バグパイプの仕組み・構造
バグパイプとは、文字どおり、袋(bag)と管(pipe)を合体させた楽器です。
口に咥えたブロー・パイプで袋に息を吹き込み、脇に抱えた袋から4本のパイプに空気を送り出すことで音を鳴らします。
当然ですが、袋が膨らみきっていないと空気は外に出て行きません。
最初ペッタンコになっている袋にふうふうと息を吹き込み、充分に膨らませてから演奏開始となります。
4本のパイプのうち、メロディを奏でるのは下部に突き出た1本。
これをチャンター・パイプと言います。
口に咥えたパイプと実際に演奏するパイプが別で、演奏するパイプがお腹の横にあるなんて、吹奏楽器の中でもちょっと異色ですよね。
上部に突き出た3本のパイプは、ドローン・パイプと言います。
これは「ブ~~~」の音専門。
1本だけ長いパイプをベース・ドローン、短い2本をテナー・ドローンと言います。
このドローンがバグパイプの音色に深みを与えているわけですが、初心者にとって何がきついって、チャンターの他に3本も鳴らすこと――音を出すことそのものが、もう大変なのです。
さらに、ドローンから音が出ないうちは、チャンターからは音が出ません。袋の中の空気の流れは、チャンターが最終地点なのです。最初に、膨らんだバッグをパン!と叩いてドローンから音を出します。
それを「キック」と表現する人もいました。
バイクのエンジンをかけるときと同じ、キックスタート。
イメージがわくことと思います。
さらにさらに、すべてのドローンから正しく音を出すためには、同じ強さで吹き続なきゃいけません。
さもないと音が「ブヘェ~~~」と裏返ってしまうのです。
初心者が「先は長く道は険しい」と感じる一瞬。ちゃんと音が出せない初心者は、最初ドローンを1本か2本、空気が(=音も)出ないように閉めておいたりします。
普段の練習にはプラクティス・チャンターと言われるパイプを使います。
バッグはなく、ブロー・パイプとチャンター・パイプが合体したもの、つまり普通の縦笛の形状です。
ベテランでも、単に運指の練習をするにはこれを使うことが多いようです。
これなら簡単と思いきや、初めて吹く人はきっと、こんなに思い切り吹かないと音が出ないのかと驚くでしょう。
バグパイプは、体力の必要な楽器なのです。
となれば、当然音も大きめ。
周りに迷惑をかけず練習したい人のために、ヘッドフォンを使う電子チャンターという便利なものもあります。