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ボウ ネプチューン像(四元素のうち「水」) (1765年頃)
A Bow Figure of Neptune (as 'Water' from the Four Elements) Ca.1765



 

 ボウのネプチューン像である。ローマ神話のネプチューン(ギリシャ神話のポセイドン(Poseidon)と同一視される。なお、彼はサターン(クロノス)の息子であり、父親に飲み込まれてしまった子どもたちの一人である(チェルシー「CH6」を参照)。)は、海の神であることから、四元素(土、水、空気、火)の像のセットにおいては、水を象徴するものとされている。ちなみに、同じセットの他の元素にも神々が当てられており、土がシリス(Ceres)、空気がジュノ(Juno)、火がヴァルカン(Vulcan)である。

 本品では、ネプチューンは脇にイルカを従え、左手に抱える壺から水が流れ落ちている(ダービーにも類似の作例がある)。台座は、ボウ特有のロココ調の脚つきのものであり、1760年代に主流となったものである。それ以前は平板な台座が多く、このネプチューン像も当初は平板な台座と組み合わされていた。V&A美術館にその作例があるので、本品と比較していただきたい。
http://collections.vam.ac.uk/item/O337143/figure-bow-porcelain-factory/

 なお、ボウには他にもネプチューン像があり、その一つは、イルカにまたがり、少し前傾姿勢で両手を広げているものである。この作例もV&A美術館にあるので、ご覧いただきたい。
http://collections.vam.ac.uk/item/O337158/neptune-astride-a-dolphin-figure-bow-porcelain-factory/

 本品の台座の平面部分には四角い穴が開けられている。これは蝋燭立てなどを取り付ける場合に金属の支柱を差し込むための穴で、この穴が四角いのはボウの特徴である。(ボウ「B27」及びダービー「D0-1」を参照。)


高さ(Ht):24cm
マーク:なし
Marks: None
参照文献/References:
- Peter Bradshaw "Bow Porcelain Figures circa 1748-1774" B29 (p.170), B30 (Plate 86 & p.170), and B41 (Plates 94-95, Colour Plate IV & p.171)
- Anton Gabszewicz & Geoffrey Freeman "Bow Porcelain The Collection formed by Geoffrey Freeman" Item No.229 and No.245(A set of the Elements)
- Arthur Lane "English Porcelain Figures of the 18th Century" Plate 48 (the V&A example mentioned above) and pages 41 & 91
(2017年10月掲載)