無意識の世界 河合隼雄 中公新書

ずいぶん前に買った本。
5年ほど本棚に眠っていたのになぜか突然手が伸びた。
歯が抜ける夢を見ました。
抜けた歯は粉々になっていました。
これもやはり無意識の世界なのかな。

100億稼ぐ仕事術 堀江貴文 
ソフトバンク パブリッシング

先日のほりえ本が、面白くなかったので、初期で未読のこの本に
手を伸ばしたが、やっぱり一番面白いのは「稼ぐが勝ち」かな。

前に読んだ、GMOの熊谷社長の「一冊の手帳で夢は必ずかなう」
とは、仕事術としては正反対な部分も多いけれども、要するに、
時間短縮をどうやってはかるかってことで、そのやり方が各人違
うのね。熊谷さんは急がば回れ的にきちんと。ほりえさんはとに
かくシンプルに。

私もそろそろビジネス書ブームを終えて自分のやり方を確立すべ
きときなのでは。熊谷社長を真似て手帳を持ってはみたけれど、
活用しているとは言いがたい。忙しくなってくると、自分のスケ
ジュールを把握することが怖くなる。よって何も書かない。
忘れてしまうような用件はどうでもいい、くらいに開き直らない
ととてもじゃないけど、やっていけない。
と考えるのはやっぱりまだ私が甘いのだろう。

友達がほりえもんと合コンして、翌日メールを出したらすぐに返
事が来たと言っていた。友達。美しい人。
きっとそういうのもフィルタリングしてるんだろう。

News from paradise
パトリス・ジュリアン+よしもとばなな 大誠社

いろいろな意味でとても興味深かった。
生活。
今の私の生活はめちゃくちゃだ。
冷蔵庫で朽ちていく食品をなんとかしなくては絶対に罰が当たる、
と思ってもどうしようもできない。
せめて子供にきちんと正しい時間に食事を与えねば、と思っても
やっぱりめちゃくちゃ。
冬物を整理する前に夏が来る。パンツのすそ挙げをする前に太っ
てしまう。
それってどうなのと思うこともあるけれど、パトリスの生活がい
ちばん心地いいのはパトリス自身だからな。
家から二時間かけて会社に通って、家では疲れ果ててごろごろし
てテレビ見るだけのおじさんだって一生懸命生きていることに変
わりない。

しましまの愛 パトリス・ジュリアン 主婦と生活社

カップル恋愛論。
わたしはいつも思う。
お互いにどんなに忙しくても、ベッドに入って足を絡ませるだけ
で幸せになれる瞬間がある。
それがだいじ。

いちばんやさしい株のはなし 
眞鍋かをり 松本大 日経新聞社

基本的にこの本に書いてある程度のことは知ってます・・・ネッ
トで買うとそのあたりを判断できないまま購入決定してしまうの
がいけない。

きちんと暮らす パトリス・ジュリアン
アスコム

これも同様。書店で手にしたら絶対に買わなかったと思う。
文字が少なすぎ・・・早々に人に貸した。
しかしこの「きちんと暮らす」という言葉に弱いのはやはり憧れ
ているからなのかしら。
でもちょっと違う。きちんと暮らしたいのは山々だし、今の生活
がいいとも思っていないけれど、彼やばななちゃんの主張には、
どこか同意できない部分がある。

女という病 中村うさぎ 新潮社

女たちの事件を、中村うさぎが読み解く。らしい。
「空っぽの椅子」が、事件としては地味だけれど、面白かった。
他殺体で発見された女性の漫画家は、なぞめきたがる癖があった。
昨日何してた?と問われても「ちょっとね。うふふ」と答える。
そして彼女の生活を誰も知らない。
彼女はきっと、本当ではない自分を探していたんだな。

売春論 酒井あゆみ 河出書房新社

「あなたはそれでも、売春しようと思いますか」という帯のコピ
ーはどうなんだろう?
売春しようと思っている人に、手にとってほしい本なのか?
売春しようと思っている人ってそんなにいるのか?

菜摘さん以降、なんとなくそうした職業に興味がある。
職業そのものではなくて、そうした行為を職業にするということ
について。不特定多数を相手にするというのは、愛人ともまった
く違う。

満ち足りぬ月 林真理子 文春文庫

帯にばかりけちをつけるけれど、これのどこが、「anego」につ
ながる傑作長編なのだろう。
あまりに発想がけちだと思う。話題作に引っ掛けて売りたいのは
わかるけれど。

マスコミ業界って。
私もまあ一応はその業界の人間だけど、なんというか、私がのん
きなのかもしれないけれど、みんなそんなにこの業界内で、愛だ
の恋だのやっているのだろうか。
自分がその業界に入る前は、「そういうところなんだ〜」と思う
だけだったけれど、身を置くようになると、え、そうなの?
私が知らないだけ? ってか私が誘われないだけ?と思ったりも。

基本的にどんな業界でも、色恋はあると思うけれど、仕事を与え
る側(男性)と仕事をもらう側(女性)というところに、いろい
ろな思惑が行き交うんだな。芸能界などもそうなんだろう。
(というかもっとえげつないんだろう)

花探し 林真理子 新潮文庫

旅先の書店で購入。時間がないときに選ぶならやはり林さんの小
説だなあ。どこにでも売っているし、まあはずれない。

そしてとても面白く読んだ。
「愛人業」をプロとして営んでいる女性の物語。
男性はすべてお金を持っているかどうかで判断。
3回続けてラブホで、4回目に彼女のマンションに行きたがった
男性はその時点でアウト(一流ホテルでなくちゃいけない)。
名家出身の男性から520万円を受け取った(プレゼント含む)。
8回のセックスで。彼女は計算する。ふうん。1回65万円か。
立派な職業だ。愛人ってのも。

しかし、林真理子の描く都会の世界をどんどん理解できるように
なってきた・・・ってことに気付いた。

蜜月 小池真理子 新潮文庫

こちらも旅先で購入。W真理子。安定した筆致。
解説が、鷺沢萠で、「ひとの死というのは・・・なんというかひと
の個性をひどく端的に象徴するものであるようにも思う」と書い
ていた。

麻布狸穴午前二時 甘糟りり子 講談社

ひところは、あそこのレストランがいい、ここのレストランがど
う、とぶいぶい言わせておられたりり子嬢であるが、このところ、
その手の記事では見かけなくなった・・・と思ったら本人的にも
それはもういいかな、というところらしく、そのあたりに親近感
を持ってみたり。

流行のレストランはどこか、どこを知っていればお洒落なのか、
そういうのって私もうんざりする。
好きな店に好きな人と好きなように行けばいいじゃん。
あるライターの人が、得意ジャンルはフード関係って言っておけ
ばとりあえずは仕事が来る、と言っていたことがあるけれど、そ
んなのなあ。
私は、いかにも食べなれてます、って感じのフード系ライターは
すごくいや。カウンターで親しげにシェフと話をするのも、得意
げに名刺を渡すのもいや。

で、あ、なんだっけ。そうだ甘糟さん。
彼女をインタビューして、その記事にさらさらっと赤が入って来
て、それがとても参考になりありがたく、本を買ってみた。

以上、八月の読書の途中経過。
わざわざ書くほどのものではない、わりと軽めの本が多かったけ
れど、いろいろと迷いの多い時期に濫読したという記録は、取っ
ておこうかなと思った。

 

7月31日

僕が伝えたかったこと 堀江貴文 マガジンハウス

ほりえもんウォッチャーのわたし。
彼の出した本はちょこちょこ読んでいるし、ブログは毎日チェッ
クしてる。
そして残念なことに、ほりえもんは旬を過ぎてしまった感が。
ブログ見てても、仕事振りがちっとも熱狂的じゃない。陣頭指揮
というよりは、会社の顔として外交を担当しているような。
そんなんじゃ、だめだよ。がんばれよ。もっと上を目指せよ。
とわたしは思います。
これまで読んだほりえ本の中でいちばんつまらなかった。

“教祖”降臨 楽天・三木谷浩史の真実 児玉博
日経BP社

社長本ブームの一環で手に取る。
三木谷さんは、ほりえもんウォッチャーのわたしにとっては、や
ややなやつ、という印象だったけれど、この本を読んで簡単に洗
脳された。ほりえもんとの違いもよくわかった。
もと興銀マンというのは肩書きとしてではなく、経験としてとて
も大きなことなんだ。

みんながんばってる。
仕事よりもプライベートを大事にという風潮もあるけれど、ほり
えもんにしろ、三木谷さんにしろ、あるいは孫さんだって藤田さ
んだって、それはもう休む暇なく働いている。
そんなの当たり前のことだよな。
会社だって、ライブドアは自由な社風みたいだけど、楽天やサイ
バーエージェントは、かなり忠誠心を強いられる感じで、伸びて
いる会社って結局昔ながらの部分もあったり。

わたしが仕事で出会う社長たちだって、みんなほんとによく働い
ている。
趣味が充実している人もいるけれども、なんというか「ぼー」っ
としたりしない。わたしももっと時間を効率化しなくちゃ。
「書く」という仕事柄ぼーっとする時間は必要だけど、もう少し
効率化をはかろう。
そのためには朝の時間をうまく使うべきなんだよな・・・。

このまえ某社長にインタビューしてて、「ビジネス書とかお読み
になりますか?」と聞いたらば、そんなの読む時間があったら仕
事したほうが・・・と笑われてしまった。おっしゃるとおり!
せっせとビジネス書を読んでは、あーでもない、こーでもないと
考えているわたしって、仕事のできない人って感じ。しゅん。

感じない男 森岡正博 ちくま新書

ある男性誌での書評を読んで、興味を持ち購入。
男の性を個人の視点から明らかにする・・・のだけれど、なん
か、男の人ってたいへんなんだなあ、としみじみ。この「たいへ
ん」は、自分のことに置き換えられないから。
肉体としての「美」は、男より女のからだにある。肌がすべすべ
で、曲線がゆるやかで。自分のからだを愛せない。醜いとすら思
う・・・。
ここで語られているのは、森岡さん自身のことであり、男性一般
にあてはまるかどうかはわからないけれど、かなり説得力のある
内容ではあった。
性犯罪が増える一方(増えているのか、公になることが増えてい
るのかは不明)だし、男の性はもっと語られるべきなんだなあ。

著者は、ここまで赤裸々に自分の性を語ったことについて多少の
戸惑いはあるようだけれど、そんな、そんな、そんなーと思う。
とても立派なことだし、学生にお詫びする必要なんてないと思う
けどな。
人と異なること(この場合、こうした内容の本を出すこと)をし
たというだけ。もちろん私がまだ学生の頃に、この本を読んでい
たら、あるいは読後感は異なるかもしれないけれど、でも真摯な
態度で書かれたものであることは、年齢に関わらず、わかると思
う。

 

6月27日

私という運命について 白石一文 角川書店

基本的に好き。この人の書くもの。
くさいところもあるけれど、それも含めて。

女性主人公は、「anego」(小説のほう)のような人生を歩んで
いるわけだけども、なんというか、私は素朴に思った。
男性って「選ぶ」ものなのかな?
私の場合、たいてい気付いたら好きになっているので、「選ぶ」
という実感がない。他の誰かと比べて、好きになるってものでも
ないし。

これからも仕事を続けていこう、というのも、選択じゃない。
それは単に自分が心に決めたこと。家庭生活よりも仕事を選ぶ、
ということでは決してない。
運命というのは、あると思う。それはあるだろう。
でもたとえば、自分の意思で決めたことなのに「これは運命だ」
と思うことを私は避けたい。そんなの責任転嫁だと思う。

で、小説に戻ると、この主人公は、ある男性からプロポーズされ
たのに、断る。が、その後ずっと自問自答する。それは正しい選
択だったのかな、って。
私には、発生しなさそうなシチュエーションではあるけれど、不
快感は一切なし。
「愛してくれる人を愛することと、愛している人に愛されること
と、それはどこがどう違うのだろう。」
なんてことを真剣に書くあたりが、彼の小説の好きなところだ。

売文生活 日垣隆 ちくま新書

この本を悪く言うことは非常にはばかられる。
なんかこの著者、Googleで検索して、自分の本に対する感想を探
して読んだりとかしそうで・・・。
でも個人の感想なので、まあそれは仕方ないと思うんだけども、
なんと言いますか、私にとっては、知りたいことが書いてあった
わけじゃあなかったかな。私は、たくさんの他人の中途半端な懐
事情よりも、あるひとりの懐事情(彼でなくてもかまわない)
を突き詰めた形で知りたかった。もっと具体的に。もっと長期的
に。
難しいとは思うけど。

「お金か自由か」ではなく「お金も自由も」だとは、私も思う。
というよりも、そもそももの書きのあるべき姿に、とらわれる必
要なんてないと思う。
稼げる講演を断って、貧乏していたとしてもそれは本人の意思。
それで「稼げない」と文句を言うのは筋違いだし、「自分は文章
を書くことに専念する尊い文士である」と気取るのもおかしい。

そういう意味ではこの著者と考え方が近いはずなんだけど、その
考え方を披露するための手段としての、彼の文章がどうしても好
きになれなかった。すみません。

 

6月19日

風味絶佳 山田詠美 文藝春秋

ひさびさの山田詠美。
ここ最近出していた短編集の中では、一番すきかとも思ったけ
れど、でもトラッシュのような心の震えはないよなあ。
まあそれは仕方ないか。

本のタイトルにもなっている風味絶佳。
これが私はいまひとつ。

詠美さんは、私よりも先に歳をとっていくんだなあと思った。
「歳若き者のために」書いたような、そんな感じがあってち
ょっと寂しかった。

でももっと寂しかったのは、山田詠美のファンサイト「A.L.A.」
がなくなっていることに気付いたこと。
Mewさん、どうしてるのかしら。

 

4月3日

美女に幸あり 林真理子 マガジンハウス

ananの人気連載が単行本に。
林真理子のエッセイって、ほんとにいい。最高の息抜きになる。
でも昔よりも毒が抜けてきたと思うのは、私だけ?
おばさんだ、ということへの遠慮がなんとなく見えてくる感じが
ちょっとかわいいような。

私も遠い昔、魔性系の女になれそうになったこともあった・・・
ような気がするけれども、今はなあ。
彼女のエッセイは女の豊かな人生を思い知らせてくれる。
それは、買い物であったり、メイクだったり、エステだったり、
デートだったりするんだけど、「そっか、そういうふうにしてる
んだ、いい女は!」と参考になる記述が多々。

私は、男の人と二人きりで食事をしても笑ってしゃべって食べて
終わり。暗がりに連れ込むなんてことはいたしません。店の前で
颯爽とタクシーに乗りこんで、じゃーねー(わたし、これから原
稿書かなくちゃ)。
という姿勢をちょっと反省しそうになったのであった。
いい女は、攻めるときには攻める! そうか、そうなんだ!
原稿は早めに仕上げてから出かけ、バーなどに付き合うべきであ
ろう。

私にとってオウムとは何だったのか
早川紀代秀 川村邦光 ポプラ社

本当になんだったんだろう。
どういう場合においても、人には自己弁護の気持ちがあるのだと
思う。年老いた親の家を売り払ってしまっても、人を騙しても、
殺しても、それでも人が反省するキャパシティは限られている。
100%自分が悪かった、という状態に自分を追い込むのは修行の
ようなもので、つらくて逃げ出したくなるかもしれない。
大阪で、小学校に侵入して何人かの小学生を殺した詫間なんたら
という人は、自ら早く殺してくれと訴え、驚くほどのスピードで
死刑が執行された。それはある意味では、彼が自らを追い込む機
会を奪ったともいえる。

ぎりぎりまで自分を追い込んだあと、今度は「そして今の自分に
できることは?」と考える。そこから償いが始まると思うんだけ
ど、正直なところ、この本を読んだところでは、早川という人は
まだそういう段階にいないのだな、と思った。

オウムとは何だったのか。
10年経ってもまだそんなことを考えている段階なんだ。まだ次の
段階にいけてないんだ。そのことに単純に驚いたし、そのことか
ら、オウムの影響の深さを思った。
彼は、それでもオウムとの関係を絶ったとされているのだから、
逮捕者の中にはまだもっとその影響にどっぷりとはまったままの
人もたくさんいるんだろう・・・と思うと「償う」ことの難しさ
を感じる。なんか前にも書いたけど。

赤い長靴 江國香織 文藝春秋

どちらかといえば、だんなさんのほうに親しみを感じた。世間と
自分を隔てている膜の存在を、私も感じることがあるから。でも
世間的に見れば、私とこのだんなさんとではぜんぜん違うんだろ
うな。

遠出をしたとき、私はできれば夕方には家に戻って来たい。
出先が箱根だろうが伊豆だろうが、北海道だろうが、夜までに自
分の家にたどり着くということがなぜかすごく重要で、陽が沈み
かかっている、その瞬間に、自分は家にいない、というただそれ
だけのことで、なぜかとても心細くなる。
それはもう本当に気が狂いそうになるくらい、心細くなる。
仕事ではいくら帰りが遅くても、まったく平気なんだけど。

私にとっての家は、この夫婦それぞれにとっての配偶者なんだ
ろう。誰でもいいわけじゃないけれど、その人である必要はな
く、ただ「存在」としていとしい。

そんなのは愛とは言わないよ、とか、そんな夫婦真っ平、とか、
別れればいいのに、とか、いろいろな意見があると思うけれど、
その場合の「愛」の意味も、夫婦のあるべき姿も、別れる理由
も、わからない。自分の孤独が保てる相手こそ、配偶者にふさ
わしい、という人も世の中にはいると思う。

幸福な食卓 瀬尾まいこ 講談社

なんとはなしに、好きなのかどうかが微妙な感じ。

チョコリエッタ 大島真寿美 角川書店

そしてとても微妙なことなんだけど、こちらは好き。

淋しきカリスマ堤義明 立石泰則 講談社

どうも中途半端な印象。知りたかったことが書いていない。
淋しきカリスマとしての堤義明は、描かれていないように思う。
企業の歴史やら経営理念やら、そういう調べればわかることに、
さらに付加価値がなくちゃ。

渋谷で働く社長の告白 藤田晋 アメーバブックス

私のブックマークには「社長」というカテゴリーがあって、そ
こには、ほりえもんやら藤田さんやらのブログが分類されてい
る。そして私的に社長本ブームであることもあり、読んでみた。
ブログを読む限り、藤田さんは、なんともほのぼのしている印
象で、この人って才能がある! すてき!みたいには思えない
(まあそこが才能なんだと思う)。

本も、まあそのままの印象であるが、わりと文章はうまいのだ
なあ、と思った。あとまあこういう本を作る能力が、アメーバ
ブックスにはあるんだ、とちょっと感心したりも。
(そしてほりえさんのライブドアパブリッシングから出ている
本を買ってきた。みなさん出版部門も持ってるのねと思って)

いちばん印象に残ったのは、「きれちゃいけない」ってこと。
どんなときでもキレては負けなんだ。そう、そうなんだよ。
私も、仕事で理不尽な思いはたくさんしているし、それに対す
る強い抗議の気持ちを持つこともよくある。でも、キレては負
け。いかにキレずにこちらの正当性を主張するか。
そこがポイントで、それもビジネスの能力のひとつだと思う。
逆にいえば、ビジネスとして考えてないなら、いつだって、き
れればいいんだと思う。それはその人の選択だ。

現実入門 穂村弘 光文社

ほむほむ、結婚のニュースが飛び込んできたのは、確かオフ会。
ちょっと好きだった時期もあったが、まーねー毎日あうわけじ
ゃないしさーというわけですっかり彼の存在を忘れていたんだ
けど、とりあえず本は買ってみた。
(たぶんそういう順番だったよなあ。でも忘れてる。もしかし
たらオフ会の前に結婚のニュースは知ってたかもしれないし、
もしかしたら本は前から買っていたのかも)

この人は、現実の世界で能無しのように書くし、もちろんそれ
はうそじゃないかもしれないけれど、ものすごく如才ない人な
んだよなーと思った。悪い意味ではなく、それを自然にできる
という点が、この業界で生き残っていける、この人にとっての
強みだ。
まあがんばってくれたまえ、ほむらくん。
わたしは、もういいや(おとこ的色気を失いつつある気配を感
じたの)。

夜ふけのなわとび 林真理子 文藝春秋

どちらかといえば、anan関係のエッセイのほうが好きだけ
れど、もちろんこちらも悪くない(ってなんかえらそうだ)。
でもこれは、週刊文春で読むより単行本で読むほうが面白いと
感じたのはなぜなんだろう。ananは、雑誌で読むほうが面
白いのに。まあそれは単なる錯覚だとは思うけど。

オリンピックでマラソン金メダルの野口選手が「本当に幸せ」
とコメントしたことを書いていたけど、それって、私はたぶん
インタビュー用のコメントであって、本当に、本当に幸せと感
じているかなあ?と思った。疲れているからとかそういうんじ
ゃなくて、戦いって終わりのないものだから、もうその時点で、
次は何を?と考えていると思う(そういう習性だと思う)。

このあとぜったい30分以内に着替えて、軽くジョギングして、
ストレッチも忘れないようにしなくちゃ。ふくらはぎのつけね
がちょっと痛いな、トレーナーにほぐしてもらおう。食事はこ
の調子なら夜に少し食べればいいし、明日の朝錬は・・・と頭
はフル回転ではないかしら・・・。
ま、つまり戦士たるもの、心の休息なんてないわよ、と。
自分の多少の経験上そう思うんだけど、さてどうでしょうね。

林さんも、直木賞を取ったとき、「本当に幸せ!」なんてコメ
ントしつつ、現実的な計算をあれこれしたんじゃないかなと思
うんだ。それと同じ。スポーツって特にやったことのない人が
思うほど感動的な世界でもない気がする・・・。
そうおもう私が変わっているのかもしれないけれど。

年老いた子どもの話 ジェニー・エルペンベック 
松永美穂訳 河出書房新書

残念ながらよくわかんない。いつも思うのは、海外ってこういう
小説がちゃんと出版されるんだなあということ・・・つまり商業
ベースに乗りにくい内容であっても、評価されるんだって。
帯の文句「もう一度、子ども時代をやり直すとしたら
あなたはどこから始めるだろうか?」
ってのは、適切なんだろうか。
ドイツの新聞はカフカ的インパクト、と書いていたみたい。
まあそんなところ? でも私はカフカのほうがわかりやすい。

 

1月8日

シンプル時間整理術 小松俊明 
インデックスコミュニケーションズ

○○術という本はあてにならないという典型かなあ。
帯に「寝る前たった30分だけでいい」とあったのだけれども、
それを見た時点でそんなあほなと気付くべきであった。
なんというか、知りたいのはそういうことじゃないんだよな
あ、という感じ。
・・・だったんだけども、今これを書くためにちらちら見直
したら、まあなるほどね、という部分も。
要するに、30分間空白の時間を作って、じっくり物事を俯
瞰せよ、ちゅうことですな。
まあそれはそれで大切なことかもな。急がば回れ、とはちょ
っと違うけど、そういう取り組み方は大切。

40歳からの仕事術 山本真司 新潮新書 

私自身年齢は、40歳に近いけれども、ビジネスではまだま
だ中堅未満。自分が向かい合っている状況がちょっと違った。
対話形式、というのも好きじゃないのよね。
同じ著者が30歳からのなんたら、という本も出しているそう
なのでまたトライしてみるつもり。

なぜあなたはその仕事を先送りしてしまうのか?
笹氣健治 秀和システム

自己啓発本のところにあり、手に取るのがとても恥ずかしか
ったが、まさしくこの私の弱点を付いているタイトル。
内容的にもなるほど!という感じで、感心している自分をち
ょっと恥ずかしいなと思いつつ、かなり満足したのであった。
自己評価が低い、なんでも自分のせいにしてしまうというあ
たりが、まさしく私。
さらに「自分を否定的に見ることで自分に鞭打とうとしてい
る」という部分には線まで引いてしまった。
自己啓発本に啓発される余地が自分にまだあったことに感動。

「超」整理法 3時間管理 野口悠紀雄 中央文庫

これは役に立ちました。
時間管理関係(手帳関係も含む)ではいちばん。
ベストセラーの「超」整理法を、内容を補強して3冊の文庫に
まとめなおしたもので、つい2の捨てる技術も買ってしまった。
自分の仕事振りをビジネスとして、あれこれ悩んでいたんだ
けども、これと「なぜあなたは・・・」でなんとなく解決で
きそうな気配。私の実用書ブームはこれで去るかも。

年初早々、生臭い本ばかりだけれども今自分はそういう位置
にいるんだなと思う。
村上春樹と江國香織とジュディマリが好きで、毎日もんもん
としていた頃とはまた違う悩みがあり喜びがある。

しっかりと前を向いて、まぶしい太陽をにらみ返して、これ
からもずっとずっと進んでいこう。

 

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