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ダービー ネプチューン像 (1760年代頃)
A Derby Figure of Neptune Ca.1760s



 

 ダービーのネプチューン像(ボウのネプチューン像については、ボウ(B30)を参照)。マントを風にたなびかせ、金属製の三叉の槍を持ち(本品の槍は後世の補充品である可能性が高い。)、イルカを従えている。高さのある台座には、貝や海藻が配されている。

 ダービーでは、1750年代前半のいわゆる「ドライエッジ期」(ダービー(D0-1)を参照)から、ほぼ同型のネプチューン像が製造されている(ただし、台座の形は時期によって異なる)。バーナード・ワトニーの研究(下記参照文献にあるECCの論文)によれば、このネプチューン像のモデルは、16世紀イタリアの彫刻家Alessandro Vittoriaによる銅像、あるいは17世紀フランスの彫刻家Michel Anguierによる銅像にあるとのことである。ちなみに、Anguierによる銅像は以下のメトロポリタン美術館のサイトで作例を見ることができる。
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/192731?sortBy=Relevance&ft=neptune&offset=0&rpp=20&pos=2

 その後、ダービーでは長期間に渡ってこのネプチューン像が製造され、1770年代に入ってフィギュアの型番制度が導入されると、台座の違いに応じて118番、229番、299番、300番という番号がこのネプチューン像に振られている。なお、ダービーにおいては(ボウとは異なり)ネプチューン像は、「四元素」のうち水を象徴する像としては用いられなかったようである。

 本品のような海洋生物を配した台座は1760年前後に導入されたとされている。また、本品の裏面は平らにするために大きく削られているが、型番は刻み込まれておらず、さらにその他のマークもないことから、1760年代に製造されたものだと考えてよいであろう。


高さ(Height):23cm (not including the trident)

マーク:なし
Marks:None

参照文献/References:
- Bernard Watney "Some Parallels and Proto-types in Ceramics" ECC Transactions Vol.10 Pt.5 (1980) p.352 and Pls.148a-d (Derby 'Dry-edge' figure and Michel Anguier's bronze figure)
- F. Brayshaw Gilhespy "Derby Porcelain" Plate 2 ('Dry-edge' figure)
- Peter Bradshaw "Derby Porcelain Figures 1750-1848" List B26, C10, D30, E61 and F15. Derby Factory List Nos. 118, 229, 299 and 300.


(2017年12月掲載)