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スタッフォードシャー州のパールウエア 「少女と子羊」の像(1820年代頃)
A Staffordshire Pearlware Figure of 'Girl and Lamb' C.1820's



  

 

 子羊を両手で抱く少女の像。白地に釉薬がかけられているが彩色はない。台座の正面下部に、作品のタイトルが'GIRL AND LAMB'と刻印されている。

 本品は、ダービーの「フランス風羊飼い」の少女像のモチーフを写したものである(最後の写真を参照。またダービー(D2-47)を参照)。ただし、プリマス作品の可能性があるとして売られていたもので、その根拠はプリマスに特有な台座底面の大きな開口が見られることであった。しかし、造形はかなり甘く、両腕は粘土の紐のようであるし、衣服ものっぺりしている。背面はほとんど何も手が加えられていない。素地は曇りがかった白に灰振り(薄茶で微小)がある。プリマス作品とは(そしてダービー作品とも)かなり異質である(プリマス(P6)を参照)。

 結論から言うと、本品は1820年代頃にスタッフォードシャー州の窯で作られたパールウエア(pearlware)による陶器人形である。窯の特定は困難であるが、Waltonという窯がこのようなフィギュアを多く作っており(窯銘の入った作品もある)、'Walton type'と総称されることがある。これらのフィギュアは、背に樹木を配した上で濃い色合いで彩色されることが多いのだが、本品はその点異なっている。

 パールウエアは陶器であるが、素地に磁土を混ぜて白さを出し、さらに釉薬に少量のコバルトを混ぜて青みを出しており、磁器に似た色合いを有している。本品は彩色されていないのでその特徴がより明瞭に見てとれる。特に、台座上部の釉薬のたまりが青みがかった灰色に発色している部分などは、ガラス質の磁器のような質感を持っている。



マーク:窯印なし。台座の正面下部に刻印の'GIRL AND LAMB'.
Marks: No factory marks. The title 'GIRL AND LAMB' impressed at the front bottom of the base.
高さ(H):12.5p
参照文献/Reference:
-Terence A. Lockett "Pearlware: Origins and Types (Part 1)"


(2019年11月掲載)