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ダービー ポマード・ポット (1770-71年頃)
A Derby Pomatum Pot Ca.1770-71
小さな円筒状のポマード入れ。蓋は逸失。白磁の上に小花を全面にびっしりと貼り付けてある。その小花は、花びらは薄緑で色付けされ、中心には金彩の点が打たれている。
Snowballの壺(ダービー(D2-25))の説明の中で、Snowballの装飾は18世紀当時のオークション・カタログではhoneycombと呼ばれていたのではないかとの説を紹介した。その際に引用した、1771年4月に開催されたチェルシーとダービー合併後初となるデュズベリーによるオークション・カタログの記述について、再度見てみる。
First Day
Lot 4 A pair of fine honey-comb pots for a toilet 1l. 16s.
Lot 12 One set of three pieces of elegant honey-comb jars with a rich burnish'd gold border 3l.
Lot 58 A pair of honey-comb jars, very elegant 1l. 1s.
Third Day
Lot 57 A set of honey-comb jars, three pieces, finely enamel'd, and rich burnished gold border 3l.
今回は、1日目の4番ロットに注目していただきたい。Honeycomb装飾の作品をピックアップしてあるのだが、他のロットはjarsであるのに対して、この4番ロットはpots for a toiletとなっている。Honeycombという呼称が、本来の「ハチの巣」模様をより拡大解釈したものであるとするなら、本品のような平面的な小花を全面に貼り付けたものもHoneycombと呼ばれる可能性はあると思う。同様の装飾の作品として、V&A美術館収蔵の塩入れがある(*1)。
同じような小花を貼り付けた作品としては、ダービー(D2-11)の壺もあるが、こちらでは小花は胴体に散らして貼られており、全面にびっしりという形ではないので、「ハチの巣」と呼ぶにはさすがに無理があるかと思う。
なお、同じ1771年のカタログの中には、以下のようにpomatum potsという呼称も登場しており、pots for a toiletと呼ばれる作品と違うものなのかという点には留意が必要である。
2nd Day
Lot 50 Four pomatum pots, enamel'd in flowers, and highly finish'd with mazarine blue and gold 1l. 4s.
Lot 65 Four pomatum-pots finely enamel'd in roses, and a rich gold dentil edge 1l. 16s.
3rd Day
Lot 11 Two pomatum pots, enamel'd in compartment, with the four seasons, and a fine mazarine blue, and elegantly finished with chased gold 1l. 9s.
4t Day
Lot 14 Eight pip'd pomatum-pots, in fine pea-green and gold 2l. 2s.
Lot 24 Six pomatum-pots, fine mazarine blue and gold 3l. 1s.
高さ(H):5.1cm、直径(D):5.2cm
マーク: パッチマーク
Marks: Patch Marks
脚注/Footnote:
*1 V&A Museum Website: http://collections.vam.ac.uk/item/O165981/salt-cellar-william-duesbury-co/
also, H.G. Bradley "Ceramics of Derbyshire 1750-1975" Item 80 (pp.64-65)
(2014年6月掲載)